俺の出会った大和撫子

 マドンナはいるのか?〜その1

 あまりにネガティブな「こんな女性は嫌だ」という話が続くため、では、マドンナみたいに、俺がこの子なら、と感じた女性の話を書きたいと思います。


 彼女は、とてもモテるのに関わらず、彼氏一筋の人でした。大学一年で出会い、初めて付き合った人と結局、結婚した彼女。一緒にいて、その場にいる全員が、彼女のことを好きだろうな、とわかるくらいでしたが、いくら彼女が気さくで親しみやすくとも、一線が引かれているため、誰も二人の仲を裂いて、彼女を奪うなどということはできませんでした。


 ちょうど、彼女と数人で、あるお宅に呼ばれてお寿司をご馳走になった機会があり、その時の彼女を見ていると、箸の使い方から、食事の仕方が綺麗なこと、また、いつもそうしているかのように、そこの家人さながらに、自然に食事の準備を手伝っていました。それがわざとらしくなく、いつもそうしている当然のことのようで、聞けば、家では、病気の母親の食事を毎日用意しているとのことでした。


 あまりに立ち居振る舞いが自然で美しいので、印象に残っています。いつも大学の部室で顔を合わせ、時間を共有しているし、比較的、男性的でさっぱり、あっさりしている彼女なのですが、いくら綺麗でも、簡単に他の部員になびいたりしないところ、高校、大学と優秀で、部の中でも常に、一位、二位の成績の彼女、かといって、高嶺の花という感じではなく、誰も分け隔てすることのない、平等なお付き合いがありました。綺麗ではありましたが、人目を引くものすごい美人というわけではないので、やはり性格の良さがあったのだと思います。


 自分は、最初から、彼女には彼氏がいることを知っていて、彼女と付き合いたい、と考えたことはありませんでした。二人の結婚式にも参列しました。それでも最近、離婚した、と聞き、人生というのはわからないものだ、と感じました。


 彼女の場合は、義理のご両親のお世話と、その借金の返済とを、全て背負い、ずっと頑張っていたようです。詳しく話を聞いていませんが、離婚してからも、義理のご両親のお世話をしているため、離婚原因が義理のご両親の事業不振に寄る借金返済であることは。明らかです。恨み合った離婚でないだろうことは、伝わってきました。


 彼女は単身で子供と義理のご両親の家の近くに住み、ご主人は単身赴任生活が長く、彼女自身も仕事をしていたようです。彼女の場合は、結婚してからも、転勤になるまで仕事を続けていたし、優秀で会社からも引き留められたようなので、多忙を極めていると思いますが、そんな風には見えない。一緒に何度か食事しましたが、その度ごとに、食事する姿がこんなに美しい人は稀だと感じたものでした。自分の背筋が思わず伸びるような感じです。


 人というのは、その器にあった事柄を引き受ける、と言いますが、何故?という思いで一杯です。一人の女性を幸せにすることは確かに難しいことですが、胸が締め付けられますね。


 遠方に住む双方を知っていますが、ご主人側にも特に落ち度があるわけでなく、たまたまお二人のご実家のご両親が、双方ともに大変で、ずっと昔から、子供に世話してもらわないと成り立たない状態のようでした。


 とても自立した人で、二組の親の面倒をみる傍ら、働いて3人の子育て……彼女の幸せを遠方から願ってやみません。


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