リピート
中学校の通学路に、あまり通りたくない場所がある。
自殺の名所として有名な、マンションの前。
通りたくはないけれど、朝寝坊して、どうしても通らないと間に合わない日もあるのだ。
というわけで僕は、できるだけマンションから遠い側を走っていく。
でも。
行く手を
(――っ!!)
思わず、足を止める。
アスファルトの上、墜落してきたソレは、血やそうじゃないものをぶちまけて広がっている。何度見ても、心臓に悪い。
「やっべ、遅刻する!」
後ろからきた男子が、僕には目もくれず、ソレを平然と踏んで走り去った。彼の靴に、血とかは付いていない。
ソレは、現実のモノではないから。
ある種の幽霊は同じ場所で同じ行動を繰り返す、らしい。そして僕はなぜか小さい頃から、そういうモノが見える。
とは言っても、初めて通ったときはソレが現実ではないと気がつかなくて、パニック状態で逃げ出してしまった。
今はもう数えるのも嫌なくらい見たから、ソレが半袖の白いセーラー服姿の女子だということも、わかっている。明らかに生きていない彼女の顔から飛び出しかけた眼球が、ちろりと僕を見て、口を動かす。
「イタイ、イタイ、イタイイタイイタイイタイイタイイタタタタタタタタタタタタタタタタ」
「――うわあああっ!!」
その瞬間、僕は、パニックを起こす。
そして、我を忘れて駆け去り、交差点に飛び出して、車に
何度でも。
中学校の通学路に、あまり通りたくない場所がある。
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