第二話:お前クソ野郎だな


「ヒヒュッ、でっ、では改めまして」

 机を挟んだ向かい側に座っているボサボサ頭の白衣女がぎこちなくお辞儀をする。

「日々子です、おじゃまししします。ヒヒュッ、おっ、男の部屋……」

「……九里です」

 不本意とはいえ、来客は来客だ。しぶしぶ挨拶を返す。

 ……今朝は病室で目が覚めた。その瞬間までは、全て夢だったんだなと思う事ができた。しかしすぐに全身の痛みと、左腕につけられたままの派手でダサい腕時計のせいで、昨晩の出来事は現実だったのだと思い知らされた。僕はあの後いつの間にか病室まで戻ったらしい。何があったんだ。

 寝ぼけた頭でまずこの派手でダサい腕時計をなんとかしようと思い、外そうとするも、どういうわけか金具がピッタリとくっついていて外し方がわからない。……帰ってから工具で無理矢理外す事にして、今は諦めてシャツの袖で隠す事にした。

 建物だけは大きいが警備面は酷くずさんな病院だったらしく、深夜あれだけの騒ぎがありながら、四階の廊下の窓ガラスが割れている事と駐車場に奇妙な人型の穴があいている事が発見されたのは朝になってからのようだった。

 僕は何も知らぬフリをして、ただ神社の前で転んで頭を打って意識を失っていた患者として何食わぬ顔で退院してきた。湿布を大量に貰って。

 廊下のガラスの事を質問されたが、寝ていたので気がつかなったと言っておいた。

 一応気になって、昨晩の看護師さんの事を尋ねてみたが、朝になるなりナースステーションに辞職届を叩き付けて何も言わずに帰ったらしい。無理もないか。

 そして僕がボロアパートに帰り着くと、ドアの前に小汚い白衣の女が座り込んでいたわけだ。「住所も見ちゃったから、ヒヒュッ」との事だった。怖すぎて漏らすかと思った。そして今に至る……と。

 ……まあ丁度いい、昨晩の事が現実だったのなら、こいつに聞きたい事が山ほどあった。

「さっ、さて、何から説明しようか……きっ、聞きたかったんだろう? 色々、わざわざ、説明にきてやったんだ。ヒュッ」

 どもりながら話すくせに妙に高圧的な女だ。

「じゃあまず、あの黒いのはなんだったんでしょう」

「よくわからない」

 即答された。

「わからないって、なんだよ。なんかあるだろ……」

「ヒッ、くっ、詳しくはわからない。はっきりした正体とか。でも、わかってることもいくつかある」

「わかってる事……」

「うん。そっ、それは説明してやるから……の、飲み物くれ、味がついてるやつ。ヒヒュッ」

 ……今すぐ帰ってもらうべきか迷ったが、気になるのは事実だ。飲み物を用意してやるか。しかし味がついてるやつとはどんな注文だ、普段どんな生活をしているんだ……。

「どうぞ。続けて」

 日々子の前にコップを置く。

「……お茶、ヒヒュッ、あっ、味がついてる! んっ、私はあの黒いやつを、『クロイノ』って呼んでる。だ、だいたい黒いから」

 ……『クロイノ』か。なんだか力が抜ける名前だ。そのままじゃないか。日々子は異常な程美味そうにお茶を飲んでいる。普段何を飲み食いしているんだ。

「そのクロイノって、いっぱいいるのか?」

 一気にお茶を飲み干した日々子がニヤニヤ顔で答える。

「ん。いいーい質問だ。昔はそんなに、多くなかった。す、少なくとも私がクロイノについて知った時は、半年に一匹とか、月に一匹とかだった。それがだんだん増えた。さっ、最近は多い時だと週に数匹とかてきたり。ヒヒュッ」

「出てくるって、どこから?」

「ヒュッ、くっ、詳しくはわからないけど、お前、九里が気絶してたとこの神社、あのボロい神社が、クロイノが出現するのに関係があると思う、多分」

 九里って呼び捨てか。馴れ馴れしいけど、お前よりいいか。またお茶をくれてやろう。無言でお茶をコップにいれ日々子の前に置き、質問を続ける。

「多分、ってのは?」

「お茶……気が利くじゃないか。くっ、詳しくはわからないけど。これまでクロイノが出た所をマッピングすると、円に近い形になる。そしてその中心があの神社になるんだ」

 説明を終えた日々子はまたしてもお茶を一気に飲み干す。お茶でいいのか。好きなんだろうか。

「なるほど。それで、あんなことしておいて今更だけど、そのクロイノってのは何か、ほっとくと害があるのか?」

「ある。あるけど、どっ、どんな害って一概には言えない。あいつらは個性がある。お前が最初見たやつと、病院で見たやつも違っただろ? 生まれた後の行動もそれぞれ違うけど、共通して言えるのは、ぜぜ全部、何かしら人間に害がある行動をするって事。今まで現れたやつ全部大なり小なり害があったんだ。畑を荒らしたりする程度のやつ、選挙ポスターを全部剥がしたりするだけのようなやつから、家畜や人間を襲ったりするようなやつまで、色々いる。それこそ、ナースの顔をベロベロ舐めるやつとか。ヒヒュッ」

「ああ……全部があんな感じってわけじゃないのか。でも、多分あの神社が原因って話なら、取り壊してしまえば良いんじゃないか?」

 質問しながら再び日々子のコップにお茶を注ぎ、置く。

「んー、確かにそうなんだが。でっ、できるならとっくに誰かやってる。クロイノが出てこないとしてもあんなボッ、ボロい神社あっても仕方ないし。ほら、聞いた事あるだろ? 道路を造る為にご神木を切ろうとしたら、必ず何か事故があって切れないから道路が不自然に曲がってる場所とか、そっ、そう言う都市伝説あるだろ。多分あの神社もそういうやつなんだ。潰せないんだ。多分もう誰も管理してないしボロボロだけど、ほっとくしかないみたいなんだ。あそこも何度か潰す計画があったんだけど、ぜ、全部なぜか中止になってる。ヒヒュッ」

「……なるほど」

 日々子はコップのお茶を一気に飲み干し、また説明を続ける。

「で、でもクロイノはほっといても出現頻度もこれまでは少なかったし、いっ、いつのまにかいなくなってたりするからあんまり気にしなくてもせいぜいオバケの噂止まりだったんだけど、ヒヒュッ、中には危ない行動をするやつとかいるし。分解できるなら、する方が良いに決まってる。おっ、おいもうお茶はいい。十分だ」

「分解?」

 急に出て来た変な言葉に思わずお茶を用意する手を止めて聞き返す。

「あいつらにはあの神社が何か関係しているって話は、しっ、したな。だからあの神社の中を調べたんだ、そしたら、これが出て来た」

 日々子は白衣のポケットからクシャクシャの古い紙を取り出し、机に広げた。

 ……文字のような何かが書いてあるが、読めない。

「何て書いてあるんだ?」

「よくわからない」

 即答だ。

「わからないって、なんだよ。なっ、なんで今これ出したんだよ……」

 日々子のコップにお茶を注ぎ、叩き付けるように置く。

「なんでまたお茶……せっ、正確にはわからないんだ。こんな文字、世界中どっ、どこにも無いんだ。でも予想はつく。図が、めちゃくちゃわかりやすいから。レゴの解説書レベルでわかりやすい」

 日々子は震えながらお茶を一気に飲み干した。要らないと言う割に出せば出すだけ飲むな。貧乏性なんだろうか。

 あらためてその紙を見ると、なるほど子供が描いた絵のような図がある。怖い顔の人から何かフワフワしたものが出て、細い木に入って行く。木の周りには、炎や、ドクロ、なんだかわからない黒い丸など、なんだか不気味な物が色々描かれている。……そういった風に見える。しかし、さっぱり意味がわからない。

「……で、これはどういう意味なんだ」

「さっ、最初は全然わかんなかったけど、多分、これは呪い。ヒヒュッ」

「呪い……?」

「人の恨みとか、欲とか、そういう良くない思念をこの木がアンテナみたいな役割をして受信して、集めて、かっ、形にするんだ。その黒い丸いのは、多分クロイノだな」

「じゃあ、その木があの神社のヘロヘロのご神木?」

「たっ、多分な。おいお茶はもういい!」

 無視してお茶を注ぎ、日々子の前に置く。呪い? あのご神木が化け物を産む? 突然オカルトやファンタジーのような話になっていまいちピンと来ない。

「あの枯れ木にそんな力が……そんな、じゃあそのクロイノの正体は、呪いの産物と」

「文のとこが読めないから可能性にすぎないけど、そう考えてる。実際それで色々つじつまが合うんだ。詳しくは後で話すけど……信じられないか? 呪いとか、オカルトみたいな話だけど、九里もその力の一部を実際体験しただろ」

 確かに昨晩の出来事は超常の現象だと言える。しかしあれが呪いの産物だとは。

「でだ、クロイノが形が無い物が集められて無理矢理形を持ったものなら、また分解して形が無いものとして散らす事だって、でっ、できると考えた。それで実際できたわけよ。昨日九里にやってもらったやつだ!」

 律儀に与えるだけお茶を飲む日々子を尻目に、昨晩の光景を思い出す。ナースペロペロクロイノを病院の植え込みの木に押し付けて、ナイフで磔にした。すると、確かに黒い煙になって消えた……。あれがご神木からクロイノが生まれる呪いの応用だと言う事だろうか。しかし、だとするとまた一つ疑問が出てくる。

「でも、あれってただの植え込みの木だったろ、ご神木でもなんでもない」

「いいいいい質問だ! 九里! そう、ここからが大事だ!」

 お茶責めでグロッキーになっていた日々子が急に元気になった。何かスイッチを踏んでしまったらしい。正直ここまでの話も半信半疑だし、そもそもあまり理解できてない僕は思わず身構えてしまう。

「クロイノがご神木の力で生まれるならぶっ、分解もご神木でできるはず! クロイノがご神木の所にだけ出てくれたら話は早い! だがそうはいかない! そこでクロイノと戦い! その辺の木や柱にあのご神木と同じような性質を与え! クロイノを分解するエネルギーを流し込む装置!」

 なんだこいつ、ハッキリ喋れるじゃないか。なるほどだんだんと話が繋がってきたぞ。

「なるほど……それがこの派手でダサい腕時計……」

「ダサくねぇー!」

 興奮した日々子に殴られた。



「それは怨念装甲二号だ、カッコいい怨念装甲二号だ、復唱しろ、ヒュッ」

「カッコいい怨念装甲二号」

 三回程言わされた後、日々子は昨日僕を変身させた派手でダサい腕時計、怨念装甲二号について説明をはじめた。

「よし、今後九里が長い事世話になるものだからな、ヒヒュッ、詳しく説明してやろう」

 聞き捨てならない台詞が聞こえた気がしたが、ヒートアップした日々子は僕が口を挟む間もなく派手ダサウォッチについて語り続けた。

「ど、どういう物だかは昨日使ったからわかるな? さっきの説明と重なるが、危ないクロイノと戦う装甲を身にまとい、弱らせたクロイノをその辺の木か柱に打ち付けると、消せる。その怨念装甲二号の中には、あ、あの神社のご神木の切れ端が部品として入ってるんだ。ヒヒュッ」

「そんな罰当たりな……」

「罰当たりもなにも、あの神社にめっ、迷惑してるのはこっちだ。ヒッヒヒュ、そのご神木の性質はさっき言ったな? よくない思念をあつめて、かっ、形にできるんだ。怨念装甲はその【よくない思念】の中でも特に強力で扱いやすい【恨みの思念】を使う。よって、使う為にはまず誰かに恨まれなくちゃならない」

「なんだって?」

 思わず聞き返す。

「きっ、昨日の事を思い出してみろ。身につけたやつに対する誰かからの恨みを感じたら、その赤いランプが光る。わかりやすいだろ? 昨日は、あの看護師からの恨みだ。お前が助けもせずに病室に引っ込んだのを利用して私が焚き付けた。装甲を展開するのに必要な恨みはほんの少しでいい。恨みは微量でも強力なんだ。ま、まだわからないことも多いけど」

 昨日の事、たしかに日々子が急に僕を罵倒し始めたな。廊下まで聞こえる、やけにわざとらしい大声で。あれが看護師さんにも聞こえて、真に受けて僕を恨んで……僕を?

「なあ、なぜ僕を……」

「今良い所だ邪魔するな! しっ、質問は最後にまとめて受け付ける!」

「はい」

 情けない事に負けてしまった。説明がヒートアップしている。言われた通り、最後にまとめて質問する事にしよう。お茶を注いでやろう。

「ヒュ、もうお茶はいいって……。つっ、続けるけど、変身にはあ、あと二つ必要な条件が、ある。人に恨まれて力を身につけるようなシステムが悪人の手に渡ったら大変なことになるよな? だっ、だからロックをかけたんだ。悪人には使えないような。人に恨まれて、尚かつ、罪悪感を感じる必要がある。名付けて罪悪感ロックシステム!」

「そのままだな……」

「う、うるさい。罪悪感を感じると青のランプが点灯する。まあこの罪悪感はその恨みに対応してなくてもいいんだけどな。のっ、残るは最後の一つ、ヒヒュッ、これは簡単だ。リューズを押せばいい。向けられた恨みのエネルギーで、装甲を生成して展開する。押しながらカッコいい台詞言うと、さらに雰囲気が出て良い。ヒヒュッ、き、着心地は昨日体験した通り」

 もはや意地なのだろうか。説明を終えた日々子はお茶を飲み干す。

 なるほど確かに、昨晩は俺が日々子に言いくるめられて、看護師さんに対して罪悪感を感じた時に青く光りだした。そして日々子がリューズを押し込むと……

「変身! とか、蒸着! とか、重甲! とかさ。言うとカッコいい。私は『装甲展開!』が気に入ってるけどな。まとめると、誰かに恨まれて、罪悪感を感じて、押す。簡単だろヒヒュッヒッ、さあ質問を聞いてやる。あとありがたいけど本当にお茶はもういいから」

 正直わからない事だらけだ。恨みエネルギー? 良くない思念? 呪い? だいたいどういう仕組みなんだこれは! 本当に無害なんだろうな! だが……最初にする質問は決まっている。

「これどうやって外せばいいんだ」



 日々子がかれこれ数分、僕の左腕を握ったまま派手でダサい腕時計の隙間に安全ピンを差し込んでガチャガチャやっている。体温が伝わって来てなにやら恥ずかしい。だがそれ以上に、安全ピンの扱いが怖い。

 日々子曰く、昨晩の戦いで取り外し機構が壊れたらしい。バンド部分を切ることを提案したら、ここも重要な部品であるらしく断られてしまった。なので大人しく左腕ごと日々子に預けている。無言で腕を握られ続ける気恥ずかしさと安全ピンの恐怖をごまかす為、他の質問をしてみる事にした。

「作業しながらでいいから、いくつか質問させてくれ」

「……ん、いいけど、う、腕を動かすな」

「お前は何者なんだ」

「ヒヒュッ、せっ、正義の科学者さ!」

 正義の科学者……こんな物を作るから得体の知れない技術があるのは間違い無い。正義の部分は追求すると面倒くさそうだ。

「……具体的にどういう仕組みなんだこれ、恨みをエネルギーとして使うってのがよくわからない」

「せっ、説明しても良いけどどうせわからないぞ、正直私も完全には理解してない」

「なんだそれ、本当に大丈夫なのかこれ」

「多分……。あ、まあ精神的には不健康だな。ヒヒュッ」

 技術に関する質問もダメだ、だんだん怖くなってくる。

「話にちょくちょく出てくる、一号ってのは」

「……一号は、怨念装甲の一つ目……怨念装甲一号の装着者。わっ、私とクロイノを退治してた。ほ、本人の希望で、一号って呼んでた……九里を神社の前で殴ったやつ」

 日々子は派手でダサい腕時計の隙間から安全ピンを差し込みカチャカチャやりながら答えた。集中しているのか、元々妙な喋り方がさらに妙だ。

「やっぱりそうなのか、じゃああの後殴られた僕からの恨みでこれを作動させて、あの黒いのと戦ったんだ」

「……ま、まあそうなんだけど、少し目を離した隙に……クロイノごとゆゆ行方不明になった。連絡がつかないんだ……取り残された私は、どっ、どうすればいいか考えてたら、たまたま通りかかった人が救急車呼んで、倒れてた九里を運んで……行ったから、一応責任を感じてだな。追いかけて病室に忍び込んだわけだ……ヒュッ。まっ、まあ一号は昔からたまにフラフラ出て行くクセみたいなのがあったし」

「へぇ。もう一つ、さっき聞こうとしたやつ。この派手でダサい……怨念装甲二号だけど、なんで僕なんだ? 使い方知ってるお前がつければ良かったんじゃないか?」

「……つ、使い方、説明したよな……人に恨まれるのが条件って。ヒュッ、わ、私は人に恨まれたりしたくない……からな。人がよさそうな九里にやらせた」

 なるほど。もっともな理由だ。誰だってそうだ。人に恨まれるなんてごめんだ。だからこそ、どうしても言いたかった。

「お前クソ野郎だな」

「……」

 だってそうだろ、自分がやりたくない事を僕にやらせて……日々子は何も言わない。言い返してくると思っていただけに意外だ。クソ野郎は言い過ぎたか? 実は他に何か言えない理由でもあったんだろうか。……今度は日々子がクスクス笑っている。なんだよ。

「ヒヒュッ……青が光ってる。か、可愛いな九里」

 左腕を見ると派手ダサウォッチの青ランプが光っている。つまり僕が罪悪感を感じたわけだ。なんだか酷く恥ずかしい。やっぱりこいつはクソ野郎だ。

「……まだ外せないのこれ」

「ヒ、一回文字板外さないと、む、難しい。マイナスドライバー、か、貸せ。あっ、あと……トイレ貸せ、久しぶりに味がついたもの飲んで、ちょ、調子に乗った」

 さすがにお茶を飲ませすぎたな。

「どうぞ。トイレそこの扉。ドライバー探しておくから」

 言い終わるや否や日々子は信じられないスピードの早歩きでトイレへ行った。もっと早く言えばよかったのに、尿意よりこれを外す事を優先してくれていたのだろうか。変な所で律儀だ……今ので罪悪感感じてないよな。左腕に目をやると、どうしたことか。ランプが3つとも点滅している。さらにデタラメだった針が急に動き出し、別のデタラメな時間を指した。なんだよこれ、説明されてないぞ。

「あのさぁ」

「トトっ、トイレ中に話かけるな!」

「なんか三つとも点滅してるんだけどこれ何」

 日々子がトイレから飛び出して来て、僕の左腕を強引に掴み派手でダサい腕時計を食い入るように見る。

「手洗えよ! あと流せ!」

「うるさい! それどころじゃないんだよ。行くぞ九里。残念だけどこれを外してる暇は無くなった」

 心無しか日々子がニヤニヤしている。

「ヒヒュッ、くっ、クロイノ退治だ! 一緒にきてもらうぞ」



 小汚い白衣の裾が風にはためく。ヘルメットからはみ出したボサボサの髪からは意外な事にシャンプーの良い香りがする。

「ちゃっ、ちゃんと誘導しろ!」

 バイクの運転をしながら日々子が叫ぶ。こいつがバイクの運転できることも、髪の匂い以上に意外だった。今朝アパートに帰ったとき駐輪場に見慣れない二五〇ccのバイクがあったが日々子の物だったらしい。「ヒヒュッ、ヒーローと言えば古今東西バイク移動だろ?」との事だった。そして僕は今そのタンデムシートに座っている。

「えー、に、二時の方向! もうちょっと!」

 派手ダサウォッチの文字盤を見て、エンジン音に負けないように叫ぶ。

「ヒヒュッ、了解!」

 派手でダサい腕時計は変身アイテムだけでなくクロイノ探知機の機能も備えていた。詳しい仕組みは聞かなかったがクロイノが出現すると三つのランプが点滅するらしい。デタラメだと思っていた針もデタラメではなかった。長針がクロイノの方向を示し、短針がクロイノまでのおおよその距離を示すそうだ。

 ちなみに時計としての機能はないらしい。出発前に日々子が手を洗いながら説明してくれた。もちろんトイレも流させた。抜かりは無い。

 日々子の運転するバイクは防波堤沿いの道へと入って行く。磯臭さが鼻を突く。

「近い! すぐ近くだ!」

 僕が叫ぶや否や日々子が急ブレーキをかけた。衝撃で日々子のヘルメットに額をぶつけ、一瞬意識が遠のく。

「ヒッ、いた! ヒヒュッ!」

 日々子がバイクから飛び降り、不法投棄されていた朽ちた自販機の物陰に隠れる。僕もそれに従う。日々子が指差す方を見ると……いた、昨晩のやつよりずっと大きいクロイノだ。

 牛ほどのサイズの黒い胴体からは六本の細長い足が生えている。頭部は無く、かわりに鋭利なツノのようなものが生えており、路上に駐車された高そうな車に執拗に体当たりを繰り返している。車の持ち主は見当たらない。道路の奥にはすでに数台、破壊された車が見える。

「あいつ、何やってるんだ……」

 そのカブトムシの様なクロイノは機械のように繰り返し繰り返し体当たりをしている。見えない手がプルバックカーを引いては車にぶつけ、引いては車にぶつけているかのような光景だ。

「ヒュッ、わっ、わからないけど、こっちに気がついてない。チャンスだ」

「よし! で、どうすれば?」

 日々子の説明通りならば、この派手でダサい腕時計から装甲を展開してヒーローみたいに変身するには僕が誰かに恨まれなければならない。ヒーローなのにわざわざ恨まれるという点がひっかかるし、具体的にどうすればいいのかわからない。

「あ、あいつは車に夢中だから、九里は、どっかで誰かに恨まれてきてよ。す、すぐそこの公園で子供があっ、遊んでたろ」

「……最低だなお前」

「ヒヒュッ、ほっといてあのクロイノが、人に迷惑かけるよりいいだろ。あんなのが人に体当たりしてみろ、ひ、酷いぞ」

 もっともな言い分だが、あのクロイノをやっつけるために人に恨まれる、その覚悟がなかなか持てない。当たり前だ、罪の無い子供に何をしろって言うんだ。

「お前が僕を恨めないか」

「恨むような事が無いし、わっ、私は根が慈悲深いからな。ヒヒュッ。あと九里がこれダサいって言った時クソムカついたけど別に光らなかったし、私じゃだめなのかも」

「そうだ、一号ってやつにはまだ連絡がつかないのか?」

「う、うん。つかないんだ……どうしたんだろ。それに九里、ヒヒュッ、自分が恨まれるのは嫌で、一号が『他人に恨まれるような事をする』のは良いのか。ヒヒュッ、そりゃ一号がやれば恨まれるのは一号だ」

 こいつは変な喋り方のくせに人を追いつめるのが上手い。見れば、派手ダサウォッチの青ランプが点灯している。自分の心が可視化されたようでなんだか落ち着かない。

「あっ、あと一号は罪の無いお前を躊躇無く殴るようなやつだぞ。ヒヒュッ」

「……わかったよ」

「ヒュッ、いっ、いくぞ!」

 日々子はニヤニヤ顔で走る。僕はこれから自分が行う事をあれこれ想像して最高に憂鬱な顔をしてついて行く。

 一号ってやつは異常だ。きっと日々子に付き合わされてこんな思いをずっとしていて心が麻痺したんだ。僕が一号ってやつに同情していると日々子が足を止めた。

「ヒッ、あのガキにしよう」

 日々子が前を指差しながら言う。誰がどう聞いても悪役の台詞だ。見れば、公園の方向へと歩いている子供がいた、美味しそうにアイスを舐めながら歩いている。

「よし、くっ、九里。あのガキのアイスを叩き落としてこい。そしてダッシュでクロイノのとこに行くぞ」

 悪魔のささやきは想像以上に邪悪な提案だった。これが正義のヒーローがやることなのか? どうしてもやらなきゃだめか? 日々子の顔には「はやく行け」と書いてある。僕の中に僅かに残っていたヒロイックな高揚感は殆ど消えかかっていた。

「はやく行け、あいつが今度は人を襲ったりしてみろ、あの子供なんかペチャンコだぞ」

 日々子が追い打ちをかけるように僕を急かす。そして僕は、その悪魔のささやきに従った。足早に子供に近づき、きょとんとしている子供のアイスを持った手を、叩いた。

「ごめん!」

 叫びながら逃げる。せめてもの償いとして、財布にあるだけの小銭を全部まき散らしながら逃げる。子供はあっけにとられて追ってこない。許してくれ! 許してくれ! 想像以上の罪悪感に押しつぶされそうになりながら、走る。気がつけば六本足クロイノの所まで戻っていた。六本足クロイノはまだ体当たりを繰り返していた。

「ヒヒュッ! 早く! やれ!」

 いつの間にか朽ちた自販機の物陰に戻っていた日々子が興奮気味に叫ぶ。派手でダサい腕時計を見ると、赤いランプと青いランプが激しく発光していた。さっきの子供からの恨みと、僕の罪悪感をしっかりと受信して。

「ええい! ごめん!」

 そして僕は、リューズを押し込んだ。緑のランプが点灯し、左腕の感覚が無くなる。派手でダサい時計から白い装甲が展開し全身を包んで行く。全身の感覚が無くなる。頭上で炎が燃え上がる音がすると同時に感覚が戻り、全身にあのゾクゾクした不快な力がみなぎる。

「うわあああああああああ!」

 叫びが無意識に出ていた。気持ちを切り替えろ、今は、とにかくあいつを倒す事を考えろ。後で謝れ、今はあいつだ!

 自分に言い聞かせながら、六本足クロイノへと走る。一瞬で距離を詰め、勢いに任せて殴る。大きな牛程のサイズだった六本足クロイノが、いとも簡単に吹き飛んだ。

「ヒヒュッ! す、すごい! すごい恨みだな!」

 日々子が興奮気味に叫んでいる。確かに、改めて実感する。凄い力だ。これが恨みの力。早くも体が不快な感覚に慣れ、心に全能感が満ちてくる。

 都合のいい事に防波堤沿いの道は防風林として植えられた松だらけで、こいつを分解するための木には事欠かない。

「さっさと終わらせるぜ!」

 ヤケクソ気味に調子にのった台詞を吐いて、格闘技なんてやったこともないくせにそれっぽい構えをとる。大丈夫だ、この力があれば勝てる。六本足クロイノが起き上がり、六本足でこちらへ突進してきた。猛烈な勢いだが、真っ正面からくるとわかっている攻撃を避けるのは容易い。

「げっ! よっ、避けたらこっちにくくく来るだろうっが!」

「あっ」

 振り返ると六本足クロイノがそのまま日々子の方へ突進している。これはマズい。良くない。死ぬ。日々子が。

「ちょっと待て! 今の無しだ!」

 足へ力を込め、クロイノの方へ駆けて後ろの足に飛びつき踏ん張る。六本足クロイノは僅かに減速するが、突進をやめない。二本掴んだところでまだ足が四本残っているので走るには十分なのだろう。止まらない、ダメだ、これ。

「避けろ!」

「ヒーッ!」

 直後、六本足クロイノは僕を引きずったまま日々子が隠れていた自販機に突っ込んだ。日々子は……ギリギリかわしたようだ、多分。潰れた自販機のすぐ横にうつ伏せに倒れている。五体満足だ。

 しかしホッとしている暇も無く、六本足クロイノはそのまま後ろへ動き出した。マズい! 慌てて一度距離を置くべく防波堤の上へ飛び上がる。

 昨晩と同じく、僕は最初の一撃で調子に乗っていたらしい。よく見てみろよ僕、あんなの牛くらいあるカブトムシみたいなものじゃないか! 一方僕は……恨みエネルギーとやらでどれくらい強くなっているんだかわからない。そういえば、そういう具体的な説明は何一つなかった。

「おい! 日々子!」

「ヒッ! は! はい!」

 起き上がった日々子がよろよろ隠れながら応じる。とりあえず怪我はしていないようだ。

「これ、勝てるのか?」

「わっ、わからない! けど、とにかく木に打ち付ければいける!」

 わからないときたもんだ。六本足クロイノはツノをこちらへ向け威嚇するような動きで防波堤へにじり寄ってくる。ここまで上ってくることはできないといいが、これからどうする? 考えていても仕方が無い。

「とうっ!」

 ヒーローじみたかけ声で防波堤から飛び上がり六本足クロイノの背中に飛び蹴りを試みた。もちろんそんな行動生まれて初めてだったが、僕の不格好な飛び蹴りは上手い事六本足クロイノの背中に命中した。

 六本足クロイノが不気味なうなり声をあげながらよろめく。効いているようだ!

「よし! ヒヒュッ! 良いぞ!」

 飛び蹴りの反動で背後に跳ぶ。日々子の声が聞こえる、どこから見ているんだ? だがこの声援はあまり悪い気はしない。などと考えていたら僕は背中から地面に叩き付けられた。飛び蹴りの着地に失敗したのだ。

「あー……」

 同時に日々子の落胆する声が聞こえる。受け身なんて取る余裕は無かった。酷く痛い。

「痛っ……」

 後頭部を抑えながら起き上がると、まさに僕に向かって六本足クロイノが突進を繰り出した直後だった。血の気が引く。マズい、かわせない!

「オゲッ!」

 思わず目を閉じた瞬間、強烈な衝撃で吹き飛ばされる。真っ正面から突撃されてしまった。体が宙を舞い、背中から防波堤に叩き付けられた。防波堤がギャグ漫画みたいに、僕の形にへこんでいる。全身が酷く痛い。昨日は四階から落ちたが、それより痛い。突進の力は想像以上だ!

 そして最低な事に、六本足クロイノはツノを僕の方へ向けて再度突進を構えている。装甲は耐えられるだろうか、装甲が耐えられたとしても、多分中身の僕が耐えられない。これはマズい。死にたくない!

 その時視界の隅に何かが飛び出して来た……子供だ! さっき僕がアイスを叩き落とした子供だ!

 なぜあの子がここにいる? 突然現れてアイスを叩き落として来た不審者が気になって追いかけて来たら、黒い怪物と白いヒーローが戦っていたのに出くわした。そして隠れて戦いを見ていたけれど、ヒーローのピンチにいても立ってもいられなくなって飛び出して来たってとこだろうな。いつから見ていたのだろう。それよりも、危ないぞ子供!

「頑張れー! ろうそくマーン!」

 子供が叫んでいる。蝋燭マン、僕の事だろうか。そして運が良い事に、六本足クロイノの注意が僕からそれた。しかし最悪な事に、六本足クロイノの注意が向いたのはその子供だった。危ない! ここで助けなければ僕は本当にクソ野郎だ!

「うおりゃあああああああ!」

 文字通り、力を振り絞り立ち上がる。六本足クロイノが興奮ぎみに子供の方へ突進を構える。

 時間が無い! 全力で走り出す。この装甲にあいつの突進を止める程の力は無い、せいぜい減速させるのが精一杯だ。ついに六本足クロイノが子供の方へ突進をはじめた。間に合え、頼む!

「ひゃあああああああああ!」

 ヒーローらしからぬ情けない叫び声をあげながら、僕は六本足クロイノの前方に飛び込んだ。止められないなら、子供をどかすしかない! 子供を抱え、跳躍する。六本足クロイノが壁に衝突するのを確認しながら、少し離れた所に着地し、子供を降ろす。間に合った、本当に危なかった。

「ろうそくマン!」

 抱きついて来た子供の頭を軽く撫で、無言で六本足クロイノに向き直る。さて、これからどうしたものか。

「蝋燭マンね、ヒヒュッ。お似合いだ。おい蝋燭マン!」

 日々子だ。声のする方を見ると、防風林の近くで日々子がなにやら間抜けな工作を終えていた。横倒しの朽ちたドラム缶の上に、どこから引っ張って来たのか大きな板を乗せてある。これはもしかしなくても、物理学でおなじみのアレか。

「シーソー……」

「ヒヒュッ、頑張れよ蝋燭マン! わ、わかっているだろうけど、もう一度説明してやる。あのクロイノを木に打ち付けろ! あいつが何の思念から生まれたのかしらないが、そうすりゃ分解できる!」

 日々子はポケットから十徳ナイフを取り出しその辺に放り投げてバイクにまたがると、けたたましくクラクションをならす。六本足クロイノは日々子へ向き直り、突進を構えた。なるほど、日々子の考えている事を理解した。この六本足クロイノが突進しか能がない馬鹿であるなら、なんとかなるかもしれない。

 六本足クロイノが日々子の方へ突進をはじめる。日々子はバイクで逃げる。僕も追って走り出す、スピードだけは僕の方が上だ。さっき子供を助けた時の感覚を思い出せ! そしてタイミングを測り、跳躍した。

 何てことは無い、馬鹿な作戦だ。六本足クロイノがシーソーの片側に乗った瞬間、反対側に飛び乗って跳ね上げるわけだ。

「うおりゃあああああ!」

 両足に力を込めて板の反対側に着地する。六本足クロイノは、見事に跳ね上がった! こんな馬鹿な作戦が上手くいくなんて……感心している場合ではない、すかさず板を持ち上げて振りかぶり、宙を舞っている六本足クロイノを松の木に叩き付けた。幹がきしむ。

「今だっ!」

 十徳ナイフを拾い上げ、腕ごと思いっきり六本足クロイノを貫く。腕が全て巨体の中にめり込む。ギリギリでナイフの先端が、松に達した。

 全身に鳥肌が立ち、腕が僅かに痙攣する。六本足クロイノがうなり声をあげ、煙となって消えた。あまりカッコイイ方法ではないが、倒したのだ。全身から装甲がはがれ落ち、黒い煙となって消える。僕は疲労感でその場に仰向けに倒れ込む。

「ろうそくマン!」

 さっきの子供が駆け寄ってくる。このままではマズいな、すごくマズい。だが、疲労で動けない。

「ろうそくマン! ろうそくマン……あ……」

 子供と目が会う。すごく複雑そうな目だ。そりゃそうだ、スーパーヒーローの正体がさっき自分のアイスを叩き落とした不審者だったんだからな。どうすればいい、考えろ。

「……さ、さっきはアイス落として、ごめんね。あー、そう。うん。て、敵に操られちゃってたんだ」

 僕は嘘をついた。

「そうだったんだ! あ、助けてくれてありがとう! ろうそくマン!」

「どういたしまして、この事は、絶対に内緒にしてくれよ」

「うん!」

 きっと今、僕の左腕では青ランプが点灯していることだろう。許してくれ。

 バイクのエンジン音が近づいてくるのが聞こえる。日々子だ。

「ヒヒュッ、か、帰るぞ! 蝋燭マン!」



 日々子の髪の匂いがする。心地よい揺れが眠気を誘う。

「ヒッ、九里近い。首に息がかかる。あと寝るなよ」

 ブレーキ音が聞こえ、日々子の背中にヘルメットをぶつけた衝撃で目が覚める。

「ああ、あぶないな……ごめん」

「ヒヒュッ……か、帰ったら時計、怨念装甲二号、はっ、外してやるけど……」

 信号を待ちながら日々子が話す。

「ろ、蝋燭マン、つ、続けて見る気はないか? ヒッ」

 ……今日の出来事を振り返る。お茶、説明、お茶、説明、トイレ、お茶……バイク、クロイノ、アイス、子供……あまり良い思い出とは言いがたい。アイスを叩き落とした時の心臓が締め付けられるような思い、派手ダサウォッチの赤ランプが点灯したときの気持ち、他人から恨まれている事が可視化した辛さ。

「……信号、青だ」

「ヒヒュッ」

 日々子がアクセルを捻りバイクが進みだす。……装甲を身にまとったときの不快な感覚、みなぎる力、全能感、クロイノとの戦闘、痛み、ろうそくマン、子供の声援……

「恨まれるのは嫌だろうけど、しっ、正直、ヒーロー自体はまんざらでもなかったんだろ?」

 ……図星だった。男の子なら誰もが憧れる変身ヒーロー……に限りなく近いものになれるという誘惑。装甲を見に纏ったときの全能感、クロイノを倒した時の達成感。子供の声援。正直昨晩の出来事だって、僕はワクワクしていた。

 しかし、やると即答できない。人から恨まれる感覚には、慣れる事は無いだろう。慣れたいとも思わない……バイクは再び信号で停止した。

「僕がやらないって言ったら?」

「だっ、誰かにやらせるよ。ヒヒュッ、一号も探さなきゃ」

「……青」

 バイクが発進する……僕がやらなかったら、誰かがやる。誰かが誰かに『恨まれるような事』をやって恨まれる。それがどんな事かはわからない。アイスを落とす程度なのか、殴るのか。

 日々子は自分が恨まれたくないから、僕にやらせた。僕がやらなかったら、誰かにやらせる。そいつが『恨まれるような事』を知らない誰かにやる。それならいっそ……僕がやったほうがマシな気がしてきた。

「日々子」

「ん?」

「や……やる。ろうそくマン」

「ヒヒュッ、よし。言ったな」

 日々子がバイクを止める。ポケットからICレコーダーを取り出し、再生する。

『や……やる。ろうそくマン』『や……やる。ろうそくマン』『や……やる。ろうそくマン』『や……やる。ろうそくマン』

「言質だ。ヒヒュッ。よっ、よろしく。九里。いや蝋燭マン」

「……やっぱりお前クソ野郎だわ」

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