羽化
水音がする
夜の雲は熱を喰う
足首は白い灰になり
音さえなくして地に落ちた
遠ざかる体
色ばかりが肌に染み渡ってゆく
極彩色の燃え滓
思うことももはや離れて
繭がひとつ
かたちのないひと
何もかもを隔てて
はじまりの前で眠るひと
夢も見ない在るだけの命
骨が軋む音
かすかに動く指
新しい断絶が殻を脱ぐ
肩に髪が張り付く
影が命の手を取る
心臓が鼓動を吐き出す
存在の熱は血肉を焦がす
影は命に乗って
どこかへ行こうとしている
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