第23話 バカンス

「誰も声を掛けてこないわね~奈美」

「いい女が3人ビーチでくつろいでいるのにね~華」

「ねぇ~」×2

 華&奈美、貧乳ーズが青い海を眺める…360度オーシャンビュー。

「うるさいんだよバカ!」

 琴音が不機嫌そうに怒鳴る。


 砂浜で流木を担ぐ琴音…巨乳が揺れるエロいホルターネック…。

 浅瀬で魚を突こうと木の枝を持っている奈美…長身スレンダー、モノキニが際立つ長い脚…。

 岩場でカニやら貝やらを捕獲している華…健康的で可愛らしいタンキニ。


「ねぇ~奈美、無人島に、ひとつ持ってくとしたら何を持ってく?」

「そうねぇ~火は大事よね~」

「ねぇ~」×2


「アンタら無人島で、無人島談義してんじゃないわよ!」

 琴音が奈美に木を投げる。


 そう…ここは無人島…声を掛けてくる奴などいないのだ。


 時を遡ること6時間前…。

「ネッシーを泳がせたい」

 奈美が唐突に言いだした…。

「泳いでるじゃない」

 華が水槽を突く。

「大海を泳がせたい」

「コレ淡水よ…」

「……海を見せたい…」


 そんなわけでミニチュアネッシーを抱えて、アンダーグラウンドへ。

 ここは魔界の名もなき海岸…。

 船を借りたまでは良かったものの…アッチだコッチだと騒いでるうちに小さな無人島へ着いたわけで…。

「プライベートビーチだ~」

 などと思ってたのは30分ほど…今や陸地が見えぬオンリーオーシャンビューである。


「アンタら何か出来ないの?」

 琴音がキレだす。

「何か?って何か…」

「魔女でしょ!悪魔でしょ!」

 ビシッ、ビシッと華と奈美を指でさす。

「火は出せる」

「野宿する気なの?」

「違うの?なんで琴音は木を集めてたの?」

「………なんとなく……奈美が魚捕りするって言うから!」

 2人の視線が奈美に向けられる。

 お手製のヤリを構えたまま動かない奈美…まったく期待できそうにないオーラが見えるようだ。

「いいわ…とりあえず火を着けて頂戴…」

「オッケー」

 ブツブツと詠唱を始める華…指先から火が出たのは、夕日が沈むよりは少し早かった。

「着火マン以下ね…」

 琴音が吐き捨てるように言い放つ…。

「………」

 もはや言い返す気も無いほどに疲れている華。

「何がファイヤーボールよ!指先からポワッと火がでるだけじゃない!」

「………」

「しかも、自分がアチッてなんなのよ!」

「奈美!アンタ飛べないの?羽とか無いの?」

「えっ…アタシ羽生えるの?華!」

「えっ…奈美、羽生えるの?飛べるの?」

 貧乳ーズのマヌケさは底抜けである。

「華だって飛べるんじゃないの?ほうきとかー、変身とか」

「ちょっと、ほうきとか勘弁してくださいよー喰い込んで痛いのよ」

 股を押さえる華。

「変身は?カラスとか?」

「カラス…できますけど」

 華はカラスに変身した…ファイヤーボールより得意そうだ。

「よし!行けー助けを呼んで来い華」


「何処に向かって飛べばいいやら…鳥目で何も見えませんし…」

「奈美!」

 琴音が奈美を見る…奈美は背中を丸めて踏ん張っている。

「出ろ…出ろ…羽出ろ…天使のような白い羽出ろ…」


 役に立たない貧乳ーズ…。

 ウロウロするカラスに、背中を震わせる低級悪魔…。


 とりあえず…華が採取した小さな海産物はミニチュアネッシーが美味しく頂いております。

「たき火ってキャンプって感じでいいね奈美」

「ロマンチックよね~」

「ねぇ~」×2

「アソコのオーロラみたいなの何?」

 琴音が華に聞く。

「アレ?時空の歪みね、あーいうトコから別魔界の魔王とかが攻めてくるのよ…たまに」

「へぇ~…危ないんじゃない?」

「大丈夫じゃない?根拠は無いけど…」

 オーロラのあたりで花火のような火花が浮かんでは消える…その様子をボケーッと眺めている3人。

 静かになって、たき火を囲んで、寝転がる3人を、桜が迎えに来たのは深夜であった。

「桜?どうしたの?」

「姫がどうしたんです?こんなところで?」


 桜は別魔界の魔王討伐に出向いた帰りに、火を見つけて偵察にきただけだった。


 解ったことは…ミニチュアネッシーは海水でも平気だということ…。

 奈美だけは海で泳ぐミニチュアネッシーを見れて満足気であった。

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