第6話

滝が何をするのか気になって

ずっと滝の様子を目で追っていた


いつもどうり男子とワイワイ騒いで

女子に話しかけられたらサラッと交わす

私にくだらない話をして笑わせようとする


屋上での彼は嘘だったみたいに笑顔で

でもたまに真中くんを睨んでいる時がある

本当に一瞬で、よく見てないと気づかないけど

さりげなく友達と真中くんの話をしていると

一瞬だけそんな姿を見せた事に気付いた


何も起こらないまま授業が終わった

みんなが帰り出す中

私も取り巻きに囲まれて下駄箱まで行った


下駄箱でみんなでワイワイ話してると

あっという間に時間は過ぎて

どんどん下駄箱の靴は減っていく


それでも滝達や、真中くんの靴はまだ下駄箱にあった


気にってみんなに先に帰って貰うと

ちょっと急ぎ足で階段を登る

誰もいない廊下を歩いて

ドアが全開に開かれた教室の前まで来た


誰もいない

もしかしたらすれ違いになったのかもしれないと思い引き返した


廊下の窓からは

テニス部が学校周りを走っている姿が見えた


私は部活はやらない

運動部に入って余計な筋肉を付けたくない

だからと言って、文化部に入るなんてダサいし

友達にマネージャーやろうって誘われたけど

たいした男も居ないのに

そんな事に時間を使うのは嫌だった


1階に降りてすぐ

男子の笑い声が小さく聞こえた

どこか滝達の声に似てると思い

声の聞こえる場所を探す

そう時間はかからなかった

声は1階の下駄箱前の男子トイレから聞こえていた


下駄箱まで行きまだ滝達の靴がある事を確認して

滝にメールしてみた

「まだ学校にいるの?私今下駄箱なんだけど」


するとすぐに返信は来た

「まじで!?なら一緒に帰ろう!門の前で待ってて」


それを見て「わかった」と返信した


自分の靴を持ちそのまま階段の影に隠れる


すると男子トイレの中から屋上に来たメンバーが出てきた

そのまま靴を履き替え帰っていく


彼らが見えなくなった所で階段の影から出る

スマホが震えてメールが来た事を知らせてくれる


「門の前なんだけど、もしかして帰っちゃった?」

滝からだった


元々一緒に帰る気なんて無い

スマホの画面に向かって「バーカ」とだけ言って、ポケットにしまう


男子トイレに入ろうとした瞬間

中から出てきた誰かとぶつかった


「った」


顔を上げると

全身びしょ濡れの真中くんが立っていた


「どうしたの!?もしかして滝達にやられたの!?


心配そうに真中くんを見るけど

内心は、濡れて色っぽく見える彼にドキドキしていた。


彼はそのまま私の横を通り過ぎていき

靴を履き替え帰ろうとする


「ちょっ!待ってよ!」


彼の背中に向かって叫んでも

彼の足が止まることはなく

下駄箱に1人取り残された私


家に帰ってからもなんかムシャクシャして

メールで滝を呼び出した

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