第15話 究極の矛盾

 理想郷での生活は幸せだった。

 しかし、どんなに幸せでも飽きはくるものだ。

 もちろん、何でもできる力を使えば飽きないようにだってできる。何度でも何度でも、新鮮な気持ちを味わうことができる。

 で、それをいつまで続けるんだ?

 永遠に?

 何億年、何兆年どころじゃない。無量大数の無量大数乗なんて途方もない年月を過ごしても、まだ終わらない日々。

 それに何の意味がある?

 飽きないからといって、永遠に続ける意味はあるのか?

 ……わからない。

 でもこれだけはわかる。

 どんなに楽しい時間も、いつかは終わらせなければならない。

 いや、もう終わらせたい。それが俺の本音だ。

 皮肉なものだ。何でもできる力を使って最後にすることは、結局それか。

 あれからどのくらい経ったろうか。

 何千年? 何万年?

 思い出そうと思えば思い出せるが、やめておこう。

 もうやりたいことはやり尽くした。

 そろそろ無に還るとしよう。

 その前に、この力を誰かに譲るか。前の神が、そうしたように。

 でも、この力を譲るんじゃなくて、そっくりそのままコピーした場合、互いが相反することを言ったらどうなるんだろうな。

 何でもできる力同士の衝突。

 究極の矛盾だな。

 ま、そいつの検証は次の神に任せるよ。

 なんなら、君がやってみるかい?



   終

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なんでもできるようになったら ンヲン・ルー @hitotu

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