第5話
おはよー。
朝の教室はいつも通り賑やかで、クラスのいたるところから楽しそうな話し声が聞こえてくる。
「凜おは!」
「うん、おはよう茉莉」
私が席に着くと後ろから声をかけられた。
茉莉だ。
彼女とは席が前後だったからこそこうやって今も仲良く出来ているのだ。別に他の女子とは話せないわけではないけれど、やっぱり茉莉が一番落ち着くというか、なんだか安心できる。
「あ、そうだ。茉莉、遠足一緒にいこ……?」
先に茉莉を予約しておかなければ後々大変になるので早々に本題を切り出す。
「ふふ、そんな頼み方されちゃったら断れないなぁ~、いいよ、いこ♪」
そう言って茉莉はくすくすと微笑む。
1人ゲット。助かったぁ……と安堵の息をつきたいところだけどそんな暇もなく次の課題がある。
「えと……あと2人、必要なんだけど…、どうしよう、茉莉…。」
特にこの人、といった決め手を持っていない私としてはこの問題が一番大変なのだ。
「ん~、椿と麗奈とかはどうかな?」
「そうだね、あの2人にしようか」
ということで遠足は私と茉莉+椿と花梨で行く事になった。
遠足が近くなると学校のロングホームルームの時間に班ごとに行く場所などを決めるので一層賑やかになる。
それは私の班も例外ではなく、茉莉と花梨が凄くすごい。うん。
こう行けばスムーズにたくさん乗れるとか、ファストパスの為に走るとか授業で見たことないくらい盛り上がっていて、流石についていけないらしい椿と私は唖然として事の成り行きを見守っていた。
「凜って絶叫乗れるの?」
「い、行けるんじゃないかなぁ。」
椿ちゃんに言われて思い出したが、私はいわゆる絶叫マシンというものにまだ2、3回しか乗ったことがない。おまけに結構余裕という訳でもなく、なんとか乗れるといったレベルであり、実際心の中では心配していた。
「椿ちゃんは乗れるの……?」
比較的大人しい椿ちゃんが絶叫マシンに乗れるところが想像出来ず質問してしまう。
「えー、わかんないよ~…いつもそういうの乗らないから…」
「何事もやればできるわ、椿」
そう言って ふふん、と花梨ちゃんは腕を組む。
「花梨ってなんでも行けそうだねぇ、良いなぁ」
「ふふん、当たり前よ。子供じゃないもの。」
「そっかぁ、あ、私お化け屋敷は全然大丈夫なんだぁ。花梨、一緒に行こうね……♪」
「おっ、、、おばけやしき??え…ええ、もちろん」
椿にお化け屋敷を誘われるとあからさまに動じる花梨ちゃんが可笑しくてつい笑いを零してしまう。
外の景色はまだ春と呼べるであろう暖かな日差しが今日も降り注いでいる。
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