簒奪
蕾が割れる
かたかたと花弁は震え
雌しべはひそやかに眠る
緑を引き裂いて
ゆっくりと白を纏う
鼓動は泥に張り巡る
水はころころと走り
渇望は辺りを
埋め尽くすように香る
ただ繋がれるままに
求めることも無く
剥き出しの眼球
盲いた瞳は次第に光り
紡がれた糸のその先を見る
菱の葉が茂る
踏みしめられた
愛さえ摘み取られて
ずぶずぶと沈む自覚を
照り返しが引き止め
尻もちを着いた隙間から
冷たい水が入り込む
垂れ落ちた汗の
行方も知らず
離別した境界を
撫でる刃
美しいままに
切り取られた一瞬は
柔らかに枯れ落ち
円を描いて散乱する
恐怖でさえもどこにも行けず
足元も崩れてゆく
目覚めは全てを置いていく
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