開花
蓮が咲いている
花びらがまた波紋を立てる
なにかを忘れているような気がして
立ち尽くしていた
つぼみは泥を割る
疑いもなく
日を受けてかがやいている
円い葉がひらく
命をちいさな傘にして
なにかを探している
渇望がてのひらを刺す
ページを手繰る指先にも
さがしものはない
わたしはわたしにならなくては
それだけを知っていた
なにも持たないままに
どこかから呼び声がする
よたよたとすがりつくと
わたしはゆっくりとほころび
泥を突き破った
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