6 駐車場を疲れた気分で横切る
駐車場を歩いている。夜明け前で、東の空がほんの少し白み始めているようだ。ドロシーは疲れていた。二重にだった。久々に一人きりの状況だけど、ドロシーが紛れ込んだのは疲れた人間の主観だ。夜勤の仕事が終わって、ものすごくだるくなっている。仕事に価値は見出せないし、給料は安いし、上司は気に入らないし、今住んでるアパートの上の住人がうるさいし、そこら辺の道路を歩いている相手にも疲れてるって状況。
ドロシーはヒラの竜狩りだから、紛れ込むにしてもそこまで危険な状況にはならないけど、ただただつまらなかったり、しんどい状況におかれることはしばしばあって、秘術の行使と重なって、いっそう彼女を疲れさせた。駐車場を通り抜けるころに、自動販売機の上に羽を広げて、緑色の、どちらかと言えば美しい竜が現れていたが、それはなんの慰めにもならずに、〈ピースモンガー〉をガンベルトから抜いて竜の頭を撃ち抜くと、ドロシーはその疲れた人間の置かれた状況から抜け出すことができた。だけどもちろんそれが終わっても、彼女の気分はほとんど変わらないままだった。
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