第6話 そうだ、全部食べよう!

 念のため慣性の法則や作用反作用の法則など色々と試してみたところ、あっさり無視できてしまった。

 なんでもできる力というのは、本当に言葉通りなんでもできるようだ。

 つまり、なんでもやりたい放題できるということだ。

 あんなことも、こんなことも!

 さあどうしてくれよう。

 様々な欲望が頭の中を駆け巡る。

 たまごサンド、ホットドック、小倉デニッシュ、シナモンロール。

 ……そういえば朝食まだだったな。

 食べてから考えるか。

 どれにしよう。

 そうだ、全部食べよう!

 普通なら四つも食べられないが、なんでもできる力でまた空腹にすればいい。

 俺は最上級の材料を使ったパンを、最上級のコーヒーと共にいただいた。

 食べ終わって、歯磨きと御手洗いを済ますと、また眠たくなってきた。

 二度寝でもするか。

 やりたいことは山ほどあるが、会社さぼって二度寝する以上の至福が他にあろうか。

 あるはずがない。

 決めた。眠ってやる!

 気が済むまで惰眠を貪ってやる!

 そして、幸せな夢をみるんだ。

 こんな蹴落とし合いの競争社会でなく、みんな優しい世界の夢を。

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