十一話 お題:嬲り殺し 縛り:ネームバリュー

 茶巾様という神がいる。地元でのネームバリューはすごいのだが、かといって大っぴらに祭られているわけではない。恐ろしい神だからである。姿を見た者はいない。声を聞いた者もいない。ただ弱い者いじめを見るのが大嫌いなことだけがわかっている。例えば男達が女に乱暴をしようとした時に茶巾様に出くわすと、まず皆殺しにされる。それも必ず手足の指を一本ずつ絞っていき、それが終わると腕、足と続いて最後に胴を絞って殺すので、茶巾様なのだという。胴まで絞られない死体も多く、どうやら途中で死んでしまうと興味がなくなるようだ。地元の警察では茶巾様によると思われる死体は事故死として処理する習わしになっている。茶巾様を捕まえるまでに警官がどれだけ絞られて殺されるかわからないからだそうだ。

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