世界 鬼滅の刃 狛治さんと恋雪さんへ

梅の種を割る

祈るたびひとつ、またひとつ

ぱきん、と鈴を振るように


掌に張りついた息

指先はかすかにふるえて

髪ばかりがつやつやとひかる


遠吠えが空を裂く

肩をいからせた哀しみが

じっと見つめている


まばたきをする

数えることももはや忘れて

ふりむけば あなたがいる


風の蓋が外れて

ただ生きていければよかった

薄桃がぱちんとはじけて

どこかに行こうとしている


ひかりが空を割る

触れ合った指先はわずかにふるえて


あなたとわたし

ふたりのひとり


白い夢に赤を落とす

足音さえもぽつりと途切れて

ほこりひとつもないままに


指先を離れた過去が

終わらない夢を見ている

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