6.千手千眼観音


澡瓶



「貴様らッ、何をッ」


「っつ、あ」

「…ん、」


「何事だこれはッ」


「違いますこれは」

「黙れ黙れこの」


「そんなに騒がれてはお体に障ります」


「ンッ、なんだとォ、一体」

「これは違うのでございますあぁ只、わたくしは」


「何ィ?この阿呆共め、これでシラを切るつもり 」


「 浄閑様」

「お前ェッ何か言うことがあるのかァッ」


「隆弘からお話しいたします、ねぇ」



「…浄閑さま文正さまわたくしは、ああ、おお」


「泣くなッ隆弘、このォ」


「文正ォ!」


「   ですから、隆弘の申し上げた通りです」


「 もうよい話にならんッ、これは件は」

「浄閑様も同じでございましょう」


「   …何だとォ?この期に及んでッいい加減なッ」

「  浄閑様、私はすべて存じておりますッあなたのなさったことは、



あなたのなさったことは罪ではないのですよ 」





「わたくしたちみなはに堕ちるのです」

「文正さま文正さま文正さま文正さ」


「はァハァ、許さんぞ、ゆるさんぞ糞餓鬼ども」


「アアァアツイ、アツイ」

「アツイ、アツイ」

「 」



--------------------


たいまつに火が点っています。


“高田隆弘”“大木文正”“小野寺浄閑”の三人が

上手から中央に向かいます。


台詞を終えると、手をつないでそのまま

うつ伏せに倒れこみます。


舞台の明かりが消えます。


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