第19話 とりあえず…夢見る?
「で…アタシを実験台にしたいのね…」
「実験台なんて…人聞きの悪い、ねぇ~」
「人じゃないけどね…悪魔…低級の」
琴音で試そうとした奈美。
奈美の脇でピザを頬張る華。
「いやよ」
ピッシャーンと琴音はキッパリ断った。
「なんでよ~ちょっと夢を見るだけよ」
「そうね…いやらしい夢をでしょ」
「頑張るから~ねっ、お願い」
両手を合わせて頼む奈美。
「華ちゃんで試してみればいいじゃない」
「いや」
華が首をブンブンと横に振る。
「ほら~こうだもん…」
華を指さす奈美。
「いいじゃん…替えのショーツ持って泊まりに来なよ~」
「ショーツって…アンタ何する気なの…」
「何する気って…ねぇ…グフフ」
「ダンナ、いい仕事しまっせ」
両の手を擦り合わせる華。
嫌なコンビだ…。
そんなわけで…どんなわけだか…琴音はクリニックに居た。
実はこのクリニック、人間には、なかなかたどり着けない。
程よく異界と混じってるのだ、このビルそのものが…そんな立地条件なので異界の住人と一緒じゃないとクリニックには入れない、たまに例外もあるのだが、それは精神を病んでいる人間…。
そういう意味ではカウンセラーには、いい立地なのだが…なぜだかヒマである。
『淫夢魅せます』
奈美が無い
華がミニチュアネッシーが泳ぐ水槽にメダカ(カダヤシ、近所で捕獲)を与える。
「ほ~ら天然モノだよ~」
嬉しそうに笑う華…笑っているかは知らないがパクリと喰いつくミニチュアネッシー。
「なんで来ちゃったんだろう…」
頭を抱える琴音…でもしっかりと、お泊りする気である。
大きめのケイトースペードのバッグがそう言っている。
フンッフンッと鼻を鳴らして、やる気満々の奈美。
「やるわよー、いい夢みせるわよー」
「淫夢…でしょ…」
琴音が複雑な表情で奈美を見ている。
腰に手を当て、栄養ドリンクを飲み干す奈美。
「くはぁ~ッ…さあてやるわよ…ソコに寝て、琴音」
「サービスで~す」
看護婦姿の華がトレーに精力剤を乗せて琴音に薦める。
「アンタら…この路線で行くの?」
30分後…。
「寝れないんですけど…」
琴音が天井を見ながら呟く…。
「…………ふぅん…頑張って…寝るのよ…ZZZZ」
「お前が先に寝るのかい…サキュバスさんよ…起きろバカ悪魔!」
琴音が奈美に怒鳴る。
「はっ!…お帰りはアチラです~…」
目を覚ました華の右手が浴室を指す。
「ダメね…ダメコンビね…」
琴音は静かにクリニックを後にした…。
万が一のために履いてきた生理用ショーツは必要なかった…。
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