6-男でも器が小さいんだな


新しい職場は、男女比9:1。僕にとってはもってこいの環境だった。

男しかいないから楽で楽でしょうがなかった。でも、やっぱり扱いはいつも女だった。ただ、新しい配達は前の配達と違って、かなりの体力勝負だった。荷物も重いし、ハードだし、勤務のスタート時間もかなり早いし。さすがに体は女。周りと同じようにやっているつもりでも、どこか至らないところばかりだった。だから、適度に頼って効率よく仕事をするのが一番だった。プライドや僕の思いからしたら、納得はいかなかったけど仕方なかった。ただ、慣れればそれなりにできるようになって、嬉しいことに結果もでるようになった。周りのドライバーと同じようにこなせたし、お客さんを増やすことができたり、伸び伸び仕事ができた。

ただ、そんなころ「女だから甘やかしすぎなんだよ」とか「上司はなに女だからってデレデレしてんだよ」と心無い言葉を聞くようになった。女の世界にいるのかと勘違いしそうになったくらいだ。僕の感覚では、男の集まりでそんな嫉妬や陰でネチネチいうことはほとんどないと思っていた。だから、予想外の展開に僕は少しだけがっかりした。男の嫉妬ほどめんどうなものはないとこのとき学んだ。

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