第4話

高校時代は電車に乗るのが嫌いだった。

そもそも、駅まで自転車で20分もかかる。

車でも10分。自転車で行ったとしても、小さな駅の小さな駐輪場には見合わないほどの自転車が溢れかえっている。自転車を留めるのだけでも一苦労だった。


中学時代、いじめにあい中学2年の時は登校拒否をしていた。周りの友達や担任の先生の協力があって3年にはまた教室に通えるようになったが、サボりがちだった。

思春期に傷ついた心は直ぐには癒えない。精神的に弱い部分があった。そのせいか、高校時代は出席日数ギリギリで登校。そのせいか、 電車に乗ると、私は笑われているのではないか、友達に陰口を叩かれてるのでないか、いつか私は誰かに殺されてしまうのではないかと思うようになっていた。

そんな毎日を送っていたので、学校に行くのもきまぐれ、電車も気分が良い時しか乗らならずワガママを言って親に送ってもらっていた。


電車に乗る日は気分がいい時だけ。

それと、、、それは、また後ほど。


いつも乗るところは、1両目。

田舎でも通勤ラッシュ時の電車は混む。だから、割と空いてる1両目にいつも乗っていた。


田舎の小さな駅はだいたいホームと駅前ロータリーの間を金網のフェンスで区切っているだけだったので、ヤンキーたちは改札を通らないでフェンスを乗り越えてホームに入ってくる人もいた。まぁ、その中には中学時代の友達や先輩もいたんだけど、私はそれはそれで青春の1ページで近い将来思い出話になるからいいのではという考えだった。


1両目を待つホームのすぐ後ろも金網フェンスので区切られたロータリー


電車を待ってると、毎朝、ロータリーからおはようと声をかけてくれる友達がいた。


数秒後には私のところに来て一緒に最寄り駅まで行って、バイバイ。


小学生の時から仲のいい男友達の翔。


翔は、最寄り駅から自転車、私は歩き。


学校は違うけど方向は同じだったので、私を途中で追い越していく。

その時、がんばれよっと背中を押して行く。


私が不登校だったのも勿論知っているので、学校に行く私を励ましてくれてるのだろう。電車に乗らない朝は、


「今日は休み?それとも、車?」


とメールが来た。

休んだ時は、サボりすぎーと私をからかう。

車の日は、じゃぁ帰りな、とメールが帰ってくる。

会う約束をしてるわけではないが、帰りの電車もほぼ毎日同じだったので地元に着くと近くのショッピングモールに行ったり、近くの公園で何時間も喋ったりしていた。


周りからは、また一緒にいるよ、とか、付き合っちゃえよ、とか冷やかされてばっかだったがお互い恋愛感情がある訳ではなかった。ただ、一緒にいて楽しかった、それだけだった。


だから、私たちはずっと友達なんだって思ってた。


男女間の友情は成立するか、しないかと、1度は誰かと話したことがあるかと思うが、私たちの友情は勿論ずっとあると思ってた。


でも、私たちは子供だった。

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