竜狩りのドロシー

８ 低予算プロモーションビデオ

　イントロとともに画面に「THE WESTANGELS POKERS」というバンド名、「Player」というタイトルが黒い背景に、新聞記事の切り抜きのようなデザインで映し出される。

　スタジオで楽器を演奏しているギタリストのジャネット・クロウリーと、彼女が首を捻って楽譜になにやら書き込んでいるカット。

　夜の都会を車の窓から撮影した風景。車内ではドラマーのリリィ・ロウが窓の外を見ながら何か喋っている。

　ライブハウスの階段を降りていくドロシー。

　スタジオでマイクに向かって歌うヴォーカルのエヴァ・ライム。

　Bメロに入り、雑踏の中を歩いているメンバー四人。

　サビ前のドラムのフィルインで、メンバー全員の顔が映る。

　ライブハウスで歌うエヴァ。皆が次々に映るが、ベーシストとして紛れ込んでいるドロシーは出番が少ない。

　歩道橋の上に立つリリィ、都会の空、ウェスタンゼルス・ポーカーズのフライヤー、ギターの指板などのカットを交えてサビが終わり間奏。

　ギタリストのジャネットがステージでソロを披露する中、ドロシーはベースをぶら下げたまま、客席に潜んでいた白い竜を剣で刺した。

　以上全編、画質の悪いビデオカメラで撮影、手ぶれもひどい。それをうまいこと演出として使おうとした意思は感じられる。あえてＢ級感出そうっていうか、アングラ的雰囲気、ＤＩＹみたいな。音質もラジカセ一発録りで悪い。

　ネットの動画サイトにアップして、再生数二百くらい。身内は一応一通り見てくれた。メンバーが九十再生くらいはしている。