アパート

時を隔てた暗い部屋に

朽ちない蓮が咲いている

足音さえもぽつりと途切れ

埃ひとつもないままに


そこにいるだけの白い部屋

手のひらに張り付いた息が

ぽつりと鎖骨の影に落ち

鼓動ばかりと共鳴している


寝息を立てる明日

何も知らないままの白い眼

爪弾いたまつげはふるり、と震えて


ああ、なんだか眠い

ぜんまいの音が次第に途切れて

わたしはゆっくりと透き通ってゆく

 

ページをめくるように

ドアをノックするように

わたしはまたひとり、ひとりと目覚めて

生まれたての過去は眠りにつく


部屋に鍵をかけて

灯りをぱつん、と落とすと 

新しい私が浮き上がる


手を離れた時が蒼い夢を見ている

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