第5話
あんな事があっても滝は私に話しかけてくる
ただ真中くんの事を聞いてくる事は無くなった
遊びに誘ってくる事も無くなった
「麗華〜最近どーよ?真中くんと」
休み時間にもなれば周りには女子が集まってくる
「相変わらずクールだよね!確かに意外と良い顔してるし!」
「やっぱ麗華見る目あるよね〜」
私をおだてるのが上手い彼女達に
「全然ダメ。挨拶も返してくれないんだよ?」
とちょっと拗ねたように言うと
「照れてるだけっしょ!」とフォローしてくれる
最近いつも以上に喋らない実里に
「実里もそう思う?」
って聞いてみると
「え!」とビックリしてから
「あ、うん!」と慌てて笑顔で頷いた
最近の実里の様子がなんか気にる
私に何か隠してる。直感的にそう思った
気にくわない
お昼休み
いつもならみんなと食べるが
今日はなんとなく1人で食べたい気分で
購買で買ったチョコチップメロンパンを手に持ち屋上に行く
基本屋上は立ち入り禁止で誰もいない
でも私は特別
特に見つかっても「立ち入り禁止だぞー?」って感じで軽く注意されて終わる
それは先生達が私に怯えてるからだ
怒ると怖いからとかでは無い
好き勝手やってる私だけど
結局なんやかんやクラスをまとめるのは私
文化祭や体育祭なんかは特にそう
みんな私には逆らわないから
私が仕切らないと何も進まない
それを2年の時に先生達も思い知ったんだと思う
1年の頃のクラスは丁度今のクラスのメンバーとほぼ同じだった
いわゆる問題児が多かった
2年の頃は全く違って
私と一部の取り巻きプラス、プライドの高い良い子ちゃんやリーダーシップのある子がちょっと居た
そいつらがいちいち仕切ってくるから
嫌がらせに授業中友達と笑って喋って授業妨害したり、文化祭に参加しなかったり
もちろん私が参加しないと取り巻きも私に好意のある男子達も参加しなかった
結果私のクラスはぐっちゃぐちゃで
みんなの成績もどんどん下がった
だから3年のクラスは
私と私の取り巻きと大人しい意見の言わない子達が集められた
だから私を注意して嫌われでもしたら
卒業まで授業中妨害されるかもしれない
もしかしたら授業をボイコットされるかもしれない。
だから先生達は私にそこまで怒らないし
逆に取り巻き達みたいに
毎日私のご機嫌伺っちゃってる
日陰になってる所に座ってメロンパンを食べていると、だんだん喉が乾いてきた
動くのも面倒だったけど
丁度校舎に戻って階段を降りてすぐの場所に自動販売機があった事を思い出して立ち上がる
屋上から出ようとした時
男子の話し声が聞こえた
こちらに近づいてくるのが分かる
さっきまでいた建物の影になる場所に隠れる
ドアの開く音がして
壁からそっと顔をのぞかせ誰なのか確かめる
自分でもなぜ隠れたのかは分からない
他学年だったら堂々と出て行けばいい
男子は4人居て
4人とも私のクラスの男子だった
滝も居る。
「まじねーよ。あんな奴のどこが良いんだよ」
滝が屋上のドアを蹴った
ガンッと大きな音が響く
それを見て私は顔を歪めた
「まぁまぁ、どうせ麗華も遊びだろ」
1人の男子がそう言った
私?遊び?いったいなんの話なんだろうか
「だいたい真中なんかに本気になるわけねーじゃん」
彼の名前を聞いた瞬間理解した
滝はまだ真中くんに嫉妬していたのだ
なんて諦めの悪い男なんだ
「学校に来れねーようにしてやるよ!」
もう一度ドアを蹴ってから
ドアに向かって怒鳴るようにそう言った
周りの男子は「こえー」とか言って笑っている
そのまま4人は屋上を出て行った
私は影から出て
ドアを見つめる
いったい滝は真中くんに何をする気なんだろう
彼の怒っている姿は少しだけかっこいいと思ってしまった
それでも真中くんに何かするのは許せない
私しか居ない屋上で少しへこんだドアを見つめた
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