2. 「また、一緒に」
昼休み終了前の予鈴が鳴る。
遠くから「急げー!!」やら「次の授業なーに?」と声が飛び交いこの中庭で反響する。
「そろそろ行こっか」
肝心な質問の答えは返って来なかったものの、居心地は悪くなかったかな、と過大評価を胸の内に明かし、伸びと欠伸を一つ。
「次はすうがく~」隣に佐々木が並ぶ。
私は専らの文系人間であり、佐々木がなぜ数学の授業ごときで一人で盛上っているのか、理由が分からない。
「あの!」
少し歩いた所で後ろから掛かる声も中庭に反響した。
「水城さん?」
何かあっただろうか。まだ紹介していない教室とか?ならその紹介は放課後まで我慢して欲しい。もう午後の授業が始まる。
「また、一緒にご飯食べてくれますか!!」
紅潮する水城さんの頬は、恥じらっていた証拠。
なーんだ、そんな事だったんだ。
「御安い御用」
私の声もまた反響して消えて行った。
雨の日に逢いましょう。 芥子 @120725
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