夜明け

うつくしいだけのかなしみに

足をひたして

涙のきらめきを追う

風は髪をなでて

固く結ばれた誓いをぱさりとほどいた


おぼつかないままに踏み出した砂丘

足跡には時が降り積る

眠ることもやめて

指先に絡んだ夜は甘い味がする


ただ息をする胸元に

ゆっくりと体重をかけて

どこにも行けはしないのに


こうこうと燃える朝日に怯える

右手には灰が浮いた

炉に火を灯さなくては


こつん、こつんと足音がひびく

わたしは私に憧れる


とん、と突き飛ばされて

振り向けば明日のわたし


あたらしい昨日がやってくる

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