カナブン






『穴堀』はシャッダの樹が巻き付いたスコップでコゲードを殴り倒している


「『株』さんよー、スコップに巻き付いた樹を解除しとくれ、これじゃあこの宇宙植物どもを倒せやせんぜえ」


宇宙植物学の重鎮アギジャ博士は「ですが、コゲードの数が増える心配もありません」と

小さく呟く


アギジャ博士は続けて


「『穴堀』が叩いたコゲードは

しばらく動けないようです、シャッダの樹がコゲードの動きを細胞単位で抑制していると

思われます」


するとランチラックが


「ギっちゃん、『電卓』でコゲードの数を

減らしてくれ」


猫背で小柄なへなちょこ野郎のアギジャ博士が

勇ましく装甲車から飛び出した


『電卓』がアギジャ博士のユタージンアイテムである


「なっちゃん、シャッダの

株はまだある?」


御存知SNSスーパーナチュラルサラリーマン夏田古文時の左手には手錠が掛かっていて、黒いビジネススーツケースがしっかりとキープされている


「らっちゃん、あと二個だけシャッダの

株ありますよ」


「よし、すぐにアギジャ博士にシャッダの樹を籠状にして被せてくれ、シャッダの樹には敵対心がない、敵対心のない植物ならばおいらのユタージンで操れる、残りのシャッダはこの装甲車に

被せてくれ」


心配そうにユターシャが


「あの3人はどうするの?」


「心配ないよユターシャ、あの3人の思考を読んだんだ、おいらは、そこらの宇宙植物よりずっと深く、思考を読むことができる、『穴堀』は攻守のバランスが抜群の、使えるユタージンだ、残りの2人の正体も判ったよ、1人は…驚いたことに……おいらの友達だった、中学生のとき、おいらはボディーガードをやらされていた、おいらがガードしていたのが、あの3人のうちの1人…カナブンだ、まさか、あのひ弱なカナブンがユタージンだったなんて、懐かしいなあ…

カナブン…」


夏田古文時が


「らっちゃん、その話 長くなりますか?先程からすでに、シャッダの株にユタージンを練り込む業務を完了して待機している私SNSスーパーナチュラルサラリーマン夏田古文時

でありますが?」


「早く言ってよ!なっちゃん」


「早く思考を読んでよ!

らっちゃん」


装甲車を飛び出しながら


夏田古文時はシャッダの株を装甲車に投げる

ユタージンを練り込んだシャッダの株は装甲車に当たると同時にたちまちシャッダの樹として成長した


シャッダの樹は装甲車を籠状に包む

装甲車の車輪まで包まれたので装甲車は自走できない


装甲車を飛び出しながら


ランチラックは

ランチラックからランチを発射する


(ランチラックのユタージンアイテムは、ランチラックである

ランチラックを御存知の読者様には申し訳ございませんが、ここでランチラックのご紹介をさせていただきます)


(この物語でのランチとは、宇宙植物の餌であります

ラックはもちろん、棚のことであります

ランチを発射する、というのは、ユタージンであるラックから餌を発射するということであります

この餌により、宇宙植物であるシャッダの樹をランチラックが操縦するということです

操縦可能なのは味方の宇宙植物だけであります

けれども………)




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