宇宙植物
南の島で
夏田古文時に
水牛のぎゅうちゃん(水田水遁)を貸し与え
「町を救ったら 町の
ちゅらかーぎ(美人)の娘と付き合えるし結婚できるさあ」
と
夏田古文時を騙して町を救わせた
あの憎き
ナカンダカラであった
ものすごく歳を重ねているようでもあるし
意外と若いような感じでもある
善人そのものの顔
なのに
悪人のようでもある
あのナカンダカラであった
「きさまあ、ぬけぬけと
現れやがったな!」
んもんもんもおお
ぎゅうちゃん(水田水遁)が場違いな のんびりとした声をだした
町の映画館の椅子に
夏田古文時を縛り付け
鼻の穴にポップコーンを詰めて放置した
憎き水牛である
SNS(スーパーナチュラルサラリーマン)夏田古文時(ナツダコブンジ)は
鼻の穴にポップコーンを詰められると
念の力も 普通の力も出せないという秘事を
なぜか水牛が知っていたのである
きっとナカンダカラじじいの入れ知恵であろうと夏田古文時は推測している
「夏田古文時!」
ナカンダカラの声は
南の島で聞いたときと全く異なる
底知れぬ威厳を
聞く者に
無条件で受け入れさせる
そのような声であった
水牛のぎゅうちゃんの背で
胡座をかいて威風堂々のナカンダカラは
将軍のようでもあり
仙人のようでもあり……
「ほんとうに、あのナカンダカラさんであられますか?いや、それよりなぜ私を騙して、ぎゅうちゃんに縛り付け
させたのですか?」
「危機的状況下における
緊急避難で
あったのじゃ」
「?」
「おぬし夏田古文時、なぜナツダックに
勤めてをるのじゃ?」
「ナツダックを創設したのが、私の祖先でありまして、夏田ゆえにナツダックとう社名となりしとぞ聞き及びてをる状況下に
ござります」
「たわけ!おぬし、夏田古文時、時代劇風の口調となっとるぞ、従順のふりした順応性じゃ、わが子孫にこのような性質のものが現れようとは…、このような性質というのは、おぬしの性格のことだけではないぞ、その念の能力を特殊株に応用する、邪な
順応性のことじゃ」
「子孫? まさか、ナカンダカラさんは、わが祖先?だったら、ものすごい
じじいじゃないの?」
「夏田古文時!本性を現したな、だが、粗暴さをビジネススマイルで隠したスタイルは宇宙植物との戦いでは
役に立つ」
「宇宙植物?」
「それだ夏田古文時!その、知識をひけらかさないスタイル、宇宙植物との戦いでは役に立つ、おぬしが救ったあの町、あの町を捕食しようとしていたのが宇宙植物だ、あれはギンネムの大きいのでしょう、とかとぼけちゃならんぞ
夏田古文時!」
「ちぇ、その通りにすっとぼけようと
してたのに」
「夏田古文時!おぬしが宇宙植物を研究していることは知ってをるぞ、おぬしを宇宙植物研究へと誘導したのは
わしだからな」
「悪いやっちゃじっちゃん、じっちゃん自身が悪い宇宙植物
なんじゃねえか」
「さすが我が子孫じゃ、なかなかの推論だと評価する、さて
仕事じゃ夏田古文時」
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