雨の日に逢いましょう。
芥子
序章. 季節外れに転校生
1. 「少し変わったコ」
「頭が『まっしろ』、だから真白。水城真白です」
よろしくお願いします。なんてにこやかに告げた転校生は明らかに浮いていた。別にラノベみたいにオッドアイとか、奇抜な髪型や色とかじゃない。見た目は正常。と、言うより少し可愛らしい印象さえある。
「わぁ、」声が上がったかと思えば隣のバカ男、佐々木だった。あ、コイツ鼻の下伸ばしてやがる。
腹いせ、とまではいかないが、肩を叩いてやるとうっとり転校生を眺めていた視線がこちらを向く。
「ばーか」なんて口パクで言うと「なんだよー」と大きな声で返される。そういう所がバカなんだって。また鼻に付くような事して。
佐々木の声に反応したのか転校生、あー、転校生って呼ぶのも白々しいか。水城さんがこちらを見て微笑んだ。
そしてまた佐々木の奴が鼻の下を伸ばす。それを見てまた笑う。この繰り返し。
私と佐々木を見て笑うなんて、さっきの自己紹介と言い、変わったコ。
4限の授業も終わって女子はご飯片手に喋り込んじゃって、男子は購買やら部活やらに走っていく。
私はその風景の真ん中に居るわけじゃない。端で傍観、なんて事もしない。
ただ、居るべき所にいて、やるべき事をする。
つまり、イヤホンを片耳に、本を広げて『見えない何かのガード』を作り上げる。私の居場所を盗られない様に。
そんな私の居場所に今日も危機が訪れる。肩を叩かれたのだ。
こう、「ねぇねぇ」と言わんばかりの。
きっと
「なに、佐々木__」
「あ、えっと」
イヤホンをむしり取ってその姿を視界に入れる。見えたのは黒い長い髪にリボンタイ。
あれ、佐々木って
「あ、あの、み、水城です」
「わぁ、水城ちゃんだ~」
「うん、水城です」
場所は変わって中庭に来ていた。
あの後結局「みそのんご飯食べよ!」なんて言ってきた佐々木と合流し、
「折角だから校舎、回ってみたい。」なんて言う水城さんの要望で最終的にここでご飯、という形になった。
「アンタ物好きだね。他にもクラスにはお喋り好きな女子もいるし、女好きな男子もいるよ?」
「みそのん、超ド直球!」
佐々木がメロンパンにかじり付きながら叫び、パンのクズがぼろぼろ落ちるのをなんとなく眺める。
「みそのん?」
「あ、アダ名だよ~
「じゃぁ、佐々木くんで。」
にこにこ笑顔を振り撒く二人はどこか似ている。
って言うかいつからアダ名の話になったんだか。
こんな
ホント、変わってるよね
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