輪郭

ぱたん、ぱたんと機を織る

一束の糸 一枚の布


かたちのないひと 

言葉がひとつ

名前もなく


蚕は糸を吐く 

繭の割れ目から

ゆっくりと翅がのぞく


きりきりと糸を撚る

吐かれた意思は紡がれて

かたちをつくる


わたしはだれ 

それも知らない

ふるえて何かを待つ


機の音を聞く 

汗をかいた肌に 

薄い布が張り付く

 

名前を付けられたひとは

ことばにくるまれて

わたしというだれかになった

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