小人のごちそう

 お后さまは、狩人に命じました。

「白雪姫を森へ連れ出して、殺しておしまい!」

 狩人は命令通り、姫を連れて森へ行きましたが、どうしても殺すことができません。そこで、こっそりと森の中へ逃がすことにしました。


 殺されはしなかったものの、どこへも行く当てなどない白雪姫。恐怖に駆られ、ひたすら森を走り続けます。へとへとになった頃、小さな家を見つけました。

 外から声をかけても返事はなく、留守のようです。しかし、戸に手をかけると開くので、少し休ませてもらおう、と思って中に入りました。やはり誰もいませんでしたが、家の中の小さなテーブルの上には、小さなお皿と杯が七つずつ並んでいて、美味しそうな料理が盛られていました。

 ごちそうの用意ができているのに、この家の人たちはどこへ行ったのかしら?

 不思議に思いましたが、ずっと走っていたため、すっかりお腹はペコペコです。勝手に食べては悪い、と思いつつも、我慢できずに、お皿の料理を少し手に取って口に入れました。


 朝から夕方まで山で働いていた七人の小人は、家へと帰りながら、話していました。

「用意してきたごちそう、誰か食べたかな」

「食べたじゃろう。いかにも美味そうに、盛ってきたからの」

「勝手に人の家に入り込んで、食料を横取りするなんて、酷いよね」

「わしらも仕事がある以上、毎日見張るわけにもいかんし」

「何回も何回も盗られて、いい加減、我慢の限界だ」

「でも、上手くいけば、今日で終わりだよ」

 小人たちは、顔を見合わせて笑いました。

「料理に仕込んだ毒、効いてるといいね」

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