第4話

「なぁ、最近よく真中に話しかけるよな」


チーズケーキを食べながらいきなりそんな事を言い出した滝


「あーよく言われる」


カリッカリのシュークリームを食べながらそう答えると「好きなの?」とケーキを食べていた手を止め、真面目な顔で聞いてきた


「滝に関係ある?」


ちょっとキツめの口調でそう言った


嫉妬されてるのか?

そういうのは面倒だからお断り


「俺は、好きだよ」


黙ったかと思えば私の目を見つめたままそう言った


聞かなかった事にしてシュークリームを食べ続ける


「俺はずっと好きだった。でも麗華は誰のものにもならないって分かってたから、こうやって一緒に出かけれるだけで楽しかったし、それで満足してた」


彼は少し視線を下げ「でも…」と言ってから黙る


なんて面倒くさい奴なんだ

なかなか続きを言わない滝に

「でも何?」と聞くと


悲しそうな目で私の方を見て「あんな奴に取られるのは嫌だ」と小さく呟いた


丁度シュークリームを食べ終わる

まだ他のケーキもいっぱい食べる予定だったが

これ以上彼とは居たくなくて

「ごちそうさま。また明日ね」とだけ言ってバッグを持ち席を立つ


「待てよ!」


バッグを持ってない方の手を掴まれる


「なに?」


流石にムカついて彼を睨むと

手の力が弱まったが離してはくれなかった


「あいつのどこが良いんだよ。」


真っ直ぐなその目に向かって

「あんたみたいに簡単に落ちない所」

と言い放ち、手を振りほどいて店を出た

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る