機械に魂はあるのか、というのはSFでは普遍的なテーマで、そこに付喪神の要素を混ぜたのはかなり斬新だと思いました。
有機物の道具、ソロバン。
無機物の道具、AI。
その比較と対比。
ソロバンには本当に魂が宿っていたのか、単にAIが誤認したバグなのか、謎のまま終わるというのが心理的恐怖やモヤモヤを残していて良いです。
人間のハルに反逆したAIは、明確にロボットとしての規律に背いており、この時点でAIは機械から人間に近い存在へと思考が昇格されています。
人間と同じように自殺を選択したのがその証拠で、感情を宿しています。合理的ではない思考回路の発露と経緯は、なかなか考えさせられました。
AIをテーマにした短編としては、吾奏伸さんの『ボーイ・ミーツ・AI』には及ばないかも知れませんが、あっちは3万字ですからね。
本作はたった4千字でまとめています。大したもんだと思います。