10-おめでとう。本当におめでとう。
あのストーカー上司はやめていたので、問題はなかった。
本当にここでやっとひと段落だった。
こんな僕がバタバタしている最中、元カノから連絡があった。少し早いけど、帰国することになったと。妊娠したとの報告だった。向こうで彼氏ができたのは知っていたけど、まさかだった。でも、僕は少し寂しい気もしたけど、よかった。本当によかった。おめでとう。という気持ちでいっぱいだった。彼女がずっと望んでいたことだ。自分のことのように嬉しかった。そして、彼女にこのとき言われた。「せっかく今回は女として生まれてきたんだから、子どもとか妊娠とか出産とか、気持ち的に整理はつかないかもしれないけど、絶対経験したほうがいいよ。体は女なんだから、もったいないよ」
と。なんとも理解のある彼女だ。僕が少し前にたてた計画をあと押しされたようだった。本当に彼女には支えられてばかりで、感謝しかない。
そして、仕事は出戻りということもあって、なんの問題もなく、今度こそ本当に伸び伸び仕事ができていた。もうその頃は仕事とゴルフが楽しみってくらい、なにもなく平凡な日々を送っていた。そして、僕は24歳になった。タイムリミットまで、あと1年。
彼女が日本に帰ってきて、頻繁に連絡を取るようになり、あの時話せなかった話をして、二人の時間を埋めた。彼女に
「夢が叶ったよ。あの時ふってくれてありがとう。」
と言われ、少し胸が痛かったけど、彼女が幸せならそれでよかった。
「別れた直後は聞けなかった思い出の曲が聞けるようになってきた」とか別れ話のときに冷静に話せなかったこととか多くのことを話した。
「ルール違反だけど、今でも好きだよ。これからもずっと。誰かを見つけても一番。忘れることは絶対にないよ。」
「一緒になると思ってたよ。一緒になりたかった。今度生まれ変わったら、絶対一緒になろうね。」
と言ってくれた。今でも、その言葉は大事に僕の心の中にしまわれている。絶対、また出会えると思う。次こそは本当に僕が幸せにしてあげるんだ。だから、お互い生まれ変わったときのために、この人生幸せになろうと約束した。彼女がこの話を覚えているかはわからないけど、この事実があったことだけで十分だし、僕がしっかり覚えている。そして、それから半年。彼女の子が生まれた。
僕にも大きな変化が起きようとしていた。
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