3.梵焼



三人の僧侶が不審死を遂げたのは、

三月二十二日、境内の門前である。

同日の早朝、犬を散歩させていた近隣の住民により発見された。


三人はそれぞれが互いの手をつなぎ、うつ伏せで地面に倒れており

全身に重度の火傷を負っていた。

すぐに病院へ運ばれたが、二人は直後に死亡が確認された。


三人は非常に強い炎に巻き込まれたと推定される。

しかし発見時に境内周辺に火の気はなかった。

さらに全員が全く損傷のない僧衣をまとっていたのである。


死亡した二人の司法解剖の結果、胃の内容物から直前の食事が判明している。

高田隆弘氏の胃からは、ほとんど消化されていない大量の動物の肉類が、

大木文正氏からも同じく大量のイネ科の植物の葉と昆虫の一部が発見された。


唯一生存の確認された小野寺浄閑氏は、依然として意識不明の重体である。



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たいまつは消えています。


下手から人物が中央へむかいます。

台詞を語り終わると、下手へむかいます。


下手から“桐木門の怪異”がたいまつへむかいます。

金属の面をつけ、帯を締めた青年です。


たいまつをゆっくりと撫ぜる動作をします。

動作を終えると上手へむかいます。


舞台の明かりが消えます。

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