隔てる 山姥切長義に捧ぐ 刀剣乱舞

瞳の奥に夜を見た

片耳に髪をかけて小さく笑うひと

山のはざまから闇は喰われてゆく

切っ先を映す白いまつげ


きみの前に人が

きみの目に星が

その奥にはただひとつの孤独

未だ眼を開けない時

何物でもあれぬ誇りをきみは抱きしめている


あをのを踏み分けて

谷底になびく銀色の夢を見た

桜色のゆびさきに歯を立てて

断絶の境界を知る


このよろこびを知りたくはなかった

かなしみは稚いてのひらに

うつくしいままに浸みこんでしまった

しっかと立つこの足元しか

もう持てるものはない


あなたの星がみたかった

いつだってそれをみていたひと


もうあなたではいられない

ひとりきりの瞳の奥に

孤独が佇んでいる


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