5 孤立した山荘で事件解決の助けとなる

 外部に繋がる唯一の吊り橋が何者かに落とされ、山荘は孤立した。密室と化したそこで、既に三人が惨殺され、生き残りたちは、次は自分の番かも知れないと怯えている。この中に犯人がいるのではないか、という疑惑に苛まれ昨晩、ジョンソン氏は自室に篭ったが、明朝鍵のかかった室内で死んでいるのを発見された。

 かつてジョンソン氏を含む死んだ三人と、生き残りのミス・アダムズとフリッツ教授は大学のサークルで、不穏なる揉め事を起こしたというのは、偶然居合わせたドロシーにも察することができたが、それについて頑なに彼らは口をつぐんだ。希望と言えば、ドロシーの連れのリックは昔から謎解きが得意で、同級生や近所の問題をいくつも解決してきたってことだ。もちろん密室殺人なんかに挑むのは始めてのことだけど――

 ミス・アダムズが何者かに襲われ、幸い四人目の犠牲者となるのは避けられたが、またいつ狙われるか分からない、というところまで来た朝、ドロシーは悩むリックの隣でさりげなくこう言った。

 ――今日の朝食もオートミールなんだ、こんなときだからしかたないけれど、さすがに飽きたね、少しでいいから肉を食べたいよ、切れ端だけでいいから、そういえばうちの近所のレストランで先月食中毒あったらしいよ、あ、ジャスミンティー飲む?

 それを聞いたリックは目を見開いて「そうか、そういうことだったのか!」と叫んで、「みんなを集めてくれ。この忌まわしい殺人劇に幕を下ろすときが来たんだ」

 自分のどの台詞がヒントになったのか分からないが、ドロシーは台所に現れた小さな竜を、これまでの犠牲者よろしくバラバラにして、フリッツ教授が「何! 犯人が分かっただと? 子供の遊びに付き合ってる場合じゃないんだぞ……」とぼやく中、山荘を後にした。





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