目玉焼き

 スズメの声が眩しくて正気に戻った目玉焼きの朝

 澄み切り澄み切り晴れ渡り、あくびを一つ奏でるよ


 ヤドカリは今日も失業中

 大きな波が怖くって

 波打ち際を行ったり来たり


 洗濯物が笑ってる

 野良猫が今日の獲物を探してる

 バス停のベンチにちょこんと座ったヤモリたち

 穴の中でスヤスヤ眠るヘビの群れ


 目玉焼きはこんがり焼けて空の上

 何度も飛ぼうとするけれど

 僕の羽は紙なので

 飛んだつもりが落っこちて


 気が付きゃ星空目玉焼きの夜

 誰もがみんな自分の事で精一杯

 背中の紙が湿ってふやけて重くなる


 でも大丈夫

 口笛吹いてラッタッタ

 そんな僕もその他大勢の一人です


 空に一人はさびしかろ

 いつかそっちに行くからね

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