4 英雄的な騎士達と邪悪な竜を倒す

 古城の頂において、重厚な鎧で武装した騎士達が邪悪な竜と対峙している。何人もの犠牲を払いつつここまで来たのだ。もちろんこの竜はこの状況の一部なのでドロシーの獲物ではない。団長が剣を抜いて、「邪悪なる竜、なんとかかんとかよ、なんとか神の裁きを受けるときだ! このなんとか騎士団が……」と名乗りを上げている。ドロシーも騎士団の一員ということになっているので、彼らと喊声を上げ、突撃する。竜が吐く火を、神聖な護符とか保護の魔術のかかった盾とかで防ぎつつ、竜に向かって突っ込んでいく中、ドロシーは脇道に逸れ、壁際にいた体長二メートルくらいの灰色の竜を剣で突き刺した。

 そのあと騎士たちがどうなったかは知らないが、恐らく英雄的に邪悪な竜をやっつけることができたのだろう。こういう状況を好む竜狩りと好まない竜狩りがいる。一時とは言え英雄を疑似体験することに対してどう思うかだ。ドロシーは特にどうも思わず、また少し草臥れて、古城を後にした。

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