第4話 大地を癒す王
子供達の名前を決めなければ……と言っても、全部に名前をつけてしまえば覚えきれない。種族名とリーダーを決めて、その名前だけ付けるつもりだ。
「ふむ、そうだね。君達の種族名はラビス。最初に生まれた君がララだ」
「きゅい? きゅう!」
「「「きゅうっ」」」
名前をつけられた事が嬉しいのか、地面から跳びはね私に体をぶつけてくる。どうやら、親愛を示す方法のようだね。……い、痛いかな。
ぴょこんぴょこん跳びはねたは掌サイズのラビス達、生まれたばかりだと言うのに元気すぎる。
「さぁ、君達に大地を癒す術を与えた。君達はこれから、旅に出てこの枯れた土地を癒さなくてはいけないよ」
「きゅうっ」
「「「きゅい?」」」
ララだけが、片耳をピンッと立てる。他のラビス達はいまいち分かってないのか、キョトンとしている。
うむ、流石はリーダー。その調子で皆を引っ張ってあげなさい。君がもっともお姉さんなのだからね。
「まぁしばらくは、私と一緒にここらの土地を回ろうか」
この子達の発する命の輝きで、私の神素を回復させる事ができる。この子達に与える神素が1だとしたら、3を生み出してくれる。もちろん、1日での計算だ。
これで数日中には草木を生み出す事が出来るだろう。……邪神のいない今、私の使命は一つだけ、この世界を生命で満たす事。
……まぁ邪神や異業種がいたとしても、私には戦う力が残っていないのだけど。
僅かな神素で生み出したラビス達では戦いにならない、一方的に虐殺されるだけの結果に終わる。
そもそもこの子達に与えた力は戦いには向いていない。
神素を生み出し、神素を食べ、神素から次の子供を生んでいく。
言ってしまえば、かつて邪神が使役した異業種の中にいた精霊と同じだ。あれは霊素を食べていたが。
霊素とは、生命がもつ絶対に必要なものらしい。私の領分ではないから、すべて邪神の受け売りだけど。霊素を食べられると、体力・気力がなくなり死んでしまうみたいだ。
……神素はなくなっても死なないぞ? 周りに神素がある限りね。そして、周りに神素がないって事は生きていけないって事。つまりどっちにしろ死んでしまうって事だね。
「ああっこら、群がって来ないでくれ。ちゃんと神素はあげるから……」
ラビス達が体に纏わり付いてきた。どうやらお腹を空かせたらしい。ちゃっかりララも混じっている。
「きゅい!」
「「「きゅう、きゅうっ」」」
まだ生まれてから1日と経っていない。この子達は赤ん坊と一緒で、ご飯を与えねば自ら食事をできるほど成長していないんだ。
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