ゲームを作る過程

@orc

第1話これからの話

俺の名前は、飯(いい)塚(づか)弘(ひろし)。今年から男女共学になった高校の1年生、4年上の姉と2歳下の妹がいるごく普通の人である。

 ということをだれに紹介しているかと言えば、朝の力の源(?)となっている全身鏡の前で独り言を言っているところであった。

「おはよー」

何者かが突然、ドアをノックせずに入ってきた。

「非常にやばいな・・本は隠したか?というか秘密基地(シークレットボックス)がバレなければいいが・・」

突然入ってきた女性(ひと)の名は、菫(すみれ)と言う下の妹で、ちなみに姉は、飯塚菖蒲(あやめ)という名前である。今のところはどうでいい話だが・・

「部屋から出てこなければ浴びせ蹴りだ!!」

『ゴツン』

 何とか腕で直撃は避けることはできた。これについては日頃の訓練のたまものだろう。

どんな訓練をしているかは、誰も知りたくないだろうから秘密にしとく。

「おい!出てきても蹴るんだったんだろ」

「えへへへ」

 菫は、照れ笑いをしている。

 まあ、菫はクラスでもトップというか、この街でもトップクラス(それはオーバーだった。)才色兼備の美少女として名が通っており、実際プロモデルとしても働いている。欠点は胸が無い。全くの絶壁であることくらいか。

「痛え殴りやがったな」

「どうせ、胸が無いとか考えていたんでしょ。エッチ」

 殴られたので中断してしまったが、姉はといえば、専ら引きこもりの通信大学生をやっているごく普通の大学生である・・・わけがねえだろ。その辺もおいおい説明していきたい。

 この俺は、情報通信工学科のある高校生で授業中に仲間と一緒にゲームを作ったり、休み時間にゲームで遊んだりしていた。

 仲間についてはあとで順番に紹介するとおもう。

 さて、話を戻すと、今日は浴びせ蹴りで完璧に起こされたわけで、とても目覚めの良いものではなかった。

 軽く朝飯を取って、学校に通学となるが、 実は、菫の学校は、この学校の付属となっているため、毎日一緒に通学していた。

 周りからはイイナ!という冷たい目線がほほに突き刺さるが、実際は、菫のたっての願いで、いつもそのようにしていた。

 通学中、俺らの授業中(?)ゲームを作るサークル「オリビリアの宇宙戦争」の仲間の結構クラスでも優秀で、可愛い思っている女性でプログラムスクリプトを担当している。

櫻井衿那(えりな)がやってきた。

 コードネームは、神話に出てくるエルフが好きなので、「森の木々が好きなエルフ(エルフ・エレメンタラー・ド・フォレスター)」と自分で言っている。

 おっと、俺のコードネームを言い忘れていた。「漆黒の闇の剣士(ブラックダークネスファイター)」というめちゃくちゃ中二病の名前がついている。

 それは、櫻井がつけた名前である。

 話がくどくなってきたので、本題に戻ることにしよう。

 「よう、櫻井いつもきれいだなw」

「おはようございます。ってえええええ。

草生やしてまで余計なこと言うのかよ」

「お兄ちゃんを取らないで(激怒)」

一人ブラコンが勘違いしているが、それは気にしないでおく。

「 では、高校の校舎に行くか」

「ではいきましょ」

「櫻井お姉様ばかりずるい。私も行く・・・」 とは言うが。一応女子中学生だだこねても仕方ないのことは分かっている。

 ところでなんでお姉様というと単なる当てつけだけでは無く、一度子どもの頃に喧嘩wして負けてそのときに約束されたことを実行しているだけに過ぎない。

「まあいいわ、昼休み泥棒猫から私が救い出してみせる」

「誰が泥棒猫よ。こいつとは何も無いし、今後も無いにも無いつもり」

 すかさず俺は、

「無いとはなんだよ。なんかあるかも」

 「ははは、そんなことあるわけ無いじゃん。あんた彼女できると思う??」

 「やった、櫻井お姉様はお兄さんが嫌いだったら私がもらっても良いんでしょ」

「おいおい、俺はものかよ」

 「え?物でないの?」

 「お兄さんは物ではありませんよ」

 (俺も物では無いと信じている)

 というふうな同じような会話を毎日、行っており、飽きないなといつも思ったりしている。

 菫とも別れたので、この学校をもうちょっと詳しく説明すると、もともと女子校から変わった共学校なので女子の比率が高い。普通科、工学科、と俺がいる情報通信学科に分かれている。

 昔の社会はどうか分からないが、この学校は、大学研究中の内容も、高校で履修もしくは、実験などもできるようになっている。

 クラスに入ったところで、学級委員長兼風紀委員の新井淳(じゅん)子(こ)に、「毎日遅刻ぎりぎりね朝早く起きられないの?あんたたちは・・・」と毎日同じ会話が行われてる。

 ちなみに新井淳子は、うちのサークルリーダーで、「聖なる愚者(ホーリー・マリオネット)」という名前でシナリオライターをしており、唯一公式的なペンネームを持っている。

「すまんすまん、明日は早く起きるわ今日は許してくれ」

「まあ先生が来てないから良いわ」

「ところで、システムは大丈夫?今日もシナリオ書くから・・・」

俺は、「OKだよ。その辺は朝飯前だよ・・・って昼飯前か」と言った。

「そんなのどうでもいいことはいいから、みんな、タブレット設定」

「ログインするわ」

「また新井は、授業聞かない気かよ」

 クラスのみんなが愚痴を言っている。

 実は、新井は、遅刻はしないが、授業中は、全く先生の言葉を聞かないのである。

 出席日数は足りているため、先生たちが怒ろうとしても怒れずに、大学生でも分からない問題を出して困らせようとするが、その問題すらといてしまうため、先生を反撃を喰らう有様で厄介者。

「だって私、成績優秀だから卒業だってできるもん」

といい、タブレット端末をだして、いきなり、小説を書き始めた。

「今回は、どんな作品だい?」

「どっちかって言うとSFかな。というよりは、宇宙戦記物」

「へえ、宇宙戦記物っておまえ書くんだ。すっかり恋愛ものだけだと思っていたよ」

「え~そんなこと無いよ。・・・つうか恋愛したことあっても成就したこと無いし」

 「成就したら結婚しているだろw」

櫻井が、

「ならまたゲームにしてみない?」

と言う問いかけに新井は、

「いいんでない?」

櫻井はそれに反応し 「絵は、漆黒の闇に任せると・・・」

「その名前を言うな恥ずかしい」

「剣士ならいいのかなw」

と新井も協調する。

「マリオネット早く原稿をあげてね」

 「了解したわ」

(嫌っているかと思ったらまんざらでも無いんだな。つうかマリオネットって操り人形だぞいいのかよ)

 俺は、即座に

 「どうでもいいけど音楽はどうするんだよ」

と切り出したが、

 櫻井は、いつものごとく

「音楽と絵なら、風の精霊(シルフィー)にお願いするわ」

とさらさらと答えていた。

シルフィーとは何のことはない俺の菫(いもうと)である。音楽好きなのと俺がお願いして頼むのでいつも快く引き受けていた。

「でもいつもながら外注ね。できれば学校内でしない?」

と新井が言ってきた。

 校内かぁ・・・考えたことも無いなぁ。

 ところで、このあだ名がなじむ(?)人がいるのか?

まあそれはさておき、ゲーム開発のためのシナリオやプログラム開発などが始まった。

といっても、まだ出番では無いのだが・・

学校とは、時間がゆっくり進むところと早く進むところがあるが、だいたい後者の場合が多い。

と言うのもたいてい授業は寝ている。

 一応、ノートは写しているから大丈夫だ。と思いたい。

 さて、昼休みというかこの高校なぜか購買部があるのに給食もある。うちら男子高校生にはありがたい待遇であり、とても良い括弧だと思っている。

 3時間目の数学の時間の前に購買部で買って焼きそばパンを購入しているので今日は勝ち組である。

 だいたい毎日、この争奪戦が恐ろしい戦いであるがこれは、別の話。

 さて、気を取り直して、今日は、金曜日のカレーの日といっても月一しか無いんだが・・・

 まあ、カレーは給食でも・・・って脱線してばかりだな。

 給食は、クラスの石(いし)上(がみ)隆(たかし)という、小学校時代からの腐れ縁といつも食事をしているが、今回はゲームの話が出てきたので、今日は、新井と食うことになった。

 クラスでは、いつも彼女で無いかと噂が立つが至ってそんなことは無く、単にゲームのシナリオ構想について話をしていた。

 新井は、

 「うーん今回のシナリオは、戦記物なんだけど・・・」

「どうしたんだい?」

「う、うん。実はねぇ結構超大作にしたいってイメージがあるの。ただいつものごとく世界観が浮かばなくて」

「おいおい、だいたいそんなの大きい話をゲームで表現できるのかよ」

「分からないわ。でもやってみたいのよね」

「櫻井は、プログラムのプロだけど・・まあ、私も一応プログラムは書けるけど・・・」

 「いやね。今回は結構長編になるからもしかしたらゲームまでたどり着かないかもしれないの」

「おいおい、それだと本末転倒で無いか」

「それを言うなら条件が違うでないの」

どっちが当たっているかさておき・・・と言うかどうでもよかった。

話が込み入ってきて、気になったことがあった。

 これは仮想空間システムでなんとかならないかと言うことである。

 この現代、仮想空間システムというのがあり、自分はその世界に入り込むと言うことを容易にするシステムであるのだが、問題もあり、仮想空間に言ってしまった心と魂は正確な処理をしないと元に戻ってこれず、たまにゲームをやっていて息をしなくなったという恐ろしい話が、つい先日もニュースになったところだ。

 「仮想空間システムを使わないか」

と俺が口火を切った。

「か、仮想空間システム?アレは危ないわ」

「その方が、シナリオの構成上楽だし、絵も楽、プログラムにあっては、オープンソースが使えるし、いいのではないか」

 オープンソースとは、セキュリティも高く、汎用的かつ公開されているため安くなったコンピューター言語集合体だから、簡単にプログラムを組めるし、オープンソース型仮想空間システムというのもあるため、安価にプログラムできるものであった。

 何より高校1年生の俺らは金がないわけでとても好都合であった。

「まあ、買うソフトより安いから良いわね」

 そこに櫻井が、他のクラスの女子としゃべりながら食事をしていたが、この話が耳に入ったらしく、俺らの食卓()近づいてきた。 「ちょっと勝手に話進めないでよ。プログラマーは私なんだからね」

 即座に俺は、

「なんでおまえが来るんだよ。まあ話のついでだ、仮想空間を使いたいと思っているんだよ」

「か、仮想空間システムよね。あんな危ない物を使うの?誰がデバッグをするのよ」

 「俺らだろ、いつものことだろ」

 「だから言っているのよ。仮想空間は帰ってこれない可能性があるじゃ無い」

 そしたら新井が、

「いや、むりになら良いのよ。今回は壮大なスケールの予定なの。金もかけられないし、あくまでも同人ゲームの予定だから、オープンソースしか使えないとなると、オープンソース型の仮想空間システムを構築するしか無いの」

 「割り込んできてなんだけけどさあ。もうそのシナリオ構想ってできているわけ?」

 「これからなんだけど、一応できててはいるの。世界観がまだ決まらずにいるだけかな」

 「どんな話よ?」

「おいおい、櫻井、まだ新井だって、さっきっきまった話をいきなり詰め込むのはむりだろ。そこは考えろよ」

 クラスのみんなは驚いた顔をしていた。普段ゲーム開発では、意見を言い争うことが無かったからだと思う。

 まあそのようなことはどうでもいいことだが、実のところ、昼飯時に言い争いはいかがかと後で振り返って反省してしまった。

 「まあ、放課後話そうぜ」

 櫻井、新井ともうなずいて、この場から離れたため、この場は落ち着きを取り戻し、俺は、カレーと焼きそばパンを頬張ることができた。

 女子の二人は、焼きそばパンを食べていないこととある程度、食べ終わっているため、急がず食べることができたという不条理な話もあった。

食べ終わってすぐにチャイムが鳴ったため、けだるい午後の授業を受けることになった。

 飯を食ったらすぐに寝る。これ常識・・・といつも決めている俺は、就職にほとんど関係の無い、歴史の授業はボイコットすることにし、机に顔を伏せて、寝てしまった。

パチン!

「ん?いたいなぁ」

 パチンパチン!

『いて!』

 ガタガタッ

左斜め後ろに座っている小学校の頃から幼なじみの青木香(かおり)のシャープペンからはじき出された輪ゴムが、首に当たり、不本意にも大声を上げて立ち上がってしまった。

「私の授業また寝ていたのね」

悲しい声で青木香の姉の青木先生が、しょぼんとしながら、黒板にすらすらとなんだか分からない数字を書き始めた。

「飯塚くんこの年号の出来事を言いなさい」

 授業は、寝ていたし、そもそもどうでもいい歴史だったわけで、テストで赤点を取らないようにノートを写させてもらえれば助かる授業だったが・・・いまは、そのノートすら無い・・・やべぇ・

「えーと、・・・・・」

 そこに新井が

「先生ずるいねぇ・・それ習ってないよ」

「あ、新井さんはいいの、寝ていた人をあなたみたいな優秀な人はかばう必要などないわ。いい?飯塚くんはあとで職員室に来なさい」

「うへぇ」

 ということで、ただでさえ目立ちたくない俺なのに・・・ これはお説教だな。

特になんの問題も無く歴史の授業は終わった。一つの笑い話は別として・・・

休み時間に俺は、もちろん香のところに向かい

「余計なことをして、良いお休み時間が無くなったじゃ無いか」

「あなたねえ。仮にも私の姉なんだよ。わかる?姉の授業をいびきかかれて寝られている人がいるって言うこの苦痛しゃれにならないわ」

「そんなの俺に関係ないだろ。他にも数名寝ていただろうになんで俺なんだよ」

「狙いやすいからに決まっているじゃん。近いしw」

「くそ~草生やしやがった・・・」

 新井がここで・・・

「そういえば香さん確かあなたいろんな本を読んでいたわよね」

「ええ、歴史書なら結構読んでいるわ」

「姉と変わらないのね」

 俺が置いてきぼりになっている・・

「お、俺の話は」

「「今話しているのは私(わたくしたち)なのだから」」

「ちょ・・」

 連携がすばらしく良い感じだな。でなくて俺の話は無視かい。

櫻井がいきなりこの輪に入ってきて

「うちのサークル人少ないんだよねぇ顧問もいないしさ・・」

「ということで闇!顧問の件は任せたぞ」

「闇ってなんだよ」

「あれおまえの別名で無いかw・・・」

「ゴメン普通の名前で呼んでくれ」

「話は通じたのでいいよね」

俺は指を自分の顔に向けて、

「俺がナニをするんだよ」

「顧問に交渉するの」

「え?俺のサークル顧問いないのに何を顧問に交渉するの?」

「ごめーん。青木先生に顧問になることを交渉してきてちょうだいよ」

「俺しぼられに行くんだが・・そのとき切り出すのか」

「だって青木先生歴史研究会の顧問しているけど、あっちは全然活動してないじゃん。それに併任してダメとも決まっていないし、何より今度のゲームは宇宙の歴史に詳しくないとだめだし・・・」

 (先生宇宙の歴史まで詳しいとは思えないぞ。おれは断言できる)

最も歴史研究会は、帰宅部というのを作ろうとして失敗した奴らが強引に作った研究会で伝統的に帰宅の方法をまとめるということを文化祭で発表するだけに存在しているサークルであるのだが・・・

 よって、活動は年間で一週間だけそれも原稿をワープロで打って、毎年同じ新聞を作るだけをしているのだが

新井がいきなり、続きをしゃべり出した。

「サークルの参加者が他のサークルに入ってダメという決まりも無いし、青木香さんも入ってよ」

「私ゲームはからっきしダメなんだよね」

「今回のゲームはスーパーバイザーが必要なのよねぇ」

「「へ」」

 俺と櫻井が急に頭の中が?でいっぱいになった。

 「すーぱーばいざーってナニする人なの」

と香が俺たちに聞いた。

 『スーパーバイザー』ってこの場合で言うと考証なのだが、高校生の俺らだけでは、ダメと言うことで歴史っ子の青木香と青木先生(名前は杏(もも))

を入れることにしたんだと思う。

「歴史的背景を調べたりする人だよ」

と俺が答えると

「面白そう。それならやっても良いわ」

と香も応じてきた。

 新井が急に乗り出してきて

「そこで君に仕事だよ。今日先生と会う約束しているんだから、顧問の約束も取ってきなよ」


「お、おう」

と言うことで意味不明な返事をして快く引き受けた。自分がこれから説教されに行くことをこの時の俺はすっかり忘れていたわけである。

で・・放課後青木先生たちに怒られた。いつも授業を聞いていないわけでは無いのだが今回は、寝ていてそのくせ大声たてて立ち上がったのが、非常に不愉快だったらしく、それを聞いた周りの先生もよってたかって、ここぞとばかりに怒られたわけである。

大人って大人げないよな(-。-) ボソッ

 説教が終わったあと、顧問の話を切り出した。

「先生、うちのサークルの顧問になってもらえないでしょうか」

「は?私、別のサークル(歴史研究会)」の顧問だよ。それに授業も聞かない人からお願いされてもねぇ」

「いや歴史は、うちの学科では就職に関係ない学問だと思って寝ていたんだけど、さっき新井と話したら、『ゲームには必要なことよ。』と言われていろいろ話をしていくうちに歴史も必要だなって思ったら真っ先に先生の顔が浮かんだのでお願いしているんですよ」

「え?」

「正直、考証してくれる人がいないので困っていたところなんです」

「そういうのはいも・・・でなく青木さんに任せなさいよね」

「青木には任せるつもりだけど、やっぱり先生のいないサークルは非公認だから、学祭に出品できないし、そうなると活動意味が、ほとんど無いよねぇ。

 正直、今までは同人誌の即売会のみでの活動だったけど、それでは学校で単位とれないし」

「あら、学校の単位がほしければ、歴史研究会に在籍すれば良いじゃないの」

「おいおい先生から、幽霊部員を推奨してどうするんだよ」

「あら、研究会は、学校創立の時からある帰宅部員のためのサークルなのはご存じでしょ」

「いや、知っているし・・・ん?、先生もこの学校在学中にまさか部長をしていたなんてことはな・・」

「え?部長だったわよ」

「・・・いわけでないのかよ」

「とにかく、サークルを作りたいので、顧問になってください。うちは、顧問のサークル(歴史研究会)と違って、ちゃんと活動しますので、お願いします」

「余計な言葉が多いけど良いわ。考えておくから」

 自分のクラスへと学習道具(タブレット)を取りに戻った。

クラスの中には誰もおらず、俺もすぐに鞄を取って家路に向かった。

校門にさしかかると後ろから櫻井が息を切らせて走ってきた。

「はあはあ、で?どうだった」

「いきなりどうだったはないだろ」

「はぁはぁ。先生は顧問になりそう」

「即答しなかったからわからん。っておまえそのためだけにまっていたのか」

「まあ、それだけじゃないのよ。いろいろあるの聞くのはやぼよ」

「要件も終わったようだし、櫻井、一緒に帰るか・・」

俺の後頭部付近に殺気を感じた。

「ちょっと待った!お兄ちゃん、私を忘れるの?」

 横風が吹いたかと思うと足が飛んできた・・・って一応、腕でガードできたが危ねーよ。「お兄ちゃん帰るならちゃんと連絡してよ。ずっと連絡無いと死ぬまでまっているんだから❤」

 俺、こんなに若くして死ぬの?しなねーし、怖ーから。

と言うかさあ。これが菫だぜどうかしているよ。

 「お兄ちゃん早く帰ろうよぉ」

といって右腕を強引に引っ張った。

「痛え・・」

「泥棒猫早く行ってちょうだい」

「いや、こんなやつどうでもいいし、同じ方向だから一緒に帰っているだけだから」

「まずその敵視したような会話はやめろよ。おまえと一緒に帰ると周りの目が怖いからイヤなんだよ」

「お兄ちゃんが、そんなこと言うなんて、あんたが悪いんでしょ」

 おいおい。おまえの先輩に向かって、何言っているんだ菫(こいつ)は。

「ちょっ泥棒猫でもないし、私用事思い出した急いで帰るわ」

 櫻井が顔を真っ赤にして、走り去っていった。

「おまえなあ。近所の先輩を虐めて何が面白いんだよ」

「お兄ちゃんがいれば良いんだもん。どうせゲームサークルの話でもしようとしていたんでしょ。私いつも仲間はずれだし・・・」

いきなり菫は泣き出しそうに目に涙を浮かべてしまった。

「いや、おまえも役に立っているぞ。ゲーム音楽と映像は、おまえが担当だからな」

菫は、涙を浮かべながらにこっとして、「うん!お兄ちゃんの役に立てば何でもできるからね」

 その瞬間(せつな)、顔を赤らめて、

「エッチな想像したらダメだからね」

 誰が菫なんかでエッチな想像なんかしねえよ。誰が、兄弟で恋ができるんだよ。見てみてぇ。そういう人。

「えっへん。とにかく音楽は作るから、他の女に目もくれないで・・・」

 そんなことむり。

「そういえば、今日久しぶりに青木姉さんと話したよ」

「どうせ、授業中寝ていたのがバレたんでしょ。輪ゴムぶつけられて」

「おいおい、どこまで知っているんだよ」

「え?当たったやったああ」

「バレすぎだろ。いくら何でも」

「ん?寝言まで知っているけど何か?」

「え?寝言?言っていたのおれ?」

「お、教えないんだからね」

「つうかさあ。なんでそんなこと(寝言)まで知っているんだよ」

「え、それは、タ、あ、お、女の子の秘密!」

「なんだそりゃ。兄弟、隠し事は無しでいこうぜ」

「そ、それは、お兄ちゃんには、・・でなく、お兄ちゃんにも言えないことなの」

 こいつにもそんなことがあるんだ。あまり俺には秘密にしない奴なのにな。まあいい、あとで鞄の中を探ってみるか。何かでそうだな。

菫の顔には、溶け出しそうなくらいに変な汗をかいている。

「と、ところで、青木お姉ちゃんは、元気でだった?」

菫は話を忘れさせようと話を切り返してきた。

「あれ?おまえの学校の客員(せんせい)になっているよな」

「わ、わたし、まだ履修してないし、アレは、三年生まで選択履修しないとみること無いし」

「そうか、そうだった・・かな?」

 俺も忘れやすくなってきたなぁ・一年前のことが思い出せなくなってきたのか・・・。

 家に着いたので、早速自分の部屋に戻り、鞄の中を見た・。

「あれ?タブレット端末と紙の辞書。ゲーム機、電話機しかないや。菫(あいつ)めぇ。嘘ついて俺を嵌めたな」

電話をとり、櫻井に電話をした。もちろんさっきのわびを入れるためだった。

「よぉ。櫻井、さっきは申し訳なかった」

「いいよ。いつものことだし。ちょっと私が大人げなかっただけだから」

「それより、ゲームシステムはアレでいくにしても、安全性の向上は、必要だよな。俺、明日、図書館に行って調べてくるわ。プログラムの選定は、俺の担当でもあるから」

「いいの。私がスクリプト担当だから、責任は私が持つからそのためにも勉強させて・・・」

「一緒に、図書館に行くか」

「菫さんの方は、大丈夫?そんなことしたら絶対怒られるよ」

「そうか・・・なんか考えるわ」

と言って受話器を切った。

「さてどうしたものか・・」

 ドアのノックする音が聞こえたと思ったら、扉を蹴破って菫が登場って・・・

 菫は顔を赤らめ、急いだ口調で

「はぁはぁ・・・明日土曜日だよね。一緒にデートしない」

と上目遣いをしながらデートのお誘いをしてきた。

「はぁ?・・・その前に言うことあるだろう。まず扉壊すなよ」

「壊れてなんか無いじゃん」

「蹴破ってくるなと言いたいだけ」

「そんなことはどうでもいいの、明日デート」

 俺の扉(プライバシー)はどうでも良いものなのか?

 ん?ちょっとまて、一つ忘れてないか?いきなり『デートしない』は、脈略的におかしいよな。明日図書館に行くことにしたのはさっきだし、さっきまでデートって言わなかった菫もいるわけで・・・ん?なんか引っかかるけど、なんでだろう。

「ゴメン明日は用事があるんだよ」

「へええ?私に言えないことってのはあるの?」

「彼女じゃあるまいし、誰にでも秘密はあるよ」

「お兄ちゃん、もしかして?女の子とどこか本が、いっぱいありそうなところでデートでもするのかなあ」

「はぁ?わかった。じゃあ、おまえとデートするか」

「お兄ちゃんからデートのお誘いなんて、きもいんですけど。でも付き合ってやっても良いんだからね」

「おまっ」

 俺の頭が一気に沸騰してしまいそうな勢いで怒りがこみ上げてきた。

「おまえが誘ったことだろ」

「そうだっけ?知らないし」

「わかった。デートは無しだ」

「ぷぷぷっ男にも二言があるのねw」

「ぐぬぬ・・・二言は誰にでもある」

「でも約束だから行くんだよ。連れてってねお兄ちゃん」

 完璧に兄が負けている瞬間を味わってしまうとは・・・・

用事を一緒に済ますためには、図書館が良いな。

「わぁーたよ。図書館で良いな。クーラー効いているし」

「いや。空間が穢れそうだから」

こいつさっきから図書館にくってかかる、さっきの電話効いていたのかな。

「ダメなら。一人で行くからいいよ」

「やーだ。それもやーだ」

「おまえは子どもか?」

「子どもだけど?何か聞きたいことある?」

くそーキャラまで変えてきやがった。

「しらん。俺は図書館に用事があるので明日は出て行くからな」

「ぐっ・・・私をつ、連れて行ってください」

 その後、部屋から妹には出て行ってもらい、明日の図書館で調べるものをタブレットで調べていた。

 図書館がこの社会で無くならなかった理由は、青木杏さんに聞いたことがあった。詳しく覚えていないが、電子データだけが担う社会になるはずだったが、結局人間が活字だけは捨てられず、人間の頭脳も電子検索だけではいけないと感じたことから危険性が強調され、電子社会ですら図書館をなくすことは成功しなかったらしい。

 よって今でも、タブレットで調べても調べきれないのは、やっぱり図書館ライブラリーの書物コーナーをのぞくとか、紙の辞書を持ち歩くとかしかない状況なのである。

 翌朝、適当な服を見繕いでようとした瞬間まばゆい白の服を着飾った。可愛い少女にであった。って妹でねえか。そういえばこいつモデルだっけ。

「お兄ちゃん。おはよー。で?泥棒猫は以内の?」

「だからだれだよ泥棒猫って。俺と話しかけている女性みんな泥棒猫って呼ぶだろおまえ・・・何を盗まれているんだよ」

「お兄ちゃんの残り香とか、お兄ちゃんの吐いた二酸化炭素とかいろいろ持って行かれるじゃん」

「おまえの方がよっぽどきもいというか変態だわ」

 菫の真白い服がまぶしく見えるような快晴の夏日、灼熱により、熱くなったアスファルト道を市立図書館に歩き始めた。

電話では結局待ち合わせとかを決めなかったため、櫻井のうちも寄ること無く、図書館に着いてしまった。それまで機嫌の良い猫のように白い妹がまとわりつきながらにゃあにゃあ鳴いていた。

 図書館に着いて机を陣取り、図書館内のライブラリーを歩いて、プログラムライブラリーに着いたところで、タブレットをライブラリー端末に近づけてみるとこうやって図書の場所の地図が現れるのだが・・・って探している本は仮想空間理論の欄を見てみると全て貸し出し中になっている。

「って40冊くらいあるぞ・・すくなくとも理論構成までで」

思わず声を上げてしまったため周りの人からは白い目で見られる始末だった。

とりあえず机に戻って歩いているとそこには、ピンク色の服装をした櫻井が机に座って仮想空間概論の本を数冊比べながらタブレットにメモ書きをしていた。

「よぉ櫻井」

「!!!」

「おいおいびっくりするなよ。昨日の電話で話していたよな」

「あっ・・結構努力家だってバレてしまうかなぁ・剣士さん」

「ここで言うか?その名を」

「くすくす。でも今日は妹さんがお待ちでしょ行ってやりなさい」

「へいへい。なぜかデートですよ」

「昨日のメールで知っていました(笑)」

「そうだったな。・・・そういえば新井も来るっていっていたよな」

「あっちよ」

 1つフロアーがあがった個室ルーム(有料)の2013号室を指さしていた。

 個室は、ちょうどカラオケボックスのような感じになっており、顔や体が、若干見える小窓があり、そこから入っている人の後ろ姿をちらっと見ることができるようになっている。

早速、上の階にあがって、2013号室をのぞいてみると、そこには、後ろ姿ではあるが、長い髪をした女性・・・新井が座ってなにやら、宇宙の理論などという本を積み重ねて、頭をかきながら、なにやら、普通のパソコンを持ち出して、カチャカチャとキーボードを打っていた。

『ガチャ』

俺はそのカラオケボックス風の扉を開けて、中に入った。

「きゃっ」

「ちょっと・・中に入るならノックしてよね。はしたない声を出しちゃったじゃない」

と新井は笑いながら、話しかけてきた。

「だからいったじゃ無い。乙女の入っているところはノックをすることって」

と櫻井はクスクスと笑いながら、指摘をしていたが、俺から言わせてみれば、何も言われていないわけで釈然としないので、

「おいおい、何も言っていないだろ」

「って言うどっきりでしたwwwwww」

と新井が爆笑しながら、指を俺に向かって指しやがった。

「ぐぬぬ・・・」

「まあ、いいじゃない」

と今度は笑いをこらえながら、櫻井がしゃべり始めてきた。

「うんとね。仮想空間理論及び危険性についてはわかったんだ。ただ、シナリオで死ぬような状況がある場合は、ヤバいんだよね。

それって新井大丈夫?」

「うーん死ぬ可能性はあるんだよねぇ。そもそも宇宙戦ものだからどう考えても、死なないって言うのはだんげんできないんだよね。

プレイヤーをチートにすれば問題ないかもしれないけど・・・」

「プレイヤーをチートか」

 俺は思案することにした。

『ゲーム性を犠牲にはなるが、新井の描いた小説の中身を体験するって言う点では、面白いかもしれないが・・・チートとなると、ゲーム大会とかに出せるか微妙だよなぁ。最もそのままでは仮想空間の危険性との狭間でゲームなんかできるとは思えないし、難しいよな』

 3人皆が声をかけることなくいろいろと考えているようだった。

俺から先に口火を切った。

「良いんでないか?チートでも、本当の仮想空間で、新井の小説のままの空間を動けるんだから、ある意味面白いんで無いか?甘いシナリオにしなければ、チートでも面白くできるんでないか」

新井が、続いて

「そうかもしれないわね。その線で行きましょ」

と言っていると、後ろから俺に向かって、「回し蹴り強だ」

俺は直撃を喰らってしまい、一瞬ひよってしまった。

「ちょ!!誰だよいてえなあ」

「私だよ」

おま・・・

「菫って可憐な花なんだぞ。今おまえの取った行動は全然名前にあってねえわ」

「私ってきれいでしょ」

 自分から言うな。こっちが恥ずかしくなる。

 確かに、俺が言うのもなんだがきれいだし、モデル業をやっているときは猫をかぶったようにおとなしいわけだが。

 ただ強キックは無いだろ・・・って、ところで、強キックってなんだ?

「私をのけ者にして・・・」

「い、いやのけ者なんかにしてねーよ」

「うそ・・なんでみんなで楽しんでいるのよ」

 いやいや、一応サークル活動だし、その辺わかってほしいよな。

 「わかったわかった。仲間に入れるよ」

 「今日はお兄さんとデートなんだからね」

え?なんでデートになったの??

「ところでモデル業はどうなっているんだよ」

「え?あんなの自由業よ自由業。勉強のため休みますって言えばやすめるし」

「おまえ仕事をなめてないか」

「お兄ちゃん、仕事したこと無いでしょ」

「ば。。。バイトぐらい・・ないな」

 うちの学校は、バイトなどが校則で禁止されていて、自動的に見つかるシステム(?)もある関係で一切、バイトは禁止になっている。え?妹はなぜ仕事をできるかって・・・バイトでないからできるらしい。その辺よく分からんが、成績の関係もあるとか聞いたことがある。

それだけ妹は、学業優秀でスポーツ(?)万能才色兼備というわけであるので、兄貴として頭が痛いところでもある。

「おいおい、お前らだけ盛り上がるなよ。調べ物をしに来たんだからな」

新井が、突っこみを入れてきた。

「おっと忘れていた。仮想空間理論を調べにきたんだっけ・・」

「それならだいたい調べ終わったよ。何となく分かってきたんだ。死というものがあると、その人の精神もどっかに行くみたい。だから危険なんだそうだ。昔はシューティングゲームでこの仮想空間をつかっていたからよく帰ってこれなくなる人がいたらしいのよね」

 櫻井が突然ぺらぺら説明しだした。

30分くらい延々と説明をしたため、俺でも理論をだいたい理解できることができた。

「なるほど、だいたい理論はわかった」

「次どうする?。あんたらは予定があるようだし、櫻井と私は、別行動するけどいい」

と新井がしゃべると、菫は、

「話!わかるお姐さんは違うわ。行きましょうおにいちゃん」

ちょ・・どういうことよ。予定なんか無いし、このまま勉強もしたいと考えていたところだった。学生の本分は勉強だからね。

「とりあえず、俺はここに残って勉強する」

「え?勉強wあんた勉強しているところ見たこと無いんだけどwwww、あ、試験前の一夜漬けで勉強しているのは見たことあるわ。ごめんねぇw」

「ぐぬぬ、妹の分際で、うるさい。とにかく俺は忙しいの、おまえとなんか付き合う予定なんか無いんだよ」

「お兄ちゃんのイケず~」

「おいおい、俺らはいなくなるからな」

 櫻井と新井は、図書館から出て行った。

 妹と残ってしまった俺は、とりあえずタブレット端末を出し、英語の問題集についている2次元バーコードを読ませては、画面を叩き、英単語の勉強をすることにした。

 妹はと言うと、ファッション誌を3冊持ってきては読みあさっていた。

 紙の書籍は、印刷しているだけものは高いが、読みやすく使いやすいものだった

「ファッション誌なんかタブレットの方が見やすいのにねぇ。あの子、何やっているのかしら」

近くにいた女子中学生らしい人が、ぼそっと口走っていた。それを見たとなりの友だちらしい人も「うんうん」とうなずいて去って行った。

「お兄ちゃん、暇だから仕事行くわ。私にいてきていいよ」

「俺は、勉強中勝手に行ってこいよ」

「お兄ちゃんのイケず」

と言っていきなりグーで殴ってきた。

素早さが上だったのか右腕で払いのけた。

「ガタッ」

 椅子から立ち上がり

「ちょ!!何すんだよ」

図書館で大声を張り上げてしまったもんだから、周りから白い目で見られる始末だったもので、仕方なくその場から立ち去ることとした。これは妹の作戦勝ちか?

図書館を出て、暫くすると、アイスクリームやさんが軒を連ねている。アイスクリーム屋さん街という商店街に出てきた。俺が妹に付き合うときは必ずこの商店街を通ることになっていた。それというのも妹がアイスクリームを好きなのと併せてモデル事務所がのこ商店街にあるからであった。

「アイスが食べたい」

「自分の金で買えよ」

「いいの?店ごと買っちゃうけど」

よく妹に奢られているので、妹の方がお金を持っていると思っている。兄貴の立場ねえなw。

「まあ、店ごとは買うな。一つにしとけ」

「お兄ちゃんが言うなら、それに従うわ」

「バニラハンドパフェ一つください」

「あいよ。800クレジットになります」

「はい」

「ちょっ。おまえ、アイスクリームとソフトクリーム、生クリームの塊、つうかカロリーの塊じゃねぇか」

「今日はちょっといらついたから、それに堪えたのでご褒美です」

「なんでいらつくんだよ」

「へえ~お兄ちゃんはわからないんだ」

 そんなもの誰にもわからんよ。

むりだってこいつの心を読むなんてことは。

「ところで、お兄ちゃんこれからどうするの?」

「とりあえず、家に戻るわ。つうか仕事しろよ」

「お兄ちゃんに言われなくたって・・・」

菫は、いきなり泣き出した。

「おいおい、パフェ食いながら泣くなよ。周りがじろじろ見るだろ」

通行人が、じろじろこちらを見ながら、こそこそはなしている。

「わかったわかった、今日は付き合うよ」

「うーんだったら。今日の仕事に付き合って」

「へ?仕事あるのかよ・・・ってよりおまえ泣いてなかったな」

「えへ。仕事で涙目よく作るし」

(へえぇ・・モデルで涙目ねって・・くそだまされた。俺の純情な心はってより。さあ、兄弟だぜ、毎回だまされている俺はどうよ。兄的に行って)

菫は舌をぺろっと出して、涙をふきながら、

「はふっ」

 ハンドパフェを食べながら、タブレットを取り出し、電話をかけている。イヤホンマイクかでだれかとお話ししている。

「ごめんなさい。今日キャンセルした仕事、やっぱりやりますというか力が出てきたのでやらせてください」

「・・・」

「わかったわ。いつものスタジオね」

と言うと電話を切って、俺に話しかけてきた。

「今からタクシーでスタジオに行くの、たまには私の仕事を見てね」

「いや良いわ。やっぱり家で勉強する」

「勉強というゲームでしょ。お兄ちゃんの場合は」

「ちっちがうよ」

(違わないけどここは兄だからな)

「お兄ちゃんの嘘ばかり・・」

と言うか言わないかとのタイミングで、回し蹴りを浴びせてきやがった。

 今度は腕を使わず、マントでも着ているかのようにひらりと身をかわした。ん?もちろん着てないぜ・・。

「おまえ、外で回し蹴りって周りの人にパンツを見せているだけじゃ無いか」

「はっ・・・お兄ちゃんのエッチ」

今度は平手打ち・・・今回は避けられず、ダメージ10ポイント受けた。って俺のヒットポイントは無限だぜ・・。って意味のわからないことを考えないでも良いか。

そもそもダメージなんか表示されない。

「いてぇ・・」

中平手打ちくらいか・・・って中ってなんだよ。

 周りの人はクスクス笑いながら、「痴話喧嘩でもやっているの」と言う声が聞こえて扱いたので。

「わかったよ。付き合えば良いんだろ。タクシーはこいつで良いな」

近くに、ちょうどタクシーがあったので、恥ずかしいというのと、この場から早くいなくなりたいの一心で、乗り込んだ。

「ところで、どこに行けば良いんだ」

「ファインドスタジオまで、超特急で・・・」

 運転席には誰も乗っていないが、音声で「了解しました」といい車が浮き始めて動き出した。

スタジオに到着すると、急いで青い服を着ている、育ちの良さそうなお嬢様タイプの女性のところに行って、菫は何度も謝っていた。

その後、青い服を着た女性が菫と一緒に近づいてきた。

「お兄ちゃん紹介するね。ここのチーフマネージャーの更紗さんです」

「更紗です。かっこいいお兄様がいらっしゃると聞いていましたが、本当にかっこいいんですね」

「おれは、弘・・いや飯塚弘です。よろしくお願いします」

俺、お姉様タイプに弱いんだよねぇ。

「お兄ちゃんでれでれしない。かっこいいって、社交辞令でいっているだけなんだからね」

「あら、いつも菫ちゃんが言っているじゃ無い」

「言わないで」

菫は顔を赤らめて、即座に顔を両手で隠した。

『可愛いところあるじゃん』

「ところで今日はナニをするんだ?」

俺は即座に切り返した。

「今日はグラビア撮影。と言っても、水着までね」と妹が言うと、

「あらあら、お兄ちゃんに水着姿を見せるのかしら」と更砂さんが、妹を冷やかした。

「さあ、準備している服に着替えて撮影をするから」

「あれ?バックがブルーになっているだけで、どこかに行くのかと思ったら・・・」

「じゃーん合成は普通でしょ。お兄ちゃんそれでも情報処理科」

「今日はどこに行くのかなぁ」

更砂さんは、にっこり笑って。

「え?ヨーロッパよ」

「えー本当にいきたいのに・・・」

なんてガールズトークをしているので、私は、サークルのみんなに同時通信電話をかけることにした。(同時通信電話とは一緒に、複数の人と電話をかけることができる携帯電話機能で、グループ会話がやりやすいものである。)

さてそんな説明を誰にしているかわからない。

電話をかけることとした。

「グループ通話1コネクション」

この時代の携帯電話は、音声で全ての操作もできるため、非常に便利である。

「おーいみんな」

「ちょっと妹さんと一緒にいるんで無いの?」

と櫻井が冷やかすが、俺は切り返して

「今から菫は、グラビア撮影で俺は暇なの。それよりは、プログラムについて話をしたいんだ。宇宙関係だろ今回は、どうせなら戦艦出さないか?」

「宇宙戦艦?ヤ○トとか古いけどあれ?」

「どっちかって言うと銀○伝ッぽい宇宙的な戦艦が良いな」と俺は構想を膨らましていた。

「新井どう思う?」

「いいんでないの?今からだったら修正効くし」

「奈良それでお願いするわ。こっちはメカ考証に入るから」

俺は、一方的に設定を話しはじめた。

「面白くなるかわからないけど良いんで無いの?」と櫻井は同意をしたが、新井は、

「うーん、それだとゲーム化したとき自由が無いんで無いの?」

それに対して俺は、

「そこで、俺らの得意な魔法が出るわけだ・・・」

俺らのサークルは売れないまでも、SFファンタジーものといえば、必ず魔法を出していた。魔法は、俺が中二なのか、よく案が出るのであとは、効果音は菫にかかっていた。

絵は俺が描くしな・・・

うちのサークルは売れない理由が、絵にあるというのはわかっているが、絵を描ける人があとは菫しかいない。

あとは姉だけど

姉はこういうことを嫌う習性があるので、頼りにしていない。

「菫(シルフィー)にお願いしてみない。クスクス」新井が、中二の名前を出してきた。

「まず菫にお願いすればなぁ。俺がどれだけ苦労すると思っているんだよ」

「いいじゃない。美術10の菫(シルフィー)に頼んだ方がいいよ」

この時代の学業の評価は、10段階評価になっており、必ずしも10をとれるとは限らない評価にもなっている…。

「うーん俺のやることが無いよ」

「魔法考証と世界観考証やったらどう」新井がフォローする。

「まあそうするか」

やることも無いというよりかはやることがあった方が良いので単純に答えることとした。

「あとは戦艦デザインもやるわ。菫に借りを作ればそれだけ苦労することは目に見えているからな」

電話をしていると菫が戻ってきた。

「ふう、終わった・・・って何電話しているのよ私が一生懸命仕事しているところなのに」

といってグーで殴ってきた。

「いてえ何すんだよ」

「いつもより手を抜いてみたわ。痛くなかったでしょ」

「殴られ場痛ーわつうかグーだろおかしいだろ。痛くないって言うのはよぉ」

「とにかく、帰りましょ。疲れたし・・・」

まあ、家に帰るのも良いし、部屋にこもって考えるのも良いことだからな。

「よし帰るか。ところで、今回うちのサークルでさあ、ゲーム作るんだよ。音楽担当してください」

「条件があるの。デート一回プラスαで」

どんな条件だよ。デートって彼女となら良いけど妹だぜ。何が面白いんだよ。

「えー」

「わかったわかった。考えておくから」

「なら、私も考えておくわ。デートコースをね」

くそー足下見やがって。

ビルのエレベータを降りて、タクシーに飛び乗った。

ICカードを渡し。

「ここまでお願い」

「毎度ありがとうございます。家までですね。了解しました」

タクシーって味気ないよなあロボットで勝手に決めたルートでしゃべらずに帰るだけの乗り物だしなぁ。

「ところで、考えてくれた?」

菫が話しかけてきた。

サークル活動が優先だからな。ここは仕方ないか。

「えーとまあ、いいよ」

「妹とデートするなんてきもいwwww。まあ良いわ。付き合ってやるわ」

「お前が頼んだんだろ。上から目線過ぎるわ」

「クスクス、お兄ちゃん今度こそ付き合ってね」

「お、おう。しゃあねえしな」

「しゃあ無いって何ってこと言うのよ」

と言って回し蹴りを喰らわせようとしたが、身のこなしがいい俺はさっとよけて。

「お前いつも不利になると暴力ふるうよな」

「・・・」

「まあいい。付き合ってやるよ。その代わり食事とか奢れないぞ。お金無いし。つうかお前の方が稼いでいるからなぁ」

 俺は今まで言ってこなかったが、バイトを禁止している学校で、コンビニのバイトをこそこそっとしてゲーム開発資金や単にゲームを買う資金としていた。なぜ、菫は稼げるかと言えば、バイトでなく実際に会社に就職しているからであり、文武両立していれば、学校も認めてくれるのだった。

 ちなみに菫は、学年トップで、俺は、学年で中の上くらいだったことも影響していると自覚している。

「今日は、バイトあるし、明日行こうにしような」

「うーんだったら来週の土曜日でいい」

「バイトも無いし、いいよ」

「あ・・・撮影の仕事、入っている。今から断ってみるわ」

 菫は、ウキウキしている感じを出している。

菫は、電話用の通信機器「電話君」をだして、電話をかけていた。

「マネージャー来週なんだけど。休みたいんですよ。いいかなぁ」

「・・・」

「えーダメなの。どうしても外せない用事があるの」

「・・・」

俺は

「無理には良いんだぜ。別段来週でなくても良いし」

「し、黙って・・・ってまんざらでも無いのね」

「う、うるせー」

菫と歩くと街のみんなから注目を浴びるので、若干優越感を味わうことができるので、街を歩くことには、抵抗は少なかったって言いたいだろ、男らの目が刺さるんだよ。なんで妹と俺で容姿が異なるんだか・・・

神はなぜこんなことをしたのか教えてほしい。

菫は電話でいろいろ話していたらしく

「え?いいの。彼氏で無いよwww」

「・・・」

「え?バレた。と言うことで休みで良いね」」菫は電話を切ると。

「と言うことで来週はデートね。アンダースタンド?」

「なんで英語なんだよ。まあ、了解だ」

 心の中で舌打ちをした。

 なんで舌打ちをしたのかよく分からなかったがしたい気持ちになっていた。

 「ごはんよー」

飯の時間となった。

今日は、珍しくハヤシライスというメニューらしい。と言うか久しぶりのコメだな。コメなんていま絶滅危惧種みたいな食材だし・・

「何ぶつくさ言っているの。お兄ちゃん早く食べないと冷めちゃうよ」

「いかにも自分が作った風な言い方するなよ。母が作ったんだからな」

「ぶーいけず」

「意地悪で無いってマジそうだろ」

「どうせ私の料理は下手ですよぉだ」

実際のところは結構旨い料理を作るがさすがに母にはかなわないといった感じである。元々家庭科で9(十段階評価)を取るやつなので、それなりに作れる。パンすら作れる優れものだったりする。

そんなこんなで夕飯も終わり、夜の勉強時間になった。

 と言ってもタブレットをいじるだけの作業でペンをもったりなんてしないわけだが)

ピコピコと選択するだけなのでゲーム感覚でやることができるのがうれしいところ。まあ、学校でもその調子で勉強するので、何ら変わりないわけだが・・・テストもこの機械でやれるので、結構楽だったが受験だけは筆記試験なので、漢字は、勉強しないと行けない。まあ、そんなこんなでまじめに勉強していると・・・。

ドンドンと戸をたたく音が聞こえた。

「お兄ちゃん寝ている」

「寝ているよ」

寝ている人が寝ていると答えるわけでなく。「起きているんだ。開けてちょうだい。勉強教えてほしいの」

「学年トップが何言っているんだよ」

「お兄ちゃんで無いとダメなの・・」

「うるさい・」

「戸けり割るよ」

「わかったよ開けるよ」

あいつのことだからドンドン蹴りまくるはずなのでとりあえずおとなしく開けることにした。

「お兄ちゃん」

菫は、いきなり私に抱きつくかのごとくは知ってきた。

しかし、抱きつくことなく、途中で立ち止まった。

「抱きつくと思った。エッチ」

「そんなわけ無いだろ。で?勉強は・・・」

「この連立方程式なの。わからないの教えて?」

珍しく勉強の話題なんだ・・ええ内容が違うだろ・

デートのコースの書いてある。

「おま」

「どこをどう計算すれば良いの?」

「そんなのわからんわ。帰って寝ろ」

「お兄ちゃんのいけず」

扉を開けて帰って行った。

エロゲーの主人公かよ。ってエロゲーってわかっているのは、私の秘蔵のコレクションにあるからである。

その後私も寝た。

次の日いつもの日常があり、学校に着いた。

 教室の入り、サークルの3人が机の前にそろって

「ゲーム脚本どのような感じ」

「まあまあかなぁそれよりプログラム言語はなんとかなりそう?」

「なんとかなるんでないかなぁ?」

「早く世界観の詳細あげてよ。そうしないとシナリオも動かないんだよね。絵も早く」

「世界観がでたら菫ちゃんに音楽と追加の絵をあげてもらって」

「わ、わかったよ・」

結局世界観も担当している、俺が責められるわけだが・・・

「その間私は、薄い本でも書いているわ」

「薄い本いうな!ってもちろんエロいの?」

「いつもR18でないでしょ。でも今回はR18書いてみようかしら売れるし・・・」

「まあ、エロの内容で書いたからと言って、売れるかどうかはわからないですけどねw」

担任が来てホームルームが始まった。

うざったい学校の指示事項でゲーセンに行くなとか、バイク通学するなとかうるせーよって言いたくなる内容。ゲーセンくらい行かせろよ。

 金がバイトしてないのとサークル活動で消えるにで、バイクは知らんが・・・学割でタクシーが使えるのにバイクなんて面倒だよなぁ。趣味だから仕方ないか・・・等どうでもいいことを考えながらホームルームが終わり、数学の時間に入った。

 因数分解の授業でまあ、私は数学は得意なので、寝ながら授業も受けられるが、ここは、ゲームの世界観を考えることにした。仮想空間でできることも併せて考えることにしてできることを再現する世界観なので、結構面倒だが、それはそれで楽しいことなのだ。

ノートに落書きのように設定を書いている。「ぼそぼそ」

授業中独り言をしゃべりながら受けているためみんなからは白い目で見られているんだが、いつものことなのでみんなも最近は相手にしていない。

「ここの式を当てはめるとどうなります。飯塚君」

「・・・俺?えーと3×2で6ですかねぇ」

数学の榊原遙香は、なんか失敗したという風な顔をしながら

「あたりだわ」と答えた。

数学の時間が終わると、職員室に学年主任から呼び出しがあった。

「榊原先生が泣いていたぞ。お前何かしたか」

心当たりも無いわけで、

「さっぱりわからん」

「まあ良い。今度は授業をまじめに受けるんだぞ」

「いやまじめに受けているし何か問題でも」

ちょっと気になった節があったが、ここは気にしないいることにした。

「戻っていい。榊原先生は、まだ成り立ての先生だ虐めるのはやめとけよ」

「いや。虐めてないし」

そして次の授業体育へとつながるわけだが、こんな日常を話しても仕方ないので、飛ばして放課後。

「やっと決まったのがあるわ。宇宙ドラゴンいろは黒色で漆黒の闇に溶け込んで見えなくなる修正を持っているんだよ」

と新井に言うと、

櫻井が、続けざまに

「宇宙戦闘ものでないの?宇宙戦闘もので話を進めているんだけど」

俺もたたみかけるように

「いやモンスターも必要だよ。魔法が使える世界だからねぇ」

「え・・・ビームも魔法もあるの?」

「メティオストライク(隕石打撃)とかあるでしょ」

「隕石なんか小惑星や宇宙に漂っている氷などを牽引すれば、慣性力が起きて、隕石になるじゃん」

櫻井が突っこみを入れる。

「そんな力たかがしれているじゃんだから魔法だよ。他にもファイヤーボールとか」

「空気の無い世界で火とか」

「核融合の炎なの。わかる?」

「わからないわwwwww」

櫻井が苦笑いをすると

「まあ良いんで無い。話はそれで修正できるし」

 新井が話に割り込んで、俺が馬鹿にされかかっているところを助けてくれる。いつものことだが助かるよ。

 女子には、会話で負けるからなぁ俺は。

「ところでさあ。菫ちゃんの協力は得られそう?」

「まあ、なんとかなりそうだよ」

(デート一回だけどな・・)

「まさか、デートなんか約束してないよね」「なっ、違うそんな約束はしてないぞ」

とは言ったが耳が熱くなっていることはわかっていた。

「私もデートしたいなぁ。男子と付き合いたいし・・」

新井がいきなりわけのわからないことを口走ってきた。

「ななな、何を言っているんだ」

「え?だれもあなたとなんか行っていないよ。それにあなたとデートなんかしたら妹の菫ちゃんに殺されてもおかしくないし」

「・・・殺されるな確かに・・・」

こんな無駄話をしていたが、システム構築案は話が進んできた。

「今日のところは頭が痛くなってきたので終わりにしましょう」

シナリオ担当の新井が、珍しく頭を抱えながら打ち合わせの中止を言ってきた。普通は俺が世界観設定の苦しむので中断するのは、いつも俺からだった

「ピザでも食いにいこうか」

俺が奢る気満々でしゃべった。

「良いけど誰が奢るの?」

新井が突然言い出した。

「今日の中断は私が原因だし、奢っても良いかなって思っただけ」

このサークルでは基本俺が少ないお小遣いで奢ることが通例となっていた。

今回は異なっていた。新井が言い出してきたので俺と櫻井は顔を見合わせた。

「いいんでないの・たまには」

櫻井が口を開いた。

「よかった」

何がよかったのかはこの時よく分からなかった。

「なら準備して、例の旨いイタリア料理店に行くか」

と俺が言うと櫻井が

「このへんでうちらがいくようなイタリア料理の店なんてあそこの「ナポリ」しかないじゃん」

まあ、ピザだけ言えばあそこは、おいしいし、今では珍しく石窯で焼くからね.値段も手頃だし、何よりドリンクバーがうれしいかった。ものを片付け、「ナポリ」に向かうこととした。

ナポリに入ると今日は定休日なのか人が折らず開店休業状態だった。

接客用ロボットに新井が

「マシュマロと蜂蜜とクリームチーズで作ったピザをください」

接客用ロボットが

「デザート系ですね了解しました」と流ちょうな言葉で答えた。

待っている間・ドリンクバーからコーラとウーロン茶、緑茶をおのおの持ってきて・・

新井が口火を切った

「ところでさあ、菫ちゃんは本当に、彼氏いないのかなぁ。早く作れば落ち着くと思うだけどね」

「そうよね。そうすればね・・・」

「ちょっまあいいわ。ところで弘?」

「あ?」

「彼女にするならどちらがいい?」

突然のことでコーラを口から吹き出してしまった。

カランコロンと店の扉がなり外からスレンダーな女性が入ってきた。

「やっぱお兄ちゃんだあ。お兄ちゃんの臭いがしたんだよね」

どんな臭いなの、俺って臭いの?両腕に花をつけ臭いをかぐと

「冗談、無線測位システムでわかったの近くにいるってだからここに来たの」

櫻井が、

「お前はお兄ちゃんのストーカーかよ」

と聞くと、

「え?そんなことも知らなかった当たり前じゃん彼氏よ彼氏、何が悪いの」と菫が答えたので、俺が、

「実の妹に彼氏呼ばわり気持ち悪いわ。それよりストーカーはやめてくれ。俺も自由がほしい。というか彼氏だって自由がほしいはずだよ」

「えーそんなこと無いじゃんこれだけの美形の女の人見ないじゃんか、そのくらいのことをされて当然だよ」

(当然なことあるわけが無い)

「ところで、明日デートでいいの」

コーラを吹き出してしまった。

「そんなわけあるか。みんなのいる前で聞くこと自体おかしいだろ」

と俺が言うと

「そんなことないじゃ無い」

泣き出しそうな声を菫が出している。

櫻井が、宥(なだ)めながら、

「まあまあ、わかったわ。ピザを食べたら帰るから、兄と一緒に帰ったらどう」

「うんわかった」

と菫は答えながら、にこっと笑って見せた。

マスターがマシュマロスイートピザ(めっちゃ甘いんだよねこれって)を持ってきた。

「出来たてだよ。熱いうちに食べてくれ」

みんなでかけ声をかけたかのごとく、ほぼ一緒に『いただきます。』と言った。

(ピザ生地に若干の塩味が加えてありただ甘いだけで無い味付なのがまだうれしいところ)俺らはしゃべりながら1時間くらい店にいてゆっくりゲーム制作以外の話のお花が咲いた主に俺と菫との関係の話なのだが・・

料理以外は、学力優秀スポーツ万能それでいて美形、なに食ってもスレンダーなのでその辺は嫉まれているみたいだった。

話もおわり会計を済ませると、俺と菫だけ残って他の人は早足で帰っていった。

仕方なく、一緒に帰ることにした。ここから家まで三十分程度それなりの時間が、あったので、話すことも無いから、なんで料理ができないのかと聞いた。

「え?できるよ」

(よく考えたら晩飯を作ったりもしているし別にまずいわけでも無い)

「だってさあ学校ではサボっているだけ、だってみんな学年一位だとやっぱり嫉妬を受けるじゃん」

(おいおい何様目線だよ)

「どうせ実力も平凡な私でした」

「だからお兄ちゃんは、私が必要なのわかる?この愛情?」

「いや、そこは全然わからないんだが・」

いつもおもうが菫と歩くと周りの視線が痛い。何せ町で一番の美形を持つ菫モデルさん(年齢不詳)といるわけでその辺は優越感に浸れるところかなって思う。

「あ・・今日これから音楽レッスンあるんだった」

「は?なにするの今度は」

「歌出してみないかと言われて渋々・・・」

「ただで有料レッスンにいっているから、儲けもんと思っているし、これ自体はどうでもいいんですけどね」

「忙しくなるってことはこれから家にいる時間減るな」

「そうなの、お兄ちゃんと一緒に入れないのがつらいです」

そんなこんなどうでもいいはなしをしてい鱈家に着いた。

「菖蒲姉さんは、居間にいるよね」

と俺がいうと

「それはこの時間だと当たり前かと・・・」

「だよなぁ・・・菫お前はそのままレッスンに向かった方が良いな」

「そのようね、そうさせていただくわ。タクシー(ハイヤー)を呼んでいってきます」

「さて俺は、仕方ないから、姉に会うか」

なぜ姉に会うのが嫌かというと、引きこもりがひどいので、世間体を考えない服装でいたり、身振りがおかしかったりといろいろ問題があり、こちらも変になることがあるからであるのと、妹に対しては、自分は出不精なのにたいして、妹が活発に活動しているという点でのすごいコンプレックスがあるため、妹とはよく喧嘩する中である。(喧嘩と言っても何でも無視するという大人げない対応なのであるが、それは俺としても嫌なわけで、妹をレッスンいってもらっている間に、姉には部屋にこもってもらうという作戦をとった。

妹を見送ると直ぐに、家の中に入った。

「ただいま」

「・・・」

いつも姉の菖蒲は、こんな感じの対応なので気にしないこととしている。

「さて冷蔵庫に行って、ミネラルウォーターでも取るか」

浄水施設の高度化から、純水がでるため、水自体あまりおいしくなく、水道水を飲む人はいない、そのためミネラルウォーターかドリンク類などで、水分を取ると言うことが普通になってきている。

「冷蔵庫に水はあるかなぁ・・」とある程度大声でしゃべると「ガタン」と言う音が、したかと思うとぱたぱた走って階段を上がっていく音が聞こえた。

俺はその音を確認し、居間に入る。

「ふう姉はいなくなったか」

ここまで嫌う必要は無いのだが姉も俺らに会うのを嫌っている節もあるので、いつもこのような対応をしていた。

と言う説明はどうでもいい話だが・・・とりあえずミネラルウォーターを手に取り、居間に陣取ることとした。

「さてタブレット開いて野球でも見るか」

全ての電波は、通信に使われる世界になったため、テレビなどの放送手段は廃れていた。

そのため、テレビ会社などは、オンデマンド放送やライブ放送などを行う多チャンネル時代にもうずいぶん昔からなっている。

「ふう、今日の野球は面白くないな」

水を口に含んで一呼吸をおいた。

「そういえば、櫻井たち上手く帰ったかな」

ぼそっと、なにげに口から出てきた。

「世界設定をやらないといけないな」

「えーと宇宙戦艦に魔法の空間があるという設定で・・・」

タブレットを片手でメモっていた。

そんなことをいていると、菫が家に帰ってきて居間に入ってきた。

「私のウーロン茶ある」

「知らねーよ。誰も飲まないって。お前の飲み物なんか」

ウーロン茶を冷蔵庫からだして、ゴクゴク飲み始めた。

「ぷはぁ。今日のレッスンきつかった」

「ところで、デートの要件ってなんだっけ?」吐息なり菫が切り出してきた。

「ゲームの作画を担当してほしいんだ」

「えーなんで私が、もしかして音楽も・・・」

「そういつも通りで・・」

「ゲーム嫌いな私になんでっていつも行っているでしょ」

といきなりグーで殴ってきた。

「痛いって。デートに行くから良いじゃねーか」

「デートで私と取引するわけ?」

「・・・」

いきなり菫が立ち上がって、回し蹴りを威嚇で行った。

「うーんわかったわ。それで手を打ってやるわ。その代わり奢ってね」

「え?奢るの。お前の方が100倍金があるじゃん」

「え?1000倍だよ。冗談だけど。レッスンとか服などに金を使ってるけど、化粧はしないし、モデルで儲かっているし、お兄ちゃんと違ってお小遣いはもらっていないけど」

「まあ良いわ、割り勘で。でもデートコースは私の言う通りね」

「どうせ、ぶらぶらするんだろ」

「まあそうだけど」

菫はそう言うと、珍しくそのまま黙って、ペットボトルのウーロン茶を一気のみした。

「お兄ちゃん私部屋に戻るわ。姉が今に戻ってきても良いようにね。もう、部屋に戻ったらどう?」

「俺は、もうちょっと・・・」

言いかけていたら、今度は腰に向かって蹴ってきた。

「姉のことも考えて・・・まあ、嫌いだけどボソッ」

「わかったよ。部屋に戻るよ」

「わかれば良い」

菫はニコって笑って見せた。

俺は部屋に戻るとベッドに座り、考え事をしていた。

「さて、菫は、快諾はしてもらったが何を書かせれば良いのか。音はどんなのを書くのかなど、オーダーをどうしよう。その前にシナリオが上がらないと難しいよな」

そんな独り言を言うとベッドに横になって、天井を見ていた。

「菫に悪いことさせているな。ま、対価は払っているけどね」

「とりあえず電話してみるか」

そう言うとタブレットにイヤホンをつけて、

新井を呼び出した。

『ガチャ』

新井は笑いながら、

「いきなり、男子が、女子に電話するなんていい読経しているわね」

「いきなりそれかよ」

「どうでもいいわ。用件は何よ」

「おいおい、なんでお前が、どうでもいいって言うんだよ」

「いいじゃない。電話をかけてきたのは弘の方よ」

「お前一人だと変わるんだったな」

と俺は、小声で言ったが、

笑いながら新井は

「聞こえているわよ。で?用件は?」

俺は、ベッドに寝ながら・・・

「あ、まあいいよ.ところでシナリオはどのへんくらい書けた」

「ちょっ世界観が曖昧なのにあまり書けるわけ無いでしょ」

「そうだよなぁ・・一応世界観は・・・・」

用件(世界観)を伝えると・

「そこまでできているなら、修正して来週には上げられるわ」

「よかったよ」

「菫に一応、シナリオと世界観ができないと、絵とBGM頼めないから」

「そうよね」

「プログラムの危うさはわかるけど、世界観やゲームのおもしろさを考えるとあれしか無いから」

「そうよね。衿那さんに世界観とか私から話しておくね」

「ありがたい。頼むよ」

「了解しました。用件はそれだけ?」

「いやもう一つあるんだよ」

「なによぉ」

「妹のことどう思う?」

「あ・・ブラコンの話。先日も言っていたわね。アレはどうしようも無いのではないかなぁ」

新井はクスっと笑いながら答えた。

「おい笑うなよ。マジでうざいん・・」

『ドン』

いきなり部屋の扉が開き、

「お兄ちゃん誰と話しているのよ」

いきなりベッドに上がり込んできた。

「ちょっおまっ・・・ごめん新井電話切るわ」

「了解。仲が良いのね」

『ガチャ』と電話を切った。

「お兄ちゃん聞いている。誰と話していたのよ」

「新井と・・・」

(しまった新井が殴られる)

「お兄ちゃん。私以外の女の子に個人で話すなんて・・」

 いきなり平手で殴ってきた。

 菫の目は涙があふれてきている。

「いや、ゲームのことを話していたんだよ」

「ほんと?」

「ほんとだって。俺のこと信じられないならデートは無しな」

「えー」

「いきなり、殴ってくるなよ。ベッドで回転しないと顔が平手で殴られたじゃねーか」

「そんなことはどうでもいいんだけど」

「どうでもいいわけないだろ。とりあえずやましい話はしてない」

 俺は、一生懸命さっきの話を隠蔽しようとしていた。

 「まあいいわ。信じてみるわ」

「ところで、電話していたことなんでわかったんだよ」

いつの間にかに菫の目から涙が消えて、にこっと笑って言った。

「女の勘よ」

「ところで、お前さあ、なんで俺の上に乗っているんだ?」

「きゃっエッチなにいっているの」

いきなり平手打ちをしてきた。今回は、菫が俺のカラダの上に乗っているため避けることはできず、クリティカルヒットした。

「いてぇよ。なにやっているんだよ。エッチで無いし、そもそも妹に手を出す兄はいないって」

「え~。そんなわけ無いじゃん。私なら今でも手を出すよ」

「おまっ・・・とにかくよけろ。蹴るぞ」

「きゃあぁお母さん、お兄ちゃんがいじめる」

「いやこの状況見たら怒られるのはお前の方だぞ。どう見ても俺を押し倒している菫って言う構造になっているからな」

「なに冷静になっているの?お母さんはまだ帰ってきていないし」

「いや、お前が言ったことだろ、そろそろよけろよ」

「ちぇっ・・・」

といいながらベッドに立ち上がり、軽くジャンプしてベッドから飛び降りた。

一階でガチャッと言う扉が開く音がした。

「ただいまぁ。今からごはんを作るから待っててね」

碧(あおい) お母さんが帰ってきたようだ。

「お兄ちゃん今日(さっき)のことは内緒ね」

「わかったわかった」

手を振りながら承諾した。

そそくさと、自分の部屋に入った妹・・・

(そういえば、俺は、妹の部屋に入ったこと無いな。まあどうでもいいことだけれど。)

「世界観は、モンスターと文明が発達した人間が魔法を持ったらどうなるかと言う設定でお願いしたから、難しいだろうけど、やってのけるだろうな」

そんなこんなしていくと夕飯の時間になったみたい。

「今日は青椒肉絲よ。あとは焼き餃子」

と母は、いった。

「みなさん降りてらっしゃい」

どかどかとみんな一斉に降りてきた姉をのぞくので実際は二人だけのため、そんなにうるさいわけでは無いが、・・・

「お母さん青椒肉絲多くない?」

「タッパーウェアに分けたけど。明日の弁当の具の春巻きの餡にするつもり」

「手抜きで無いとね」

とりあえず俺は、

「いただきます」

といって飯を食い始めた。

 焼き餃子旨いんだよねぇ。うちの母が作ってくれたのは、直ぐに無くなるので、いつも争奪戦になるが・・・

 本来は、焼き餃子を先に食べるというのは水餃子がメインとなる中国からしたら、邪道かと思われるが、飯塚家ではこういう食文化になった。

「こっちの餃子いただき」

菫がいきなり五個ってお前モデルだろ、食い意地張るなよ。

「はふっはふっあつい汁が・・・これが旨いんだよねぇ」

菫は料理記者のようにしゃべりはじめた。スープはついていたが、中華スープの素に卵をとかしてとろみをつけたものだったためあまり味気ないものなので、感想は省略する。

食事が食べ終わると歯を磨いてから部屋に上がっていった風呂は、沸くのに三十分くらいかかるため、待っている時間が面倒なので、部屋に帰って読書時間となるのがいつものことだった。

おれは、新井に説明した世界観を詳しくするための資料を作成することとした。

ドラゴン、魔法は宇宙だからメティオストライクなんかどうだろう。あとはファイヤー系雷系なんかは大丈夫なんだろうか?

飛行系クリエイチャーだけなのかなぁ・・・戦艦には普通の人間が生活できるだけの広さがあればゴブリンくらいいてもおかしくないだろうし・・・

「うーん風呂敷広げすぎたかなぁ」

と俺は独り言を言ってしまった。

 しかし、バーチャルもこれだから使用効果があるわけだし、仕方ないよね。

 脚本の大枠ができたら打ち合わせすりあわせをしてストーリーを作るのは今まで通りでいいか。

と、思案を巡らせながら、ベッドの縁に腰掛けた。

「さて、どうしようか、何となくイメージはつかめてきたぞ。新井にメールしておくか。櫻井の方にもだな」

タッチパネルをいじり一気にメールを作成し送信する俺。

意外に仕事早いねぇなんてバカなことを思ってしまった。

 そのあと書棚からかクリエイチャーハンドブックなるものをだしてきて、どんなモンスターがいれば面白いかななんて思案していたら記憶がなくなってしまった。

PIPIPIPIPIPIPIPI

目覚まし時計に起こされてしまった。と言うことは俺は、寝落ちしたってことか・・

お母さんが一階から大声で、

朝食できたわよ。早く起きてらっしゃい。と言うか起きなさい」

このあとが怖いので、パジャマのまま飛び起き急いで一階へ。

朝飯は、ごはんとスクランブルエッグ、かりかりベーコンサラダだった。これに今日はごはんなのに、ミネストローネスープらしい。

ミネストローネスープは先日食ったやつの余り物を冷凍のものだったが栄養価を考えるとこのほうが、いいって母は思ったんだろうなって俺ながら感じた。

「菫残すなよ」

「ふぇ~無理だから、こんなに食べるなんて。お兄さんは、食べられるでしょうけど・・・」

食べるときは、蹴ったり殴ったりしないのが、菫の唯一良いところ・・・(唯一かよ)

まあもっとも母から怒られてしまったので、それ以来殴ったりしなくなったわけだが・・え?父親(おやじ)はどうなっているかって?もう出勤したよ。

「早く食べなさい。遅刻するわよ」

母が、食事を急かす。

「ゆっくり食べないと胃に負担がかかるんだぞ。ムリムリ」

「ふ、太るし」

「そういえば、菖蒲姉は?」

「まだ起きてこないわね。今日も休みかしら」

「おい、親としていいのかよ」

「親に対する口の利き方、注意しなさい」

「やーい怒られてやんの~」

「とにかく早く食べなさい」

とりあえず、朝食を済ませて、急いで家を出た。

「おはよう」

「櫻井おはよう」

「ぎ~」

「朝からぎ~はないだろ。とりあえず挨拶位しろよ」

「おはようございます。櫻井おばちゃん」

「ちょ、おばちゃんとは、なによ。おばちゃんとは。今日という今日は、許さないんだからね」

櫻井が怒ってしまった。というか、菫がわざと怒らせたようにも見える。

「だって2歳おばちゃんじゃん」

「ぐぬぬ2歳でいうな」

櫻井が言っているそばから、言葉を遮って

「お兄ちゃんところで、今日何する」

もちろん櫻井は

「無視するな」

と言うわけで朝から二人なのに姦しい。

「お前は言い過ぎだ。謝れよ櫻井に」

「えーでもお兄ちゃんの言うことだから謝るよ」

「ごめんなさい☆」

「ま、まあいいわ」

「ところで世界観がおわって、脚本の部分に入ってきたって聞いたけどほんと?」

「結構早くおわるかもしれない」

「おおむね、できてきた~今度は、プログラムにはいるんで無いかなぁ」

「え?早いし、まだフレームワークまだできてないよ。仮想何とかもまだ勉強中だし、工作も必要だよね」

「工作は、何とかするよ」

工作とは、三次元を見るためのアイマスクを加工してゲームに接続する端末とコントローラをつくって、センターコンピュータに接続するまでの加工が必要だった。また、戻ってこれるように緊急戻りボタンの設計も必要だった。

「学祭や同人ゲームの祭典に間に合うかなぁ」

加工は今日やるので部品を買って帰るか。

どうせ3000くらいしかかからないだろうし。

「今日、早く帰る」

登校しながらこのような話をしていると新井が

「おはよ~」

新井は珍しく目にくまをつくって、目をこすりながら俺に声をかけてきた。

「お、おはよ昨日は遅かったのか?」

「遅いもなにもやっと世界観の話ができたじゃ無い。プロット(世界観)を脚本的に広げないといけないでしょ。・・早く仕上げないとプログラムに差し支えあるだろうし、挿絵や音楽にも影響が出てくるでしょ。ここがおわれば私はできるまで傍観者だし・・・」

「挿絵は描かないからね。お兄ちゃんとデートしないと」

菫が口を挟む。

「はいはい。わかったわかった。デートを今度の日曜日行きましょうね」

「やっほー。これから寝られない日が続くなあ」

「そんなに待ち遠しいのかよ。たまに付き合っているよなぁ。菫の買い物には・・・」

たまに付き合わされている。服とか買うときなんかひどいもので・・・

「へぇ・・・お兄ちゃんってそこまでしないといけないんだぁ」

新井がジト目で見ながら言った。

「いや、行かないと殺されるし」

「殺されるって何よ」

「お前いつも殴ってくるじゃねーか」

「ひ、ひどいお兄ちゃんがいじめるなんて」

菫は目に涙を浮かべながら言った。

という風な他愛もない会話をしながら登校した。

「しかし、ブラコンシスコンよねぇ。櫻井さんそう思わない?」

「ブラコンは、仕方ないにしても、シスコンはねぇ。それも重度とは」

「シスコンでねーし、いつも殴られるんだよ」

と慌てて俺は会話に入って話を遮る。

「ははは、冗談よ冗談」

と真顔で新井が答える。

「ま、真顔・・・俺はそんな風に見られていたのか」

午前中の授業は、新井は全然授業を聞かずに、かちかちと文書を仕上げ、俺は寝ていて、櫻井が普通にメモっていた程度だった。

「やっと昼だぜ。疲れたよ」

と俺がいうと、青木が

「あんたまた寝ていたじゃん。輪ゴム事件はひどいからやめたけど・・・ところで、姉から聞いたんだけど考証をしてほしいって聞いたんだけど」

「考証ね。ファンタジー考証でもあるんだけど、武装のチェックをしてほしいんだよね」

「武器?だって未来の話だよね」

「いやね、宇宙なので遅れた文明もあるんですよ。そのところの武装を考えてほしいわけ。ok?」

「了解。わかったわ、いつでも声かけてね」と言ってクラスの机を六人分くらいくっつけて作ったテーブルにクロスをかけて、食事の準備をしていた。

この学校では机をつなげた後にクロスかけて、テーブルのようにすることが流行っていた。

「ちっ話していたら焼きそばパン買いそびれた。まあチーズコッペパンを買ってきたからよしとするか」

俺は食い意地だけは張っているなって、我ながら思った。

「石上飯食おうぜ。今日はチーズコッペパン負け組だけどな」

石上は、

「おれは、ノンフライカレーパンと焼きそばパンだがいいか。あとは給食を食えば良いし」

「ちょっまてよ。おまえ、裏で金渡したのかよ」

 ノンフライカレーパンなんて、学校にも20個程度しか入らず、伝説の食べ物とかしていた、焼きそばパンは300個は仕入れるのでこの差は大きい。またノンフライと言うことで女子にも人気があり、部活おわったら食べるというおやつ組にはとても重宝されていた。

 ちなみにこの学校は、弁当組、給食組、食堂組、購買部のみ組と分かれて昼飯を取る習慣があった。

今日の給食は、お魚フライとエビフライのタルタルソース添え、小サラダ、ピクルス他であった。もちろんこれに牛乳とパンを選べるのだが、パンはあるので、今日は牛乳だけ選択した。

「ところでゲーム作りはどんな状況だよ」

石上が突然話しかけてきた。

「ちょっと待ってくれよ。まだクロス貼ってないし」

シーツらしきものを持ち出し机の上を覆い被せた。

ちなみにこのシーツらしきものは滅菌クロスとなっており、滅菌処理をしただけで無く、このクロス菌やウイルスまで殺せる機能を持っていた。

「さて食うか」

となりの机においていた給食のトレイを持ってきて、食べることとした。

もぐもぐ・・

「ところで石上、テストゲーマーにならない?」

「俺だけでは人が足りそうないんだよ」

「そうなのか、ちょっと考えてもいい」

「ところでこのフライ旨いな。やっぱ学校で揚げて、それをフライ専用の保温機能付きバットに入れて持ってくるからだよなぁ」

「なにを感心しているんだよ」

「今更ながら関心というか、べちゃっとフライなんかフライじゃないから、その辺で感心しているんだよ。そば屋の天ぷらはありゃダメだって言うのもあるからね」

「それはわかるわ・・・ありゃないだろって言いたい。それで金を取るなよってね」

と言う他愛のない話を続けながら、飯を食った。クロスをたたんで、配膳するテーブルの上に置いておくと次の日は、ビニルに包まれた状態で届く。クロスの数は、てきとうに持ってくるので足りない場合は、これはこれで、負け組扱いだった。

石上さんもデパガとして了解(?)をしてくれたし、これから本腰でクリエイチャー(モンスター)や魔法、戦艦のタイプの検討が重要だった。

もちろん艦載機も考えないといけなかった。これらを上げて脚本会議(?)をしてOKになったら、シルフィー(菫) に発注して書いてもらう。

モンスターの武器は、青木が考えてくれるだろうし、ダメなら私が考えて、それを考証することになるんだろうなって思った。

『戦艦の武器は何にしよう・・・光学兵器は普通だけど、光学兵器より早い光学兵器ってできないんだろうか・・・

 ひかりをミサイル化したものを、星間移動ジャンプができればいいかもな。この場合の星間移動ジャンプとは星間を移動するために設定で、星間を飛ぶのに時空のゆがみを活用し、時間を超えた移動を発揮するシステムである。』

 この理論は、すでに構築されていて、現時点でも宇宙空間に飛ぶことはあるが、短距離ジャンプはよく行われていることだった。太陽―地球間は、ほんの0.2秒到着することができる凄さだった。宇宙物理学の証明のために現在利用されている。

現在、長距離ジャンプができるかどうかの検討試験を行われており、そのうちで星間移動もできると考えられると言うところまで来ていた。

ということで、放課後・・

「いろいろと、現代の宇宙工学を考えてみると結構調べるところいろいろあるなぁ。時間がないから、そのまま理論を関係なく使うことにしてもいいかな」

「良いんでないか?ところで新井?昨日の電話の内容で書き方追加できるか?」

「あれだけでは無理だけどやってみる。追加のプロットできたら教えるよ。それより今日は菫に捕まらないようにね。って・・」

新井の顔が一瞬のうちに青ざめた。

「お兄ちゃん待ってたよー」

「俺は待ってないんだが・・・」

「青木さまもこのゲームプロジェクト(仮)に入るんですってぇ」

と菫は言った

「なんで青木さんには、さま使いなの?」

「新井にはしゃべったことなかったっけ?アレは5年前・・」

「おにいちゃんそんな過去の話なんかいいよ」

しれっと会話を止めてきたので、俺もここで昔話しても仕方ないということで話を切った。「で?そのあとは」

「あとは知らんよw」

「なんじゃそりゃ」

「ところで、菫ちゃん試験中だったよね。なんでこの時間に帰っているの」

新井は若干怒った雰囲気で言った。

「えーそれは、か・れ・しのためですよ」

新井は、何に反応したのか

「彼氏?あんたにいるわけ無いじゃん。どうせお兄ちゃんというものを待っていたんでしょ」

「おい、ものとはなんだよ。ものとは」

俺はもの扱いに憤怒した。が・・冷静に考えてみると別にお兄ちゃんとは俺のことかどうかわからないので怒った意味がないことがわかって耳を赤くしてしまった。

菫は目に涙を浮かべて

「ぐすっお兄ちゃんに対してひどい。なんてことを言うわけ」

新井は、一瞬殺気を感じて、菫から距離を取った。

その瞬間、いきなり!!菫は、新井に向かって回し蹴りを蹴ってきたが、すでに間合いから外れており、空振りにおわった。

「危ない!何するのよ。ところでパンツ丸見えだったわよ」

目に涙を浮かべながら、菫は、その場に座り込んで、

「お兄ちゃん見たでしょ、エッチ」

「あのさあ、いつも俺のところ蹴っているだろ。その時、見えているんだよなぁパンツ」

「お兄ちゃんのエッチ!どうせ夜の・・」

スイングのいい平手打ちを食らってしまった「いてえ。お前いつもしていることじゃねーか。エッチはお前の方だよ。それに妹のなんか気になるわけないだろ」

「お兄ちゃんのバカー!」

菫は走って家の方に向かって走り去っていった。

俺は、

「新井、菫何したかったと思う?」

「くすっ一緒に帰りたかったんでないの。私がジャマしちゃったけど」

新井は、ぺろっと舌を出した。

「ところで、あの距離でパンツ見えたんだ」

「あんなに足を上げたら見えるに決まっているでしょ。と言うか周りの人にも丸見え。見せパンでないとやれないよね」

「見せパン?」

「あ・・気にしないで。さて考えながら一緒に帰りましょう。」

「いいぜ。」

あーでもないこーでもないといいながら、歩いて新井の家と俺の家の分岐まできた。分岐というか交差点のことだが、さすがゲーム脳だな俺。

新井が、

「今日の下校は楽しかったわ。また一緒に帰りましょう」

冷静に考えてみると新井とだけ帰るのはあまりないことで、これはこれで良いことだなって思った。

「では、また明日な」

俺は挨拶をした。

「バイバイ。また明日ね」

新井も挨拶をして帰っていった。

ちょっと歩くと家に着いたが・・・

門の前で仁王立ちしているものが見えた。あ、ものでなく菫だった。

なんかすごい血相をしているように見える。

とりあえず家に帰らないといけないので家に近づいた。

「お兄ちゃん浮気したね」

「浮気??」

「一、私以外の人と二人で帰った。二、会話して帰った。この二つで有罪(ギルティ)よ」

「ちょっとまてよ。普通二人で帰ったら黙々帰るバカはいないだろ。普通会話するだろ。」

「だったら1は?」

「1?・・ぐぬっ。そっそれはなあ。お前が勝手に帰るからだろ。ああなっても仕方ないだろ。特にゲームの設定を考えないといけないわけだし、仕方ないことだろ・」

必死に言い訳を考えながら話していたが、いくら俺でもだんだん怒りが、こみ上げてきた。

「お前が怒ることはないだろうよ。」

「おにいちゃんのこと知らないんだから。」

菫はグーで殴ってきた。

「いてぇ・・マジで殴ってきやがった。」

いつもまじめに殴ってくるんですが・・・

今まで、怪我するまでに至ったことはないので問題なしと言えばそれまでである。

「おい怪我するじゃねーか。」

「知らないって言ったら知らないもん。」

「なにまだ怒っているんだよ。」

あれ?俺の方が怒る番だよな。どうしたんだこの雰囲気は・・・

なんか俺の方が怒れない状況に陥ったわけで、仕方なく怒られることにした。

これから小一時間、ぐたぐたと言われるのかと思うとうんざりしてしまうが、これはいつものことだったので慣れっこになっていた。

「でもいいの・・・」

あれ?なんかいつもと反応が違うぞ。

「私、ちょっとは大人にならないとね」

「なにいっているんだお前?・・・」

「寛容にならないといいお嫁さんにならないと雑誌に書いてあったし」

なんだ、雑誌の受け売りかよ。って嫁って誰のだよ。

菫は、珍しく紙媒体の雑誌を持っているんだなって思って、よく見るとレディス誌を手に持っている。

「雑誌を真に受けたのか」

「え?そんなことないでしょ」

「手に持っている珍しいものはなんだよ」

「参考書です。参考書」

「なんの参考書だよ」

「ひ・・・秘密。お兄ちゃんには関係な・・・あるかなぁ(いものなの)」

「へえ、参考書なら問題ないよな。俺に見せてみろよ」

「女性(わたし)の秘密だからダメ」

「なんじゃそりゃ」

「とにかくダメ、それより家に入ったら?」

「お前がいまさっきまでジャマしていたよな」

「ふ、ふ~ん何のこと?」

「おまっ先に家に帰らせてもらうわ」

家に入るとすでに碧(母)は帰ってきていた。

「夕飯までに、お風呂でも入ったら?」

俺は結構短い目の風呂(烏の行水まで短くはない)なので

「風呂に入ってから飯にする」

「私も風呂に入・・イテッ」

余計なことを菫が言うので蹴ってしまった。

「蹴るなんてひど~い。冗談のつもりで言ったのに」

『冗談に聞こえなかったんだが・・・』

「兄妹喧嘩はそれくらいにして、弘!早く風呂に入りなさい。菫は部屋で夕飯まで本でも読んで待ってね」

「風呂風呂・・」

風呂から上がってくるとちょうど夕飯の支度が調っていた。

今日の飯は、チーズインハンバーグで、結構おいしくいただくことができた。

歯を磨いて部屋に戻るとタブレットとペンを取り出し、ネットで時代設定を探していた。

『トントン』

ノックの音が聞こえるが、どうせ菫のことだろうから気にしないこととした。

『ドンドン』

「うるせえなぁ。仕方ない開けるか」

開けると姉の菖蒲が立っていた。

「菫にいじめられてない?大丈夫?」

そんなことを心配していたのか、それより自分のことを心配してほしいものである。何せ極度の引きこもり症で部屋からも滅多に出てこないわけで、そんな人から心配されてもありがた迷惑というものである。

「大丈夫だよ。たぶんデートには行かないといけない・・・げっ明明後日かよ。まあ良い。と言うことでデートだけだ問題は」

「ちゃんと相談するのよ。私でも良いし・・・」

「わかったわかった。俺寝るからおやすみ」

といって扉を閉じた。

それから一時間するとまたノックの音が聞こえた。今度はなんだよ。

「弘、お友だちの新井さんが来ているわよ」

「こんな時間になんだろう」

俺は階段を降りて玄関に向かった。

「よぉ?どうしたこんな時間に」

「キャラのイメージがほしいので絵を早くいただけないかなって思って・・」

「そんなの学校で言ってくれよ。電話と・・」

階段を滑るように降りてくる音が聞こえる。

『スパーン』

後ろからスリッパで殴られた。

「いてえ・・」

「おにいちゃん誰が、私の目の黒いうちに連れ込んで良いって言った?」

「いやいや。連れ込んでねーし」

「話せる状況でないから帰るわ」

と新井が言って家の扉から外に出た。

「こうなることはわかっているはずなのに・・・」

「おにいちゃん私の話聞いている?」

「ああ聞いているよ。連れ込んでねーって」

「なんであの泥棒猫が来るわけ」

と言ったら直ぐに母が

「言葉を慎みなさい。弘の友だちに泥棒猫ってないでしょ」

「やべっ家だった。」

「やべって何を言っているの?ここに来なさい」

「部屋に戻るから良いでしょ」

といって早足で階段を駆け上がって部屋のカギをかけてしまった。

「もうあの子ったら・・・」

「俺も部屋に戻る」

階段を上がって部屋に戻って、タブレットを起動して新井に電話をかけた。

「ごめんな。」

「いやわかっていたwああなることくらい想定済みよ」

「おいおい」

「まさか、おばさまには、弱いのね。お小遣いをもらっていないのに」

「小遣いもらっていなくても親は親だからな。飯は出してもらっているし・・・と言うか素直にしないと仕事先に電話して仕事全てキャンセルできるし」

「まあそうよね。まだ未成年なわけだし」

「俺らも未成年だけどな」

「そうよね」

「で?絵の件だけど、デート行ってからになるなぁ。それ以前に相談できそうもないよ」

「さっきの件で、菫めっちゃ怒っているからな」

「菫ちゃん可愛いんだもん」

って会話をしていると、壁がドンドンたたかれている。

「ドンドンうるさくない?」

新井に壁の音が聞こえたのか

「となりの菫がなんだか怒っているみたいで・・・」

一段と壁をたたく音が力強くうるさくなってきた。

「おいおい、壁壊す気なんじゃねーか」

「というかさあ?なんで電話しているのバレるわけ?」

と新井が質問してきてハッと思った。

そういえばなんで菫は、電話しているのを知っているんだろう。まさか盗聴を???

「菫聞こえているなら返事しろ」

「はーい!って言うわけ無いでしょ」

菫が部屋のドアの向こう側から声が聞こえてきた。

「お兄ちゃんの電話の声大きいから、よく聞こえるんだからね。」

「とりあえず部屋に入れ」

部屋のドアを開けて、菫を部屋に招き入れた。

「まず新井に謝れ」

俺はマイクを菫の口の前に突き出した。

「ごめんね☆なんてね。べーだ謝らないもんねぇ。なんでこのくそ婆に謝らないといけないのよ」

「くっくそ婆ですって、ビッチのくせになにいっているのよ」

「キービッチですって・・・お兄ちゃんこのアマ、私にひどいことを言う何とかして・・」「お前なぁ喧嘩を売ったのはお前だろ、自分の言動をわきまえろよ」

「お兄ちゃんまで、この人(あま)のことを擁護するなんて・・・お兄ちゃんのバカ」

菫は床に座り込んでいたがすぐさま立ち上がろうとしていたので、腕をつかみ

「お前逃げる気だな。それはダメだ。謝ってから部屋に戻れよな」

「ふぇ~ん。お兄ちゃんもいじめる」

今度はぺたんと座り込んでべそをかき始めてしまった。

「ちょっそこまで言ったつもりは無いよ。わかったわかった俺が悪かった」

(しかし、謝る気一切無いんだな。どうしてなんだ)

「新井、すまんな。このような状況だから月曜日はなそう」

「わかったわ、大変ね。ではお休みなさい」「ではおやすみ」

新井との回線を切って、妹に目を向けると

「お兄ちゃんがいじめるようになったのも新井や櫻井に・・・ブツブツ」

涙をいっぱいにためながら、怖い顔をしていたので、ちょっと怖くなってきた。

突然菫が思い出したかのように

「明日デートだよね。明日楽しみ早く寝るわ」

いきなり元気になって部屋に戻っていった。

「なんじゃ急に元気になって、って明日デートかよ」

デートと言っても、単にぶらぶらするだけだが、前にも話したとおり、周りの目が怖いのと、なんで妹とデートにいかならないのかが、普通の兄妹ではあり得ないことだと理解している俺がいるわけで、ゲーム作成という重要な任務があるからと言うことだけのために折り合いをつけなければならないと言うつらい決断もあった。

「まあ、明日のことは明日何とかなるか。とにかく夜も遅くなる前に寝るか」

深夜実はまだゲーム制作のために起きていた。

部屋の扉がドンドンと音が鳴ったかと思うと菫の声が聞こえた。

「お兄ちゃん。緊張して寝られないのどうしよう」

「おまえなあ、とにかく部屋に戻れ」

「明日楽しみで寝られないの」

「とにかく、部屋に帰って寝ろ」

「仕方ない。色仕掛けでも無理なら寝るか」

「そんなに色仕掛けでも何でも無い・・」

「そんなに色仕掛けが良いのぉ・・お兄ちゃんのエッチ」

「お、俺だって思春期の男だぞ。・・あ?なんなら襲ってやろうか」

そんな気は毛頭無いわけで、単なる脅しのつもりだった。

「乗り気になったのね」

「う、今の嘘、妹なんて相手にならないから」

早速負けを認める始末。菫に弱いなおれ

「ちぃ・・これで、揺すりの材料ができたと思ったのに」

お前揺する気だったんだ。アブねぇ。少しでもそんな気があったから・・・ん?俺そういう気持ちあったのか。

「とりあえず寝ろ」

俺は耳が熱くなってしまったがとりあえずその場を取り繕うことにした。

「良いわ、明日見てなさいよ。勝負服でチャレンジしてやるから」

何をチャレンジするつもりだ?お子様でチャレンジするのか。そもそも胸の小さいやつは苦手なのにな。

「お兄ちゃん鼻の下が伸びている。なんか変なこと考えているね。もしかして、クスッ私に欲情した?」

「するか、胸無し」

『パーン』

俺の部屋にある座布団でいきなり殴られた。スイングあっただけにめっちゃ痛い。

「よくも、一番気にしていることを・・・まだ成長期だから、もっと大きくなるって見返し手やる。」

何を見返すんだ?まあどうでもいいことだな。「わかったわ。寝ます寝ます。おやすみお兄ちゃん」

「ああおやすみ」

今頃になったが、お兄ちゃんと菫が言うのは、小学3年生の時に、上級生(後でそのことで補導されて、わかったことだったが中学2年生だったらしい。)の女子からいじめに遭ったときに、「お兄ちゃん助けて」と助けを呼んだときに、ちょうど通りかかった俺が、上級生の女子を蹴散らし、助けたことが由来しているようで、それ以降お兄ちゃんというのが、口癖となっていた。(ちなみに俺は、妹を助けるためとか何とか理由が通って補導されずにすんだ)

そんなこんなで憂鬱な朝になった。

朝飯は一日の活力きちんと取って、ってまた菫残してやがる。生物の命をなんだと思っているんだ。なんて思いつつ、食事を終わらせた。

歯を磨いて、部屋着に着替えなおし、居間ででくつろいでいた。

「お兄ちゃん、いつになったら、出かけるの?」

菫は、白いワンピースに着替えて・・あれ?いつもより胸がでかい。

さては、胸を盛っているな。

「は?ああ出かけるんだっけか」

「服を見に行きたいの一緒に付き合ってよ。」

「そんなのお前の女性友だちや、モデル仲間、やマネージャーだけ更紗さんに聞けば良いじゃねーの」

「いや・・・どうしても・・・ん?って約束でしょ。男なら守りなさいよ」

ちぃ覚えていやがった。

「ちっなら行くか・・ちょっと着替えるから待ってくれ」

デニムの上下に・・って俺の服装なんか、興味ないだろうから、ここでは割愛しておく

「ところでワンピースだけでは寒くないか?」「上着着るから良いの」

若いからなのか、寒い服装でも大丈夫のようである。

「あ、やっぱり・・・私も着替えてくる。ちょっと待ってて」

女の子のちょっとは、ちょっとでないので注意が必要である。

と思ったら、5分で着替えて来やがった。

「おそろいにした。この方が、彼女らしいでしょ。」

俺はどうでもいい服装にしたつもりだったが、服装を合わせてくるとは想定外だった。

「まあ、行くか」

誰にも見つからずに帰ってこれるかのこのミッション成功するのか。

家を出ると居間ではタイヤ付きが珍しい軽自動車を見ることができた・・・って

「更砂さん」

菫が大声を上げて、軽自動車を止めた。

「あら菫ちゃんどうしたの?弘さんと同じ服装なんかして、デートなの」

「うんデートなの。お兄ちゃんとデートこれから楽しみ」

「あら?だから仕事キャンセルしたのね」

更砂さんがさらっと答えてきた。

「ちょ?おま、仕事までキャンセルしたんだどんだけ楽しみだったんだよ」

「すっごい楽しみ」

「・・・」

更砂さんと俺は絶句してしまった。

更砂さんがなぜ絶句したのかはわからないが少なくとも、俺は、医務ととデートなんか普通、どん引きするものだと思っているものだったからである。

「更砂さん?今日予定していた仕事は何でしか」

おそるおそる俺は聞いてみることにした。

「白の服装で、グラビアを取る予定だったの」ははんだからあの服装だったわけだ。デート終わったら、家にちょうど姉がいるだろうから直ぐに仕事に行けるようにしていたわけね。なんだ、最初から短いデートだとわかっていたんだな。

「デニムでも良いわね。それで仕事来ない?」

「行かないよ。行くとしたら5時以降かな」

ま、まてまて、5時まで付き合わせる気かよ。

「わかったわ。絶対に来てね。あなたが主人公な感じのグラビアだから」

「ちょっと待て待てグラビアって胸があってなんぼってもんだろ」

俺はちょっとばかり欲望をさらけ出してしまった。

更砂さんは、菫の胸を車の中から指さして

「そこは、今のように上げ底にするのよ」

「そうK」

『パーン』

「ぶべっ」

菫に平手打ちされてしまった。

「ひどい、更砂さん撮影のことは秘密っていったじゃない」

「わるいわるい。ちょっと言ってみたかったんだよ。私急ぐからまたね」

早速フラグを回収したところで、更砂さんは車で走り去っていった。

「お兄ちゃん胸の件忘れる代わりに、何か奢ってね。そうしないとお母さんに言いつけるんだから」

「はいはい、わかったよ」

街に向かって歩いていると、櫻井が、走って一緒に並んだ。

「おはよ。デート?」

櫻井から声をかけてきた。

「お兄ちゃんとデート、ジャマしないで」

「そこまで言うなよ」俺がたしなめてみた。

「ところで、これから街に行くけど一緒に行く?」

「くぅ~人の話聞けよ。デートなの。ジャマしないでちょうだい」

「俺は別にかまわないけど」

「私はかまうの」

「まあ良いわ。でも一緒の道だから、仲良く行かない?」櫻井が今度は宥める側に…

「ひ・と・の・は・な・し・を・き・け!!」菫が理不尽に怒り出した。

「俺は、一緒の道だし、これからバスに乗るのも同じだから、一緒に行っても良いと思うんだよ。それともタクシーで行く、タクシーだとお金無いから一緒に行けないぞ」

「む~」

菫は、自分の意見が通らず、いらいらしていたが、突然何かを思い出したらしく、ぼそっと小さい言葉で

「・・ちゃん、タクシー奢って」

「はぁ?なんでタクシー奢らないといけないんだよ」

俺は唐突な話を聞いてこの話でなんでそうなるんだって思った。

「だって、何でも奢るって言ったじゃん」

「いや金無いし・・・」

「なら私が奢る。それでいい?」

「もしかして私ジャマ?」櫻井が問いかけると

「めっちゃくちゃジャマ。あっち行っておばさんというか泥棒猫…今日は私のものなの」

「ものなのかぁ。ふーん」櫻井が独り言をつぶやくとすぐに「今日は私のものなんだって」櫻井が意地悪い言い方で俺に話しかけてきた。

「俺ってものなの?」

「~くー。揚げ足ばかり取って年増のくせにもっと大人に・ゴモゴモ・・」

途中で俺は菫の口をふさいで

「いい加減にしろ。わかったよ。櫻井とはここで別れるよ。ごめん誘ってくれたのに、いいよね櫻井」

「別に良いわ。どうせついでだったんだし」

バス停でバスがくるまでの間、一緒に歩くことは、菫も泣く泣く許してもらい。バスがくるまで馬鹿話をすることができた。その中ではゲームの話がメインになっていた。

『プップー』

バスが出発し、タクシーをタブレットを使って呼ぶことにした。すぐにタクシーがきて一緒に乗り街まで向かった・・・

街に着くとまずタクシーを大型ショッピングモールに横付けして降りることとした。

「お兄ちゃん映画見よう?」

「映画?なんかいいのやっていたっけ?」

「ゲームに役立ちそうで。昨日の夜中考えたんだ」

タブで映画を指さした。

「ん?面白そうだな旧世代の飛行機なるものがでるのか」

 この世界では、普通の人が長距離移動で乗るものと言えば電車のようなもので真空にしたドーム空間を走る乗り物で地表の移動は行っているため、翼(可変型)がついている乗り物は宇宙に飛び出すものと定義が改められている。(なお、軍隊は飛行機をまだ使っているし、一般でもヘリコプターは存在している)

「なら行くかって・・・時間2時間あるじゃねーの」

俺は放映時間を見てびっくりした。これならバスでも十分に間に合う時間だったからだ。

「普通に時間まで服を見たいの付き合ってお兄ちゃん。」

今日はある意味、交換条件のために生まれた奴隷なわけで、断るというすべが無かった。「わかったよ。行こうぜ」

大型モール内にある有名(らしい)ブランドものの見せに到着すると、二十歳くらいの年齢の女子が、十数人店で品定めをしていた。

・・・・

アレ?菫ってまだ十代だよな。その服早すぎね?

菫は走って、店の中に・・・

「服を選ばせると遅いからなぁ」

ぼそっと独り言をいいながらタブで、次の公演時間を検索4時間後ということを発見。

(昼飯の後だな。映画を見るのは)

店の前で待つこととした。

菫が突然戻ってきて、

「お兄ちゃん一緒に選んでよ」

とせがまれたが、実際のところ女性の服に詳しくないどころか興味も無いわけで、ついていってもジャマになるだけでなく、長い時間付き合わされてしまうのが、嫌だったので…

「菫、自分で選べよ」

「えーいけず。付き合ってよ。デートでしょ。デート」

「ちっ。しゃあねぇなあ。付き合ってやるよ」

と結局、ついていく始末…

付き合った詳細は、別なところで話すこととして1時間半くらいは、同じ店に滞在したことになった。可愛い服や大人びた服を選んでは、試着して…結局買わなかった。

 しかし、俺が言うのもなんだが、売れっ子モデルでもあるので、店員さんも楽しんで試着させては写真を撮っていたのが印象に残った。

「お兄ちゃん、そろそろ映画見に行かない?お兄ちゃんの好きな飛行機もののやつ、付き合ってやっているんだからね」

一応、外向きの面的には、ブラコンを隠したいらしい。

「わかったいくか、ここの9階だっけ。」

「エスカレーターで行こうね。話ながらいけるし」

ちょっと待てよ。エスカレーターの階段を占領する気かよ。とおもったが、実際乗ったときは上下で別れて話をすることになった。

「お兄ちゃんは、私が服を選ぶときになんで、無関心なの?」

「菫の服を見たっていつも見ているし、それより、女性の服に興味が無い」

「え~(笑)彼女ができたらどうするの…やっぱり嫌だから、今の話は無しにして」

「なんだそりゃ・・・その時には、興味を持つだろうし、というか相手に興味を持つだろうから大丈夫だよ」

「えーお兄ちゃんは私のところは全然興味ないわけー」

「いや菫のところはちょっとしか興味は無いぞ」

「ちょっとはあるんだぁよかった。」

エスカレーターを降りると手をつなごうとしたのか菫が手を出してきた。

「そこまで興味ないよ」

「えー」

しかしそれにしても周りの目が痛い。いつも一緒にいると男性の目が痛いのであまりこういう繁華街には出たくないところである。

女性の目は、それはそれで、菫には痛いんだろうなって思っている。胸は無いが他は、理想のプロポーションで、すらっとしている。

 男性と一緒に買い物に来ている。女性は、男性の目が釘付けになっているわけで、良い思いをしていないみたい。若干羨ましいという目を感じてしまうが、菫は慣れっこなのか、そんなこと気にかけず、一緒に歩いていた。

「ところでさあ、今回のゲームってどのようなシナリオなの?」

と菫が俺に聞いてきた。

「ん?宇宙戦記物で、主人公に成り代わって、シナリオを薦めていくんだよ。宇宙船の船長で勝つ戦士なんだよね。魔法使いとかがいて・・」

「へぇ・・面白そうだね」

菫は面白くなさそうに素っ気なく答える。

「そっけねーな、今度は面白いものだよ」

「お兄ちゃんが、中学生の時代から、あのサークルあるけど、面白いものできたためしないじゃん。音楽と絵はすごいけど」

「音楽と絵って主にお前が作っているだろ、まあ悪くは無いけどな」

 まあたしかに、悪かったら土下座やデートなどを駆使して頼んだりしないよ。

「シナリオは最低ね、何せあの新井おばさまが書いているわけだし、仕方ないよね」

「新井さんはコレでも小説家として食べて行っているんだぞ」

「ならプログラム?」

「俺の初期設定が悪いんだよ」

「お兄ちゃんは悪くないよ。全て料理できてない、新井おばさまが悪いだけ、シナリオライターとして失格ね」

確かに小説家としてよくてもシナリオライターとしては、よくない人もいるわけだが、新井に関して言えば該当しないとおもう。

まあそんなこんなで面白くない会話をして、映画館に到着、早速チケットを予約場番号を入力して購入。

まあ、映画の感想は、この後に話すこととして、結構面白かったし、参考になった部分もあった。菫もなんだかんだ言っているが、ゲーム作り楽しんでいるんだろうなって感じた。

「腹も空いたし、飯でも食うか。なに食いたい?」

「フランス料理・・・・」

「こんな服で入れてくれる店ねーよ。ラーメン屋にでもするか」

「デートなのに・・・ならスパゲッティ屋さんでいいよ。」

「わかった、行くとするか。ってこのモール迷うんだよな。でかすぎで・・」

「わたし知っている店があるんだそこにしよ」

菫は何かうれしそうな顔をしながら、道案内を買って出た。

「この店、最近のランキングに載っていたの時間もずれたし、あまり並んでいないから、ここにしようね」

「あまり並んでいないっていっても、10人は並んでいる。」

「それだけ美味しいってこと」

「うんじゃ名前を登録して」

腕時計をカメラに近づけると、「ピコン」という音と一緒に、認証画面が下のディスプレイに表示されたので指紋認証とカメラによる網膜認証をして名前の登録がされた。

「あと約30分くらい待つみたいだね。ちょっとスイーツ屋さんにいきたいな」

「おいおい、飯を食べる前にスイーツかよ。それだけで腹一杯になるぞ」

「甘いものは別腹だから、大丈夫」

「太るぞ」

「ふっふーん太らないもんね。というかちょっと太りたい気分だし」

と菫が言うと回りの女子の視線が刺さる気がした。

その中の1人が「アッもしかして、あやのさんでないモデルの・・でもあの人もうちょっと胸あるから違うかな」

「ぐぬぬ」

菫は何か言いたげだがここで何か言うとデートがストップになることが見え見えなので、我慢しているようである。

もう一人の女性が、「あやのがこんなに幼いわけがないよ。謎が多いけど公称18歳でしょ。」

「そうよね、他人のそら似よね。でもスタイルは良いわね。顔はあやのそっくりだし」

「ドキュメント24であやのの密着12時間ってやるんでしょ。その時確かめてみましょう」

という回りが菫(?)の話で持ちきりになってしまい、菫と一緒にデザートやさんに行くことになってしまった。

ちょっとした喫茶店に入り、アイスカフェオレとパフェを頼んだ、もちろんパフェは菫のである。

「菫?聞くけどおまえ芸名あの有名な「あやの」なの?」

「ん?そうだけど正確には「小(こ)林(ばやし)綾(あや)乃(の)」って言うんだ。姉とお兄ちゃんだけ知らないだけで家族は知っているよ」

パフェを頬張りながら、自慢げに話をした。

近くの雑誌棚にあった女性雑誌を開くとそこには「あやの」がモデルとしてでており、作曲もしながら絵を描く、と紹介されていた。

「モデル業をしているのは知っていたが、菫って言う読者モデルのほかに本当のモデルもしていたんだな」

「お兄ちゃんとして誇らしいでしょ。でもあやののほうが化粧薄いからバレやすいかな。デートやりづらくなりそうだし…ちょっと考えるか…でもさっきのアマ、胸のことを言いやがって一発けりを入れたかったわ」

「やめろよ」

「やめたじゃない」

「まあそうだけどね。」

パフェを食い終わった頃に腕時計から呼び出しのベルが鳴っていた。

「スパゲッティ屋さんあいたみたいね」

お金を払って店を出た。

スパゲッティ屋さんに入って、メニューから頼み、店の人がいなくなったところで…

雑誌棚から女性服の雑誌を取ってきて、あやのの特集ページを開いた。

 そこには、背伸びをした菫がいるわけだが、すごく大人びており、妹だと知らなければどきっとする、容姿だった。

「お前なんで胸を盛っているんだ。いつも」

テーブルの下でヒールを履いている足が蹴りを入れてきた。

「いてぇなにすんだよ。」

「イーだ。お兄ちゃんは乙女心を知らないんだから」

「しかし化粧すると、大人びた感じになるんだなお前も」

またしても、蹴りが飛んでくる。

今度は避けることに成功した。

大人びた服を着れば、女性は変わるのを実体験しているわけで、驚かされる。

「ところで、お前この雑誌に載っているけどそのきっかけって何。」

と俺が疑問に思ったことを口に出してしまった。

「えー一応更砂さんからの紹介で一回仕事をとったのそしたら面白くて、雑誌側も秘密の女の子ということで売り出したら、飛ぶように売れたらしく未だに問い合わせがあるみたい。」

「気になったけど、ここにサイン会開催って書いてあるけど・・・ばれね?」

「え?表に出るのは禁止しているのになんでだろう。」

二人で雑誌をのぞき込み一字一句確認してみるとそっくりさんと書いてあった。

そっくりさんってそれで来る人いるのか?

まあどうでもいいことなので、この際は気にしないでいる。

さてスパゲッティも食ったことだし、とりあえずこの店は出ることとなったが、出費が大きく財布の負担がでかかった。

その後、女性服売り場をまわったのだが、なんでこんなに時間がかかるんだ。

店の前で待っているとたまに店の中に入る女性客の甘い香りがしてドキッとすることがあるが、それは一瞬でずっと待たせられるのが結構苦痛だった。

菫が試着すると店員さんが、周りを囲ってああでも内向でもないという風に議論をしていたようだった。

 実のところは、菫は普段の服はあまりなくというか無頓着で、おしゃれにはほど遠いかわいいだけが取り柄の子である。

今回のドレスにしたって、めいいっぱいの綺麗なものとして選んできたものであり、本来は、今度雑誌の特集するために試着用に借りていた服を着ようとしていたところにもあった。

「たっだいま」

「なにかかったのか?」

「どれも高いんだもん。ムリムリ中学生様のお小遣いでは」

「無理なのに試着するものなのか?」

「試着はただだし、店の人もノリノリで、試着した後写真撮っていたから」

「それ、モデル用にとったんだよ」

「え~みんなに見てもらうなんて恥ずかしいなあ(棒)」

おいおいお前、プロのモデルなのに、こんなところでアマモデルやって良いのかよ。

俺は、お世話になった店に軽い会釈をしてモールを出ることとした。

「今日は楽しかったかい」

「うん。お兄ちゃんと一緒に入れたし、映画も見たし」

「もう帰るか」

「いいけどぉできればもうちょっと一緒にいたかったなぁ」

「もうゲームの音楽とか絵とか書いてもらわないと間に合わないしさ」

「そうだねぇその約束なわけだし、無理は言わないけど終わったらまた買い物付き合ってね」

「菫、お前の服を選ぶの長くて、そのくせ買わないし、なんとかならないのかよ」

「え~今度は早くすれば良い?」

「どうせ早くならないんだろ」

「てへへ。でも誰でも選ぶのに時間かけるって」

「いや選ぶのは良いけど写真撮ったりとか、なんだよアレは」

「アレは私が好んでやったこととではないし」「まあ良いよ。今度も連れて行くからさ」

「お兄ちゃんバスで帰ろうよ」

「良いよお金ないし(笑)」

もう夕方の4時だいぶ日が落ちてきたところでバスが到着。バスに乗って家路に出発。

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