タイマー
学校で面白い話を聞いたので、帰ってすぐ、ママに教えてあげた。
「ねえママ。何百年か前、ある会社が作った製品には、保証期間が過ぎたら壊れるように、タイマーがついてたんだって!」
ぼくの話に、ママは不思議そうな顔をする。
「保証期間、ちゃんと使えるならいいんじゃないの? 去年買ったメイドロボットのレナなんて、半年で壊れて、修理に出さないといけなかったのよ」
それは、ぼくも覚えてる。しばらくの間、代わりのロボットが家に来たけれど、見た目がオシャレじゃないとか何とか、ママがパパに文句を言っていたし。
「でも、保証期間内だったから、修理タダだったでしょ?」
ぼくが聞くと、ママは「まあねぇ」とうなずく。
「あのね、保証期間が過ぎたあとで壊れると、お金を払って修理しないといけないんだよ。だからみんな、新しいのを買うんだ。そうやって、その会社の新製品を買ってもらおうって作戦なんだって!」
まだママは不思議そうだ。
「そんなことしたら、その会社の製品、みんな買わなくなるんじゃないの?」
「そう? でも、面白い話だよね」
「手を洗ってらっしゃい。レナにおやつを用意させるわ」
「はぁい」
ぼくが手を洗って戻ると、ママはさっきと同じポーズで立っていて、その前をレナが掃除しながら通り過ぎて行った。あれ、おやつは?
ママはびっくりしたみたいな顔で、遠くを見つめたまま。ぼくがつついても、全然動かない。壊れちゃったみたいだ。
「そっか、保証期間過ぎちゃったんだっけ。パパに頼んで、次は、違う会社のママロボットを買ってもらわなきゃ」
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