恐怖

毛並みの乱れたラグ

こぼれたままのコーヒー

ねちゃり、と掌を引き剥がす夕暮れ


殻を叩くくちばし

身動ぎする翼

光は赤く透けて


ひび割れた爪先

ぎょろりと瞬きをする眼

火にかけられた白い磁器


奪ってしまう前に

叩き割ってしまえたら


知らないままの灼熱

大きさの合わない鳥籠

耳許には甘い味をした

真っ黒い澱が降り積もる


誰かもわからない私

問う声も遠く

存在だけを背負い

にまにまとわらう


横たわるからだ

沸き立つ皮膚

ゆっくりと首に手をかけて

目玉はぴくぴくと動き


眠りにつく

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