第2話 黒ウサギ

ズーン...

今の龍一にはこの効果音が一番似合っている。この町の名前も知らずに、どこにいけばいいのかも知らずに、ただ歩いているそんな姿が。

「はああ...」

深いため息をつくのもわかる。なぜなら見知らぬ女の子に「お兄さん、なんかへン」と言われたのだから。それも目が覚めた瞬間に。純粋な瞳だった。子供って怖い...。そんな龍一の目に一人の女の子(さっきのではなく)が映った。

「ん?あ、あれは?」

ズキューン!

龍一の心がうちぬかれた。そうハートの矢が。そんなわけでメインヒロイン登場です。その女の子はスラッとしたスタイルで銀髪(やっぱ異世界なので)、膨らむべきところはキチンと膨らんでいる。でもやっぱり顔がドストライクであった。

その子がこちらに気づきました。そしてなんと!

「フフ♪」

と微笑んでくれました。そして、そのまま通りすぎて行きました。横を。まじかあああああああああ。やべえ。なんか違うは、いつもと。もう死んでもいいかも。いや死んじゃだめだ。死んだら意味が無くなる。なにが意味ないのかわからんが、死んじゃだめだ。クソ!なんか喋る方法無いかな?まあ、気長に待ってれば、なんとかなるでしょ!そう!ポジティブに考えていこう。そうだ。前向きに考えていこう!そしたら、なんとかなる!そんなことを考えてると、なんと!

ポロ...

彼女のポケットから何かが落っこちました。それに龍一のなんかのセンサーが反応しました。まさにPERFECT TIMINGだわ、これ。急いで彼女の落としたものに駆け寄ると、その落としたものが宝石みたいだったのです。

「なんだこれ?」

龍一がその宝石みたいのに触れた瞬間、赤く光り始めた。その宝石みたいのからなんか黒いものがでてきた。

「なんだこれ?」

そして、耳のような長いものが二本、黒いのから出てきて、まるでウサギのような形になった。

「ウサギ?」

そう呟いたら、ウサギのようなものの耳のようなものが動いた。ピクッ!と。そしてウサギのようなものから声がした。

「無礼者!我に触れていいのはルズベルトとストロベリーとミゥウとグレンワルドとサトリスとゲッコウとミカンとレモンとマルコフとウィズとエクスタシーとルシアンとシュバインとマスターとメソポタミアムとコウガと...」

「長~~~~~~い!」

「へ?」

「へ?じゃねえよ!」

「誰じゃ?お主」

「ふざけんな!さっきながながと喋ってたくせに!」

「で、誰じゃお主?」

「お前こそ誰だよ!」

「お主のような下等生物に我の名を教えるなど、ありえんわ!」

「はあ!?お前が落っこちたから拾ってあげようって...ってあの女の子どっか行っちまったじゃねえか!」

「女の子とは...まさか、シウネか?」

「シウネ?ああ、あの子シウネって言うのか!」

「おい、下等生物。シウネはどこじゃ?」

「その下等生物っていうのやめろ。おれの名前は龍一だ!」

「そうか、龍一、シウネはどこにおる?」

「おれもさがしてんだよ!」

ああ、もう!こいつウザいわ!ホント!この黒ウサギ!

                              続く

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