4.回想

「山菜を採りに山に入ったのですがね、

 木のうろで男の子が、ぐっすり眠っていたんですよ」



七月二十二日のこと、

山林深く、梍の古木の下で中田勇人くんは発見された。

軽い脱水症状があったが、命に別状はなかった。


すぐそばにはなにかを埋めた形跡があり、掘り起こすと

同年代の子供の白骨死体が袋に詰められていた。

身元は不明であったが、勇人くんと血液型が一致した。


父親の中田雄介が息子の捜索願を取り下げたあとのことである。


その後勇人くんは、入院ののち体調は回復したが、

それ以来、大きな木をみると耳を塞いでひどく怯えるようになった。



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これでこの物語はおしまいです。

舞台に明かりがつきます。



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緞帳 ー猿噛梍の怪異ー 順番 @jyunban

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