第2話…特攻! 魔王城!
この世界。俺らから見れば異世界と呼ばれる世界だ。
その世界は現在、魔王と王国が対立し、戦争をしている最中だ。
事の始まりは20年前。現在6人の魔王が今の大陸を統治する前は1人の魔王が統括していた。その名も【大魔王サタン】彼は歴代でも類にないほど強かった。近隣の国が恐れるほどに。
しかし、その魔王が病気で伏せ、今の魔王が統一し始めたころ、向かいの大陸にある国でも1人の王が誕生した。
その王は欲深く、この世の全てを欲した。
そして魔王の住む土地へ侵攻を開始した。
「そして今は平穏を望む【魔城帝国サタン】とこの国【シャングリラ王国】との大陸の間で戦争が起こっている。これくらいかな?俺が知っているのは」
『そうです。それにもう1つ付け加えるなら【異世界召喚制度】別名【勇者制度】……異世界から死者を引き抜き、こちらへと召喚する制度です』
「ああ、俺を含め召喚された者は【メシア】って呼ばれるらしいな」
メシアはこの世界に来た時に魔力が発生し、
人間とは思えないほど強くなるらしい。
でも、俺は何か変わった事は無いし、発生するのに時間差があるって事か?でも、一年間無いのはおかしい。
『で、ここで本題なんですが、近々大きな戦いがあるそうなんです。この世界ですから情報は2日、3日遅れで伝わってくるので、すでに始まっているかと』
社会見学、ということか。しかし、戦争で学ぶというのはどうかと思う。なければ良いとは思うが、戦いを通して進化する生物もいる。
「じゃあ、急いで行くか!」
『ええ、
「え、やだよ…そんな遠くに行けるわけ無い。だって家から王国の距離でもうまく飛べないのに」
魔城帝国サタンは海をまたいで向かいの大陸まで飛ばなくてはならない。
正確につけるかわからないし、岩や地面にめり込むのが関の山だ。それにあんまりテレポートを使うと苦労とかその辺が味わえないと思うんだ。
『心の中での言い訳は通じませんよ?』
「しっかり読んでんな、心」
『私をめくれば地図があります。それで1番目立つところに飛びましょう』
「ん〜、仕方ない。飛ぶか……で、どこへ行くんだ?」
『さぁ…私も場所までは知りません。しかしこの魔王城に飛べば確実でしょう』
情報源がどこかも分からないし……ここに飛んだところで大丈夫な保証も無いし……
でも、うだうだやってても始まらないし……
「仕方ない!
俺の周りは暗闇につつまれる。だが不思議と前に進んでいる感覚はある。
やはり前に白い出口があり、それが近づいてきているからだろう。
『出ますよ』
「やっぱり速いな、でも、ちゃんと目的地に着けるのだろうか」
気づいた時には地面に足がついている。いつもの感覚だ。最初は足に力が入らなくなる事もあったがもう慣れた。
しかし、ここはどこだ?
周りを見渡してみるがここは狭い通路のように思える。なんだかジメッとしてて嫌な感じだ。
それに……
「危ねぇ……あと数センチで壁の中だったな」
『どこかの地下通路のようですね』
「なんで地下だと?」
『おそらくここは魔城の中。しかし、常に魔城は結界が張り巡らせています。あなたも1人の人間。結界を破るのは能力を使わないと無理でしょう』
「……で、なんでそれが地下につながるんだ?」
『察しが悪いですね。つまり貴方は移動中に結界に弾かれ仕方なく出口が地下に修正されたのでしょう』
……俺ってあんまり強く無いな。
まぁ、己の非力さに嘆いていても仕方ない。元はただの一般高校生だからな。
先へ進もう……って思ったけどこれはどちらに行けば正解なんだ?
左右を見渡してみるがどちらも先の見えないくらい長い通路。
「どっちに行こうか?」
『ご主人様に任せます』
結局ここに来てもなんの役に立たない。これを渡された時基本的な情報は記してあるって言ってたんだがな……
「じゃあこっちに行くか」
『はい』
適当に選んだ道を進んでいく。
鬼が出るか蛇が出るか、俺的には魔王の宝物庫見たいなところが良いな。
いや、てかコレ冷静に考えたら不法侵入だよね?犯罪だよね?神様がこんなことしてたらいけないんじゃないか?
「……まぁ良いか」
よく考えてみればこれも神様の特権…だよね。
あれからしばらく歩いた。この通路がどこまで続いているかわからないのでテレポートは使えない。
いや、それにしても長すぎだなこれ。魔王の城がどれ程大きいか知らないが軽く20分くらい歩き続けている。
10分くらいのところで心が折れそうになったが我慢して歩いていると大きな扉が見えてきた。
「デカ! 誰が通るんだ? 魔王か?」
『もしくは其れが保有している何か…といったところでしょうか』
なんか禍々しい扉だし、宝物庫って感じの煌びやかな雰囲気もまとってないし、おまけになんだ?この鎖と南京錠は……
『よく見てください。ここに札が』
「どれどれ……ここは関係者専用通路です。侵入者及び関係の無いものは直ちに引き返し、魔王玉座の隠し階段より迷宮にお入りください……サタン」
『コレは魔王直々に書いたようですね』
律儀だな…わざわざこんな文章書くなんて。
それにしてもこの文章で一層怪しさが増したな。
迷宮……やはりこの奥では何か封印とかされているのだろうか?テーマパークでこのような張り紙がされていれば面白みもあるというものだがここは魔城。
「冗談じゃない。こんなところ行くわけ……あるんだなこれが」
『そう言うと思いました。ですがこの扉には死の結界が張られております。触れば死んできまうかと…神様以外はですが』
「俺って死なないの?」
『いいえ、私が跳ね除けるだけです』
「それはどうも」
情報では役に立たないこいつだが、こういうことに関しては頼りになる。
「でも、ちゃんと解除させていただきます」
『大丈夫ですか?本当に1人でできます?』
「見てろって……
この能力、対象を完全に消滅させてしまう能力だ。コレは物質、魔法、何でもかんでも消してしまうので俺の知っている中で1番目に危険なものだ。
当然この強力な結界は光になり消え去る。
『おぉ、扉ごと消さなかったのは成長しましたね』
「うるさい、行くぞ」
『何だか嬉しそうですね』
「そ、そんな事ねーし!」
最初はいろいろ消しとばしてしまったが生き物が含まれていなかったのが幸いだ……
扉を開ける。そこにはまたさらに先が見えない螺旋階段があった。
もう嫌……
疲れた……長い……膝痛い……
あれからまただいぶ下がってきた。ひたすら景色の変わらない階段を馬鹿みたいに降りてきた。
これで何もなかったらこの城…ぶっ壊してやる。
『物騒な事考えてますね』
「そもそも広すぎなんだよ!誰がこんなもの作ったんだ?」
『魔王ですね』
「そんな事はどうでも良いんだよ!」
『何だかピリピリしてますね』
仕方ない。これだけ景色も変わらないまま歩かされたらストレスも溜まる。進んでいるような感覚が無いしな。
はぁ〜、出口はまだかいな……
「…今から引き返すのも面倒くさいな」
『お、もうそろそろですよ』
「なんで分かる…んだ?」
お、おう……またまた扉かよ……
目の前には先ほどよりも強固に作ってありそうな大きな扉。
この先に何が待ち構えているのか不安で不安でしょうがないが、とてもウキウキしている。
「あ、開けるぞ!」
『声が震えてますよ?ご主人様』
「うるさい!」
重たい扉を開け…たかったが予想以上に重くて少ししか開かなかった。
でも、中から会話が聞こえてくる。
神様sステップ ドーベルマン @marmar
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