第3話

月曜日の朝、私が1人で電車に乗って通学していると、とんとん、と肩を叩かれた。

神崎くんだ。

「おはよ、宮前さん。」

「うん、おはよう神崎くん。えっと、神崎くんっていつもこの時間だったっけ……」

「いや、いつもはもっと早いけど、今日は朝練なかったからさ」

「そっか……」

そういえば確か神崎くんはソフトテニス部だったなぁ、とか悠長に心で思って入るけれど、実際は話が終わってしまった事に対してすごく焦ってる。人と話す事で一番困るのは話を続けなければ沈黙してお互い気まずくなる事だ。

そんな私の気持ちとは裏腹に神崎くんは言う

「てか、もうそろそろ遠足だよね」

そうか、遠足の話をすれば電車の中くらいは持ちそうだ。

「う、うん。たしかディスニーランドに行くんだよね?」

「そうそう、4人班で行くらしいけど、作った?」

「えっと、多分茉莉と行くと思うけど……、4人は決まってない……」

「そっか、知床さんと仲良いもんね。」

「うん、けど茉莉は私といて楽しいのかなぁ。」

知床茉莉しれとこまつりは高校に入ってから私といつも絡んでいる子で、すごく明るくて一緒にいてとても楽しい。ほんと、茉莉くらい明るい人がなんで私と一緒にいるのかとても疑問なくらい。

だからふと、思っていたことが口に出てしまう。きっと、私みたいに大人しい人より、はっちゃけてる人といた方が楽しいだろうに…。

そんな私の心を見透かしたかのように神崎くんは笑って言う。

「宮前さんといても充分楽しいと思うよ。むしろ、程よく静かで良いんじゃないかな」

「そ、そう…かな……」

なんだか少し顔が熱くなる。

じゃあ神崎くんは私といて楽しいのかな、とか考えて緩んでしまう頬を抑えようと私は顔をぶんぶん、と振る。

なんだか今日は電車の中が暑い。もうそろそろ冷房つけてよ、と心の中で思う。

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