ただいま

 白い風が吹いている

 震えながら背中を屈めて

 でもとても澄み切った空


 鋭い雲が頭上一杯に広がって

 白い犬がぴいんとしっぽを丸めて

 こっそりごはんを食べてます


 電信柱が奏でてる

 悲しい悲しいレクイエム

 また一人月の光に溶けていく


 毎日毎日繰り返す

 無機質な下らないやり取りを

 そっと優しく包むのは

 明治生まれの骨董品


 バラバラ家族を繋ぎ止めている

 本当の自分が住んでいる

 だから安心して眠れるよ


 TVの外は無法地帯

 現実感を無くした僕の耳に届くのは

 いつも仲の悪い猫たちの喧嘩


 雨も風も子守唄に変えて

 よせやいもう少し起きていたいのさ

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