335文字の世界「三分間」

カップ麺をあけて目安線ぴったりまで湯を注ぐ。重石代わりに箸で蓋をすれば、三分待つだけだ。

さて、この三分を何に使おうか。

インスタント食品だけでは栄養が偏るからと一緒に買ったパックのサラダがあった。

中身をあけて皿に移す。

これだけでも見映えが違う。

主食とサラダが揃うと、今度は肉が欲しくなった。

冷蔵庫のベーコンを使いきってしまういい機会だ。

適当な大きさに切って炒めていると、きっと喉が乾くと想像がついた。

ついでにコーヒーでも淹れよう。

やかんに手をかけた私は、はっとなった。

なぜやかんが暖かい?

振り向くと、すっかり延びた麺が容器からあふれでていた。

私は額を押さえた。

「しまった、カップ麺とコーヒーは合わない」

そもそも朝食にカップ麺はよろしくなかったと、私はあくびを深く後悔した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る