第三話 理解
「
杉下双葉。中一の頃から仲がいい俺の友達だ。
その明るい――を通り越して若干頭がおかしいと思わせるような性格は、見ていてこちらも気分が晴れる。何より楽しそうなその姿が、見ていてこちらを元気づけてくれるのかもしれない。…うるさいと思うときもややあるけれども。
ルックスは学年でも上位に位置していると思う。一時期かなりモテていたし、今でも好きだと言っている人を何人か知っている。
ただ、付き合っては別れ、付き合っては別れを繰り返しているため、今はあまりいい印象を受けていないみたいである。噂によると、付き合って三か月続いたことがないらしい。
ちなみに、杉下
ともかく、俺の目から見て杉下双葉という少女は、異性としてとても魅力的な人だと思う。だが、友達以上として目を向けたことはなかった。
相坂は、俺の回答に含みあり気な笑みを浮かべると、わざとらしい棒読みで言った。
「さあ? どうかなー?」
「たぶん…いや、絶対そうだろ。間違いない」
「分からんよ? 他の誰かかもしれないよ?」
「だいたい、お前の態度見てりゃ分かるだろ」
相坂は「そう?」と言っておどけるように小首を傾げた。
なぜ俺がここまで確信が持てるのかと言うと、単純に双葉が相坂の上げたヒントに最も当て嵌まっていると思われるからだ。
まず一つ、俺が記憶を辿ってみる限り、双葉からキモいと言われたことがないということ。俺が関わってきた女子の中で俺にキモいと言ってこないやつはほぼいない。その点、双葉は俺にマイナスな発言をしてきたことがない。
二つ、一時期やたら求婚をされていた。求婚と言っても、冗談としてのものだったが…こうして考えてみると、少しだけマジだったのかもしれない。
理由としてはこの二つしかないが、正直これ以上ヒントに当てはまるやつはいないと思う。
ともあれ、すっきりした。
最初聞いたときは誰だろうと悶々としたが、知ってしまえば、その気持ちもきれいに晴れた。これで今日の夜は、ぐっすりと寝れるだろう。
そしてその夜、俺は自分に好意を寄せてくれる人がいたという喜びに胸を躍らせ、幸せな気持ちで床に就いたのだった。
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