第12話

やりたいと思った事はやるようになった

今までもそうだったけど

抑える所はちゃんと抑えてた

流石に学校の物を壊したことなんて無いし

いくらムカついても暴力はふらない

性的行為だって学校ではしないし

太らないためにお菓子だって食べない



やりたいことやって

楽しく生きてるって周りには思われてるけど

結構周りの評価を気にして出来ないことが多かった


でも今ならできる

授業中トイレ行きたいって思ったら普通にいけるし、 滝にキスしたくなったらいつでもする

授業中であっても。


そんな時ふと思った

『学校中をペンキで落書きしたい』って

思い立ったらすぐ行動

授業はあと1時間だけだったけど

カバンの中から財布を取り出して

走って教室を出る


後ろから先生の声が聞こえたけどどうでもいい

いくつかの教室の前を走り抜けて階段を1個飛ばしで駆けおりる

下駄箱にいくと靴を取り出して脱いだ上履きはそのまま放って校門までダッシュ


普段走らない私はすでに息が切れていた

スピードは落ちても足を止めない

早歩きなのか走ってるのかわからないスピード

学校から一番近いホームセンターに着いたのは

17時ちょい過ぎで、ちょうど学校が終わったくらいの時間。1時間以上かかってしまった


ぐしゃぐしゃになった髪を手で直しながらペンキを探す

工具やら木材がたくさんある辺りをうろうろしているとペンキを見つけた


黒、赤、青、緑、黄色、白


おっきいペンキと何種類かの筆を買って

帰ろうと思った時


ペンキの量が多すぎて持ちきれなかった


だから滝に手伝って貰おうとメールを送る

彼から着信履歴がいっぱいあって

「どうしたの?」とか何件かメールが来てた

「今すぐ行く」とすぐ返信が来て

入り口付近にあったベンチに座って滝を待つ


20分くらいしたら滝はやってきた

猛スピードで自転車を漕いだのか

息を切らしていて

額から首まで一本の汗が垂れていた


「お前何やってんの、いきなり教室出てくからビックリしたじゃん」


ハァハァ言いながらもちょっと怒り気味の顔で私に近づく


「ごめんごめん。ちょっとさ、手伝ってよ」





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