第14話

大学を辞めてから、地元でバイトする日々が続いた。地元の友達ともまた遊ぶようになり、飲み会にもしょっちゅう誘われるようになった。そして、ある夏、BBQに誘われた。とにかく大人数でやりたいから誰でもいいから誘うようにと言われたのだが、地元の友達が集まるだけでも結構な人数になるため私と幼なじみのまりは誰のことも誘わず2人で行くことにした。

中学を卒業して以来の友達もいて思い出話に花が咲いたり、知らない人達も沢山いたがお酒が入ってる為すぐに仲良くなり楽しい時間を過ごしていた。そして、その中には翔の姿もあったのだった。翔がいることに気づいていたがなかなか話しかけることが出来ずお酒の力を借りてやっと声をかけた。


「久しぶり、帰ってたんだ。」

「久しぶり、夏休みだしな。」

「飲まないの?」

「別に飲まなくても平気だし、それに、誰かしら足がなくなるだろ、車なのに飲むやつもいるだろうし。」

「そっか」

「なんか、ごめんな」

「なにが?」

「メールであんな事言っちゃって」

「いつの話だよ、別に気にしてないよ。」

「そっか、」

「また、遊ぼうね。」

「おう」


謝られたことに少し腹が立ったが、私たちは2人で喋り続けた。翔の大学の事、ひとり暮らしのこと、私が大学を辞めたこと、芝居のこと、会わなかった時間を埋めるようにお互いの事を喋り続けた。また、昔みたいに翔と話せることができて良かった。二度とこの関係を壊すような事はしたくない。この時間がずっと続けばいいのにと思いながら私は翔の隣を離れる事はなかった。

BBQもお開きになり車なのにお酒を飲んでる私に車で送ると言われたが私は断った。久しぶりに会った翔に前みたいに甘えるのが少し怖かった。結局私は車を置いて違う友達に家まで送ってもらった。家についた頃に翔からラインが入った。


「無事に着いたか?」


優しいところが全く変わってない。私は無事に家に着いたことを伝えた。BBQ以来、私達はまた連絡を取り合うようになった。恋愛感情はもうない。むしろ、付き合っていた時でさえ、あったかどうかは分からない。でも、やはり、翔といる時間は楽しかった。


この関係を二度と壊さないように。


この誓いがこれから私を苦しませる事になるなんて。

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