第11話
大学に入学して地元の友達とはほとんど遊ばなくなった。電車で片道1時間半かかるので地元にいるよりも大学にいる時間の方が長い。だから、自然と地元から遠ざかっていた。それと同時に私の中から翔は消えていた。
その代わりに私はサークルの悠先輩に心を惹かれていた。先輩は3年生で、実際に一緒にサークル活動をしたのは1年だけだったが人数の少ない写真サークルではみんながすぐに仲良くなった。大学でできた親友も学科は違うがサークルで知り合ったあかりだ。あかりは私の舞台にも何度か見に来てくれている。現在はオーストラリアでワーキングホリデー中。最初はデジカメでいいやと言っていたあかりも、私が持っているフィルムの一眼レフに惹かれたのか私は初心者だからと言ってオリンパスの色がカスタマイズできる一眼レフを買った。きっと今頃はその一眼レフを使って海外ライフを楽しんでるに違いない。
悠先輩は明るくて社交的な先輩で誰とでも仲良くなってしまうタイプの人だった。サークル長を務めていた悠先輩はまさにリーダー的存在。後輩にも先輩にも好かれる悠先輩に彼女がいないわけがなかった。大学生だというのに同じ学部の彼女と同棲をしている事を知った時は私の中に衝撃が走った。その情報はサークルに入ってから直ぐに入ってきた。大学生活も慣れてきて好きな人ができたと思ったら直ぐに失恋をするというなんともイマイチな大学生活をスタートさせたが、それでも私は悠先輩に惹かれていた。でも、それは、恋愛感情だけではなく、私にはない人間性を持っている先輩に憧れも抱いていた。
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